No.009 月と六ペンス サマセット・モーム著

最近は海外の作品も読むようにしているのですが、日本人にはない発想や考えで動いているのが新鮮で面白いですね〜!というわけで今回は、サマセット・モームの代表作、『月と六ペンス』です!

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ある夕食会で出会った、冴えない男ストリックランド。ロンドンで、仕事、家庭と何不自由ない暮らしを送っていた彼がある日、忽然と行方をくらませたという。パリで再会した彼の口から真相を聞いたとき、私は耳を疑った。四十をすぎた男が、すべてを捨てて挑んだこととは────。ある天才画家の情熱の生涯を描き、正気と狂気が混在する人間の本質に迫る、歴史的大ベストセラーの新訳。
(出典 新潮文庫 あらすじ より)

○作家であるわたし

『月と六ペンス』は、わたし、という作家の視点からチャールズ・ストリックランドの生涯について書かれています。

冒頭でストーリーテラーである彼は小説を書くということについてこう言っています。

作家の喜びは、書くという行為そのものにあり、書くことで心の重荷を下ろすことにある。ほかには、なにも期待してはいけない。称賛も批判も、成功も不成功も、気にしてはならない。
わたしはあくまでも自分の楽しみのために物語を書く。ほかの目的をもって小説を書こうとする者がいれば、それは大ばか者だ。

本当は展開に触れようと思っていたのですが、あくまでも趣味とはいえ、物語を書いている身としてはここを読み流してしまうわけにはいきませんでした。

痛いくらい日頃気を付けなくては、と思ってることをそっくりそのまま言われた気分です。もしも、周りの反応を気にしないでいられたなら、もっと小説を書くことに没頭できたかもしれませんから。

作中では、わたし、がストリックランドの理解に苦しむ行動のわけを知りたい、という欲望が綴ってありました。

これ、すごく分かるなあって思って。

私の理解を超える行動をする人を見つけるとじっくり観察して、その行動に至るまでの感情を知りたくなるんですよ。

自分の感情がそこまでおかしいものではないことを知って少し安心しましたが、私は絶対にストリックランドのようにはなれません。

人からの評価は気にしてしまうし、人に無関心ではいられません。

きっと人間がそういう生き物だからこそ、ストリックランドの異様さが際立って、人間としては褒められた人生ではないのに、読者を魅力するのでしょう。



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