鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 感想 ※ネタバレ有

【結論】
ほぼ予習なく見ましたがめちゃくちゃ楽しめました。
上質な昭和の因習村を浴びた。

【書きなぐり感想】
因習村で救いなく全員死んだの本当にすごい。ああいうのって沙代ちゃんや時弥くんあたりは生き残りそうなものだけどもはや救える状況にも無く、きっちり殺していった。
どれくらい入念に殺しているかと言うと…
・一般村人→狂骨に襲われて死ぬ
・龍賀の人間→狂骨に襲われても心が壊れるだけで死なない(例:考三おじさん)
よって考三おじさんは社長の車で轢いておき、他の龍賀の人間はさよちゃんが殺している。なお社長は婿養子で龍賀の力はないので狂骨で死ぬ。入念だなぁ~!

説明全くなしの水木の戦地帰り描写、すごくよかった…。片耳の欠け、食べるの早い、銃扱える。
温泉に行ったゲゲ郎探しに壁乗り越えたのは身体能力すごすぎてちょっと笑ったけど。

昭和ならではの喫煙描写も舞台が現代ではないというのをばっちりと印象づけられた。昔って本当にあんなにどこでもスパスパ吸ってポイ捨て当たり前だったんだろうな。今だったら子供が激しく咳をしている横で喫煙とかありえないけど、その危険性が認知されてない時代なので。
あと電車で咳き込んでた女の子が持ってる人形が龍賀の地下病棟に捨てられてたし、咳してる小さい屍人と心配そうに見る屍人がいたからあれって電車の親子が攫われてゾンビ化させられてますね!?
そりゃ地下病棟のおばちゃんたちが固まって「お助けを~!」って狂骨に言っても助けてもらえんわ。

作中最もカッコ良かったシーン個人的ランキング第一位は時貞翁からの勧誘を「お前つまんねえな!」と一蹴して斧を振り下ろした水木です。優勝。
時貞翁が提示したものは間違いなくかつて水木が求めたものではあったけど、恐らくその手に入れ方は彼の中で違ったのかなと。沙代ちゃんや時弥くんを犠牲にしてまで得るものではなかったのか、ゲゲ郎と墓場で飲んで価値観が変わったのか、その真意は彼にしか分からんが。時貞翁と龍賀家のやったことに吐き、悩み、怒り、悲しむ彼はとても善性の人間だった。ゲゲ郎が危険な目に遭うなら国なんか滅んでもいいじゃないか、と言えるのはすでに大事な存在を得た証拠よなぁ。
まぁ因習村の恐ろしいところって、そういう環境で生まれて育つことで本来あるべき形の良識、道徳が歪められて育ってしまうことなんですが…。村の人間からすれば既にそういうシステムで動く村に生まれてしまった時点で積んでいた。それが村単位で因習を行うことの恐ろしさ。
その因習を壊すのが村の外から来た水木なのは至極自然で…。だからこそ水木が己の人生経験で形作ってきた価値観が光るんですよ…(ろくろを回すポーズ)出世し、金を稼いで所謂人生の勝者を目指したのも、それが手に入る誘いを蹴って斧を振り下ろしたのも、水木の価値観によるものだった。眩しっ。

恋愛模様…すご。
親族は狂骨で殺した沙代ちゃんが水木だけは素手で首を絞めた!その意味が分かるか水木~~~!!!!
そんな沙代ちゃんを刺し殺した胡散臭い糸目石田彰こと長田。突然胡散臭い糸目の石田彰が出てくるとオタクはその面白さに吹き出しそうになる。
でも彼って時弥君の父親で庚子さんの夫だったんだね…。作中で一言も会話してなくないか?そこに愛はあるんか?なんなら乙米さんのことしか目に入ってなかったよね?そこに愛があるんか?詳しく。

・幽霊族、バベルの塔の時代からいたんだ…。
・妖怪の戦闘って結構物理通るんだ…。
・ゲゲ郎、斧で腕斬り落とされるくらい余裕~な感じなんかと思ってたけどわりと焦ってた。じゃあ初っ端斧で首斬られかけたの結構やばかったんかな?
・血まみれスーツ姿で斧を振り回す成人男性に性癖壊される~~~~~!!
・戦闘シーン、良すぎる。
・猫娘、かわいすぎる。

PG12ではあったけどグロシーンもわりかしスタイリッシュに仕上がっていたし、危惧していたほど露骨にオタク受けに狙いましたみたいな感じでもなかったのでギリ子供のころの自分も見れそうかな?という印象を受けました。自分が小さい頃にナウシカやもののけ姫をなんかよく分からんけどおもしろいなぁと見てたような。大人になって見返したらその物語の複雑さに驚いたような。

いろんなオタクに一度は見ていただきたい、ゲ謎をよろしくお願いいたします。

最後に非常に勉強になったポストを引用して終わります。
(1) Xユーザーのさむかわ@南1ク53b 12/17 DR2023さん: 「恥ずかしながら、鬼太郎誕生ゲゲゲの謎に出てくる「血液銀行」って「この映画や原作に出てくる普通にお金を扱う銀行の名前が変なだけ」だと思ってたんですよ。映画見たあともしばらくは「ホラーなこの世界特有の業種」だと思ってた。「昔はお金に困った人が血液を売ってた」とか全然思い至らなかった!」 / X (twitter.com)

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