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【ネタバレあり】イマジン?|映像制作の世界はブラック?それとも?

あらすじ

「朝五時。渋谷、宮益坂上」。 その9文字が、良井良助の人生を劇的に変えた。飛び込んだのは映像業界。物語と現実を繫げる魔法の世界にして、ありとあらゆる困難が押し寄せるシビアな現場。だがそこにいたのは、どんなトラブルも無理難題も、情熱×想像力で解決するプロフェッショナル達だった! 有川ひろが紡ぐ、底抜けにパワフルなお仕事小説。

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感想

「映像制作」に携わる人がテーマとあって、最初はYouTuberのこと?と思いました。
実際の内容は、昔から連綿と続く映像業界の話でした。

昔から変わらない世界でもあり、どんどん変化が起きている世界でもあり。

映像制作に関わる会社は、現場のあらゆる仕事を請け負う。

ロケハン、差し入れ、お弁当の確認、エキストラの指導、許可取り、小道具の用意、梱包、控室の設置、予算管理………………

ありとあらゆる仕事を請け負う、スーパー集団だった!

さすが有川さん。
登場人物みんな生き生きとしている!

メインストーリーの中にも、現場を変え、視点を変えて描いていくのでメリハリがある。

あくまでもこの話はフィクション。
業界の本当の姿はわからない。

でも、しっかりと取材して、裏をとって、実態をおさえているのは間違いないはず。

なんといってもおもしろいのは、有川さん本人の作品がオマージュとして出てくること。

「空飛ぶ広報室」→「天翔る広報室」
「植物図鑑」→「みちくさ日記」

映像を支える人の心意気

映像制作者は日の目を浴びることはない。
でも、その立ち位置を誇りに思いプロ意識を持って働く

演者が一番前に出てくれる。
批判も全て受け止めてくれる。
だから、裏方は全力で彼らをサポートする。

俳優は華々しいだけじゃない。
それこそ映画がコケたら、彼らの今後の活動に大きく影響がでる。

今まで某事務所のアイドルがまた映画主演⁉︎なんて思ってたけど、
彼らの背負うものはすごく多いんだ、と改めて気付かされた。

ワンマン監督

今もいる……んだろうな。
自分の作品のために、すべて奴隷のようにこき使う人。

罵倒は当たり前。
スタッフが潰れても関係なし。
むしろ、携われたことに感謝しろといわんばかりの姿勢。
「荒れる現場」が、いつまで続く変わらない恐怖…
それでも受注した仕事は、確実に遂行するプロたち。
多 複数の会社が集まって制作するから、初めましての人と連携を取らなければならない大変さもある。

いくら著名な監督とはいえ、人間性クズな人の元では情熱を持って働けないよなぁと感じた。

映画原作者の目線

これ、有川さんも痛いほど経験してきたんじゃなかろうか。

原作がある作品の映像化。

ぜっっったいに批判がくる。

原作ファンが、公開前から「イメージと違う」と大騒ぎする。
それを原作者はどう捉えるのか。

実際に撮影現場に足を運び、すり合わせをすることもあるだろう。
原作者も制作と足並み揃えて頑張ってるはず。

作品ファンの暴走を、原作者はどうゆう風に感じてるのか、作品を通して代弁しているようだった。
(と、勝手に感じました)

プロデューサーのアレっぷり

最後に出てくる現場のプロデューサーのアレっぷりといったら!!

おいっ!

いいところだけ掻っ攫おうとして、大失敗!
そして責任なすりつけ!!

ムカつく〜!!

原作者の神対応と、奇跡の演出を台無しにしたプロデューサー!!

ろくでもないやつが権限をもつと、非常に厄介なことになるのはどこも一緒ね…

完全に目測誤って取り返しのつかない大失態!

ちょっと前に話題になった「100日後に死ぬワニ」を彷彿とさせる。

いくら作品が良くても、プロデューサーや広告代理店が最後にやらかすなんて……

悔やまれるなぁ。

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