心臓日記第2部 その1──説明、準備、手術開始

 一回目の手術から約四カ月を開けての二回目の手術の日が近づいてきたので、入院説明を受けに病院に行く。すぐ終わるかと思っていたら、先に全体説明とか薬剤師さんのチェックとかもあって意外と時間がかかった。
 入院説明窓口で詳しく会話。一度入っているのでだいたいは分かっているけれど、計画的にやろうとすると書類がとんでもなく多いことに驚く。前回の緊急手術は、これぜんぶすっ飛ばしてやったわけだ。すごいな。
 一回目の入院中、検査に行くときに院内レストランの前を通るたびに食品サンプルを指をくわえて見ていたのだが、帰りに遂にカツカレーを食べた。塩分2.5g。もうめっちゃくちゃおいしくて泣きそうレベル。こんなにおいしいカツカレーは初めてだった。

 そして入院の日。荷物を持って病棟に行くと「元気な人はこっちです」と、前とは違う部屋に入れられる。少し狭い気がする。前回もお世話になった看護師さんたちと顔を合わせると「あれ? また来たの?」「今度は早く出られるといいね」などと言われる。
 一日目は手術事前準備で、心電図、血圧、レントゲン、採血、そして点滴を一晩中入れられる。そしてなんと手術後のごはんが選択できる。一回目とは大違いだ。明日の手術楽にすめばいいな、ご飯好きなの食べられるし、退院もすぐできるらしいし。しかも今回の手術では、あの死霊のはらわたライジングこと尿道カテーテルをやらなくてよいのだ。これだけで勝ったも同然であった。
 一回目は急性心筋梗塞からの心原性ショックだったので、単にステントを入れればいいというものではなく、そもそも心筋壊死してるし早くやらないと心臓止まるしインペラを入れるし、と大がかりな手術になった。それと比べて今回は、一回目に処置した冠動脈一本目に加えて次に危険な二本目にもステントを入れるという、ふつうにPCI。しかも今回はカテーテル挿入を手首からアプローチする(一回目はインペラもあったからか、鼠径部からだった)ので、時間も短いらしい。一回目からすると天国のような手術。

 次の日、朝一で車椅子に乗り手術室へ。一回目は救急車からそのまま手術室へ入れられ意識もうろうで何をやられているのか分かっていない6時間だったが、今回は何をどうされるのかを理解している。きちんと意識がある状態で手術室に入ったのも、もちろん初めて。なんだこれ宇宙船? みたいな機材がいっぱいだった。そしてベッドが細いことに驚いた。
 さすがに緊張しながらベッドに横になる。局部麻酔をして、左手首からカテーテルを入れる。想定通りであれば1, 2時間の手術らしい。

 が、残念ながらそうはいかなかった。

(つづく)

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