230526 朗読劇「あの星に願いを」シリウスルート感想レポ

出演者
金田祐介 役:汐谷文康
山口聖羅 役:南早紀
橋本健吾 役:笹翼
西ノ森莉緒 役:磯部花凛
中野風太 役:松本ひなた
山口聡 役(聖羅の父):中神一保
小松弘美 役(小松先生の妻):駒形友梨
小松幸助 役:長谷川芳明
アンサンブル:美藤大樹、野本侑歩、祐花、荒井瑠里、Sachi

脚本:吉岡茉祐、演出:田邊俊喜

会場:CBGK シブゲキ!


前回上演された時はまだこの朗読劇の存在を知らず、事前情報を知らずに今回の朗読劇を見ました。S席での観劇だったんですけど、5列目10番なので結構真ん中の方で見ることが出来ました。

私は事情により今日しか見れる日がないので、もう一個のルートを知らないですけど、確かに吉岡さんがどっちも見て欲しいと言っている意味が分かるような気がします。

朗読劇の内容としては結構重たいですけど、親から虐待されていたり、親友の幼馴染が好きになってしまったり、奥様が助からない病気だったり、決してファンタジー的なストーリーではなくてもしかしたら自分にもあったかもしれないことだったので見ていて心が苦しくなりました。

南さん演じる山口聖羅ちゃんは誰から見てもヒロインという感じなのに家庭環境が最悪で誰にも言うことが出来ず一人でアルバイトも学校も頑張っていて、本当はすぐにでも助けてって言いたかったけど親友と幼馴染が付き合うという事になって益々言えない状況になってしまったこと、耐えきれず自ら命を落とす結果になったこと、本当に切なかった。聖羅ちゃんのお父さんに愛情がなかったわけではないんでしょうけど、結果的に見えてる部分はクズな所ばかりだったから聖羅ちゃんからしたら辛くきついものでしかなかったんだろうなと見ながら思いました。虐待されてしまう部分は朗読劇では描かれていなかったけど、中神さん演じるお父さんに怯えた様子で話す南さんの所があって常に怒られないように生活しなければいけないって普通に考えても無理だなって思うんですよね。生きることを諦めてしまうほどに現状が辛かったんだと思うと涙が止まらなくてただただ生きててほしかったのにと思ってしまった。見る側のエゴだとは分かりつつも、誰かが亡くなるのを見るのは辛いものがあるので。

主人公の祐介の選択も辛かったですよね。自分の気持ちになかなか素直になれずに流れのままに莉緒と付き合うことになって、聖羅ちゃんの辛い気持ちには気づけずにやっとわかった時には本人はもう居ない。そこからの10年は本当に大変なものだったんだろうなぁと思うし、後悔ばかりがぐるぐるしていただろうから聖羅ちゃんの幻が最後会いに来た時に今度こそ間違えないようにしようと側に居る選択(命を投げ出す)ことを選んでしまったんだなと結末にめちゃくちゃ衝撃を受けましたが、これがバッドエンドかと言ったら一概にはそうは言えないんだろうなぁなんて思いました。もちろん生きているのがいいとは思うんですけど、好きな人が居なくなった世の中を生きるしんどさというのはその人にしか分からないわけで暗く落ち込んでいる状態の祐介に生きろ!とはきっと言えなかったんじゃないかなと感じました。人には人の生活だったり生き方があって、だから好きな人と一緒に居るためにその選択を選んだならばその人にとってはそれが幸せだったのかもしれない。

残される健吾や莉緒の気持ちを考えると計り知れないですけど止められなかったことを悔やむのか、祐介がした選択を受け入れるのか。何をしても止められるとは思ってなかっただろうから遅かれ早かれそうなるかもしれないとは考えてた可能性はあるかもなと思いました。健吾がただただ良い奴でずっと面白くて見てる時笑ってしまいました。唯一の笑いポイントだったようにも感じます。おちゃらけてるけど実は性格が良い男子は一人いて欲しいですよね。聖羅ちゃんが亡くなったことを悔やんでその地に居るために先生になって、小松先生と同僚になったり。

莉緒と風太が一緒に居る選択を選んだの結構以外だったけど、莉緒が祐介と別れた後に出会ったのが風太だったところでその時にすでに一緒に居ることを決めてたのかと思ったらどっちもズルいキャラだなぁと思うけど一番に好きな人と必ず一緒に居るかと言えばそうじゃないだろうし、他の誰かを見ていても側に居たいって思えること自体がすごくて一緒に居ることで前を向けるならそれはそれでいいのかな。

駒形さんが演じる小松先生の奥さんのキャラクターもすごかったなぁって思いました。駒形さんの演じ方がお上手。聖羅ちゃんとの掛け合いの所だったり、小松先生との会話だったり見ててすごい惹き込まれました。もう自分は長くないと分かりつつも聖羅ちゃんに優しくしてくれて、明るく振る舞っていて小松先生とのなれそめの話の所きゅんとしたりして。

全部見終わった後正直何が起こった…?って気持ちだったり、え、ここで終わる?ってなったけどようやく落ち着いてみて色々考えさせられる朗読劇だなと思いました。主役2人椅子に座ったままいるんですもの。まさか自分たちが先に劇場から出ることになるとは思わなかったよね。眠るようにいる祐介と聖羅ちゃんがまた切なくて、プロキオンルートも見たかったなぁ。どんな選択をしても後悔がないように居たいし、出来ることならば星の向こうでは祐介と聖羅ちゃんが幸せであるようにと願わざる得なかったです。

南さんの制服姿見れて良かった!とかやっぱり皆さんいい声だなあーって感想とかもあるんですけど、まず思ったことを書き出してみたら全部重くなってしまった。見に行けてよかったです。

追記
南さんが無音の中で突然ZONEの「Secret base~君がくれたもの~」を歌い出すところぐっと来ました。音取りにくいだろうに2回歌う流れがあってばっちり歌えてたのすごかったなぁ、花凛ちゃんと合わせて歌ってたのもいいし、汐谷さんと笹さんも歌が上手かった!笹翼さんは面白かったですけど(笑)声量で押し通した感半端なかった。10年後にまた会おうって歌詞がエモさを引き出してますよね。

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