暗記で揃えるCPファースト入門~基礎編~

皆さんこんにちは。いかのおすしです。

テレワークの日の昼食に困っていますでしょうか?1時間しかないから簡単に済ませたいですが、昼食は平日においては超重要イベントなので納豆ご飯で済ませるのはちょっと寂しいですよね。

今回は、CPファーストの話をします。CPファーストとは3*3*3の解法の一つで、その名の通りCP(corner permutation)を先に揃えます。CPファーストの原理と考え方については、アドカレで書きました。

上記の記事はあくまで理論の話であり、実際のソルブに使うにはさらなる工夫が必要です。また自分で紹介しておいてなんですが、CPファーストの原理はかなり難しいです。ちゃんと理解して実行しようと思うと、とても15秒では足りません。

今回は、事前にまあまあな量の暗記をしておくことによって、インスペクションの15秒で考えることを極限まで減らそうという話をします。

本記事では、原理についてはほぼ言及しません。仕組みも理解したい!という人は、前述のアドカレの記事を先に読んでください。一応、本記事だけでもCPファーストができるようにはなっています。

準備

コーナーナンバリング

以下わかりやすいように、キューブを持つ向きはU面が白、F面が緑で固定します。スクランブルするときの向きです。

この状態で、コーナーに以下のように名前を付けます。目隠し競技とは異なり、ステッカーではなくコーナーパーツそのものにナンバリングします。

コーナーナンバリング

残り二つのコーナーはR, Uによって移動しないので、ナンバリングしていません。(この二つが崩れていたらそもそもR, Uでは揃わない)

コーナートレース

この先「コーナートレース」の考え方がよく出てきます。以下のような図の矢印の向きに、コーナーパーツのナンバリングを読むことを意味します。また、コーナートレースの結果得られるナンバリングの列のことを、「コーナー列」と呼ぶことにします。
こういう感じの図がこの先めちゃくちゃ出てきます。

コーナートレース

#なぜか青のセンターだけ色がついているのは気にしないでください。うまい画像が手に入らなかっただけです。

コーナーパリティ

5番のパーツを正しい位置に移動させるために必要な90度回転の回数をコーナーパリティと呼ぶことにします。
具体的には、5番のパーツ(黄赤緑)が以下の紫の位置にあるときはパリティが偶、黄色の位置にあるときはパリティは奇になります。

コーナーパリティ

#どうでもいいコラム#
パズルや解法によって「パリティ」の意味は異なりますが、だいたいは何らかの操作orパーツの数の偶奇を指しています。
そういえば、4*4*4のOLLパリティは中層の90度回転の回数の偶奇ですが、PLLパリティは何なんですかね?なんとなく柿ピーが関わっている気がしますが、今度考えてみます。

CP分析

CPの分析をしていきます。
ゴールは「コーナートレースによってコーナー列を得ること」です。

覚えるべきもの

本記事の本題①です。5番と6番のパーツの位置によって、コーナートレースの順が異なります。5番と6番のパーツの位置は15通りあるので、15通りに対応するコーナートレースの順を覚えます。

5番と6番のパーツの位置を緑の丸で、コーナートレースの順をオレンジの矢印で示しています。

コーナートレース表

ここでルールその1
「パリティが偶の時は矢印の順で、奇の時は矢印の逆順にトレースする」
です。

分析例

※この先に出てくるキューブの図は非常に見づらい(高度なコーナー透視が必要)ので、実際にキューブを回しながら読むことをお勧めします。

スクランブル:R U2 R' U F R F' R2 U2

スクランブルした状態

5番と6番のパーツはUBLとDBRにあります。先ほどの表でいうとDiagonal Aの4番です。(以下、「DA-4」と呼ぶ)
また、コーナーパリティは奇です。

よって、以下の図の矢印の逆順にトレースします。
UFR→UDR→UBR→UFLの順です。

この順にコーナーパーツのナンバリングを読むと、4,1,3,2となります。
これでCP分析完了です。

より高速な分析

(原理は省きますが)コーナー列は任意の数だけ左右にシフトしてもよいです。例えば4,1,3,2は、1,3,2,4でも3,2,4,1でも2,4,1,3でも同じ意味です。
そこで、以下のようなルールで分析を高速化します。

STEP0:コーナートレースのケースを特定する
STEP1:4番のパーツ(白緑赤)を見つける
STEP2:4番のパーツを起点として、矢印2つ分だけトレースする

先ほどの例だと、4番のパーツはUFRにありました。ここを起点として矢印二つ分、すなわち、1、3までトレースします。残り一つは当然2なので見なくてよいわけです。この時、CPは単に「13」と表現できます。

例えば
スクランブル:F' U2 F R2 を考えます。
黄色コーナーの位置より、コーナートレースはDA-2です。

パリティは奇なので、以下の図の矢印の逆順にトレースします。

4番はDFRにあるので、ここを起点としてまずUFLを見ます。白緑橙なので1ですね。ここで矢印の終点に来ましたが、こういう時は始点に戻ります。DBRを見て3です。
よってCPは「13」とわかります。

CPを揃える

覚えるべきもの

1.CPを揃えるための交換対象
CPは、12、13、21、23、31、32の6通りがあります。それぞれに対して、CPを揃えるのに必要な交換を覚えます。以下の表の通りです。

CPを揃えるための交換対象リスト

2.CP交換トリガー
CPを交換するためのトリガー手順を覚えます。
① F' U' F
FUにある2つのコーナーを交換します。

② F' U F(F R' F'でも可)
URにある2つのコーナーを交換します。

③ F R F'
UBにある2つのコーナーを交換します。

CP実行

先ほどのトリガーを使ってCPを実行します。
1手以内で、先ほどのトリガーのうちどれかに帰着することができます。(証明略)またほとんどの場合で0手です。

先ほどの例では、CPは13だったので、2と3、1と6、4と5のいずれかを交換すればよいです。

先ほどの例:R U2 R' U F R F' R2 U2

例えば R とすると、4と5がUBに来ます。ここでUBの2つのコーナーを交換するトリガー「F R F'(トリガー③)」を回すと、CPが揃います。

実際にここから R U' R' U' R U' R U2 R' とすると、U面のコーナーはL無交換の形になっており、CPが揃っていることがわかります。

#今回はRでセットアップしてUBに2つを集めましたが、他にも例えばスクランブル状態から R2 とすると、1と6がURに来ます。ここでURを交換するトリガー「F' U F」を回すと、同様にCPが揃います。

入門解法としての提案

上記の方法で、最大4手でCPを揃えることができます。ただ、これを実際にやるには交換対象のパーツ(さっきの表)を全部覚えたり、トリガー3種類のうちどれにセットアップするかを考えたりと結構大変です。そこで、CPファーストの入門として次の方法を提案します。
 ① 1のパーツの交換先を覚える
 ② 1のパーツをUFLにセットアップする
 ③ 交換先のパーツをUFRにセットアップする
 ④トリガー「F' U' F」でCPを揃える

サンプルスクランブル:R F R F' U2 R' U'

スクランブル図

① 1のパーツの交換先を覚える
先ほどの表のうち、「1と交換すべきパーツは何か?」を覚えます。
今回、CPは「32」なので、1と交換するパーツは3です。

CPを揃えるための交換対象リスト(再掲)

これはCPのケースに対して1対1対応するので覚えやすいです。

② 1のパーツをUFLにセットアップする
1のパーツ(白緑橙)はUFRにあるので、 U とするとUFLにセットできます。

③ 交換先のパーツをUFRにセットアップする
Uとした状態で、交換先の3はUBLにあります。ここから
U R U' R2とすると、3のパーツをUFRにセットできました。

#ちなみにここでは単にU'としてもよいです。

④トリガー「F' U' F」でCPを揃える
1のパーツと、その交換対象がUFにある状態になったので、トリガー「F' U' F」を回します。これでCPが揃いました。

#振り返り
スクランブル:R F R F' U2 R' U'
U // 1番のパーツをUFLにセット
U R U' R2 // 3番のパーツをUFRにセット
F' U' F // トリガー

というわけで、原理を理解せずとも、CPを揃えることができるようになりました。CPが揃った後は、RとU、およびスライスムーブのみでキューブを揃えることができます。CPを揃えた後の具体的な揃え方についてはYruRU methodや、CP-Rouxの解説を読んでみてください。

ちゃんとCPファーストを使うためのtips

y持ち替えしてもU面のナンバリングは変えなくていい

今回は白U、緑Fの場合について考えましたが、実際はy/y'/y2持ち替えをした4通り(欲を言えばx2持ち替えも加えた8通り)でできたほうがもちろん良いです。

ナンバリングが変わるので難しそうに思えますが、y持ち替えをしたとしても、U面のナンバリングは変えなくてよいです。
例えば白U、緑Fの状態からyとした状態でのナンバリングは以下で良いです。(原理は省略)
すなわち「白緑橙は1番」などということは変わらないことになります。

y持ち替えしたときのナンバリング

5番と6番はナンバリングが変わりますが、これらはそもそもトレースしないので問題ないです。コーナーパリティを判定できれば良いですが、これは
1.5番の位置を見て探すべきパーツの色を考える
2.そのパーツを探す
という単純な操作によって判定できるので、ナンバリングが変わってもさほど大変ではないです。
よって、仮にx2持ち替えを含む8通りを身に付けようと思っても、覚えるナンバリングは白Uと黄色Uの2通りしかないわけです。
#3*3*3がCNの人は6面×y持ち替え4通り=24通り全部使ってもよいかもしれません。自分はできませんが、、

現実的なCP実行の手順について

あくまで筆者はこうやってるよという話です。一番いいかはわからないです、そもそもCPファーストは使用者が少なすぎて、何が正しいのか全然わからないです。速い人はぜひCPファーストを覚えて正しさを教えてください。

1.まず、CPを分析します。トリガー3種類を全部見て、CPが揃うものがあればそれを採用します。
2.ない場合は、1番のパーツと、その交換対象のパーツをくっつけます。例えばUFRとDBRにある場合は、U'とすると縦にくっつきます。
3.くっつけた2つをU面に持ってきて、トリガーを回します。今UBRとDBRにあるので、R'としてU面に持ってきて、トリガーF' U Fです。

CP分析の練度によりますが、この手順なら15秒でも十分可能です。

終わりに~発展編へのつなぎ~

ここまで読んでくれた皆さん。これで皆さんも晴れてCPファースト使いに!

、、と言いたいところですが、まだまだです。今回やったのはあくまで「DLの2つのコーナーが最初から揃っているとき」の話です。

発展編では、DLの2つのコーナーが揃っていないときの方法について解説します。今回の話よりもやや複雑ですが、覚えることはもうそんなに増えません。

また、DLの2つのコーナーが揃っているとき(ヘッドライトができているとき)に限りCPファーストを使う、でも面白いです。

ではでは。次回またお会いしましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?