魚好き
鯉をみると
魚がすごく好きだった父のことを
思い出す。
幼い頃、海釣りもよく連れて行って
もらったし、
夜釣りにもよく行った。
夜の港の海のにおいや
真っ黒い海が波止場で
チャプチャプいっているあの
夜釣り独特の雰囲気は
大好きだった。
幼い私は
父が釣りをする傍ら
小さなフグとか
落ちている干からびた魚の
死骸を拾っては遊んでいた。
父の魚好きは、
釣りだけでは飽き足らず、
鯉の養殖やタナゴの養殖まで
やってしまうほど。
養殖といっても
子供の目から見ても
なんだかすごく自己流で、
全く収入にはなっていない
ように見えた。
今となっては
少しは収入になっていたの?とか
聞いてみたい。
「人にあげた」とか
「学校に寄付した」とか、
そんなことばかりが耳に入ってきた。
父の池は、
見た目が田んぼに近いような
泥の池だった。
そのせいか、肝心の鯉よりも
タニシとかザリガニばっかり増えて、
いつも駆除に困っていた様子を
思い出す。
ある時、
そんな噂をどこから聞きつけたのか、
東京の方からタニシをいただきたいと
いう人が訪れて、山ほど持って帰って
くれたと聞いた。
大量のタニシを
一体何に使ったんだろうと
いまだに謎である。
まさか、食べたのかな。
いや、まさかね…。
それから、
鯉からタナゴの養殖に切り替えた時は、
またもや
メインのタナゴよりも
クチボソ(むつご)ばっかりが
増えていく始末で。
なかなか父の自己流な養殖は
うまくいってないようだった。
だから子供の頃は
よく手伝いに駆り出され、
魚の選別をやらされた。
タナゴのオスとメス、
クチボソの3種類それぞれを
分ける。
そしておそらく、
クチボソ以外を売りに行ったのでは
ないかと思われる。
何の役にも立たないが
そういったわけで、
私は、タナゴのオスとメス、
クチボソを
一応 見分けることはできる(笑)。