素人が時間無制限FMCをやる|FMC Advent Calendar 2023 1日目
皆さんこんにちは。いかのおすしです。
本記事はFMC Advent Calendar 2023の1日目の記事として書いています。
今回のテーマは「時間無制限FMC」です。
1時間という制限を取り払って、納得がいくまで解答を練っていいというやつです。
ただしここでいう時間無制限とは、2時間や3時間のことではないです。
執筆開始時点の11/16~記事公開の12/1までの2週間を使って少しでも良い記録を出そうという趣旨です。
使用したスクランブルは以下です。
1時間目 普通にFMC
自分がどれくらい素人かを示すために、まずはきちんと1時間という時間制限で解いてみます。
ここを長く語っても仕方ないので、出来上がった解答は以下です。
いたって普通の、特にうまくもないBBです。
1個目のインサートは4手キャンセルがOptimalでした。
2個目のインサートは2手キャンセルがあったようですが、時間内には見つけられませんでした。
ちなみにこの時点ではまだNISSは使えません。
ルールの確認
ここで、本挑戦のルールを確認しておきます。
今回の趣旨は「素人が時間無制限で取り組んだらどれくらい上達するか」のため、期間内の、FMCについての一般的な勉強はOKとします。詳細なルールは以下です。
【本挑戦のルール】
WCAの定めるFMCのルールに以下を加える
・時間は無制限とする
・使用していいキューブの数は無制限とする
・以下の禁止事項に抵触しなれば、電子機器を用いてもよい
やってよいこと悪いこと
○:NISS、EO、DRなど、FMCについての勉強
○:別のスクランブルを使用した練習
○:DRトリガーなど、新しい手順の習得
×:Insertion Finderの使用
×:他人との協力プレイ、他人の解答を参考にすること
以上のルールに則って進めていきます。
2時間目 NISSを学ぶ
執筆開始時点の自分は、NISSもまともに使えませんでした。
NISSにはいろいろな理解の方法がありますが、自分にとっては円を書いて理解する方法が一番しっくりきました。
学んでみると、意外にも簡単な概念でした。
3時間目~20時間目 DRを学ぶ
今の主流はDRということで、DRを学ぶことにしました。
DRは2年くらい前からなんとなく知っていたのですが、「DRの後ってどうやって揃えるんだ??」が解決できず、手を出さずにいました。
そういえば10月のしんゆりキュービングルームでshotaさんが、「Hyper Parity」という概念について話していたことを思い出し、せっかくなのでやってみようと思いました。
とりあえず「Hyper Parity」を読み、DRを渡されたらだいたい何QTかわかる人になりました。この時点ではDRはまだ作れません。
DRを作るにあたってはとりあえずDRトリガーというものを覚えなければいけないらしくとりあえずここにある1~13を覚えました。
#後で振り返ると、そんなに覚えなくてよかったぽいです。
他のスクランブルで何度か練習し、12~16手くらいあれば、安定してDRが作れるようになりました。
なぜか先にHyper Parityを履修していたおかげで、ここからコーナーHTRが作れるようになるまではすぐです。
ただコーナーHTRは作れるのですが、エッジがなかなか合わせられません。結局、HTRを作る過程の中に「U F2 B2 U (4e)」や「U F2 R2 B2 U (2e)」をうまくインサートしてエッジを合わせる方法に落ち着きました。
#いまだにこれをやっているのですが、うまい人はどうやってるんですかね?次のしんゆりで有識者に聞くことにします。
HTR完成からFinishまではなんとなくで揃えています。FRという概念があるっぽいのでそのうち履修したいですね。
21時間目~30時間目 本番のスクランブル
では、本番のスクランブルをDRで解いていきます。
#最終的な回答につながる思考過程のみに抜粋して書いています。
まずはEOを探します。
解いた方ならわかると思いますが、ロクなEOがないです。
いつもはまず3手、4手EOを並べるのですが、3手EOはありません。
4手もストレートに行けるものはなく、結局
(B*) R2 D F*
(B*) D R2 F*
の都合8つしか見つかりませんでした。
ちなみにUD軸EOは見てないです。難しいので
まず(B) R2 D F について、
UD軸から見ていきますが、うまいRZPはなかなかありません。
LR軸に移りますが同じくあまりよくなさそうです。
次に(B) D R2 F を見ていきます。
UD軸について、U L とするとDR-4e4cの形になり、
ここからU D' R2 F2 R とするとDRが完成します。
これはBar/Slash、Barsのevenなので4QTです。11手DRなのでいつもなら採用してもいいのですが、制限時間なしなので捨てます。
LR軸について見ていくと、
(B2 R' D') とするとDR-4e4cの形になり、
そのまま (U2 R' F2 U) とするとDRが出来上がります。
キャンセル込みで10手DRです。
これはBar/Slash、One barで、oddなので3QTor5QTです。
3QTか5QTかの判別は割と簡単で、QT1回で側面をBarsにできるかどうかを見ればよいです。
今回はそのまま (R) とすると側面がBarsになるので、3QTの方であることがわかりました。しかも、(R) とした状態がすでに2QTになっており、実質11手2QTになったので採用することにします。
#ここまで整理
(B') D R2 F // EO
(R' D') // DR-4e4c
(U2 R' F2 U) // DR 3qt
(R ~~ この先
Hyper Parity Maze(なぜか覚えている)的には、次のQTでBars/One faceを目指せばよいです。
(U2 R2 U2 L') とすると、無事Bars/One faceにすることができました。
ここからさらに(L2 U2 L') として、コーナーHTRの完成です。
(R U2 R2 U2 L U2 L') // corner HTR
ここからいろいろとこねくり回して真のHTRを目指すわけですが、
(R D2 R2 D2 L F2 R) とすると、真のHTRになりました。
さらにここから(B2 U2 L2 U2 F2) とするとスライス残しの3eになるので、インサートします。
以下が最終結果になります。
#最終解答
(B') D R2 F // EO(4/4)
(R' D') // DR-4e4c(2/6)
(U2 R' F2 U) // DR 3qt(4/10)
(R D2 R2 D2 L F2 R) // HTR(7/17)
(B2 U2 L2 U2 F2) // 3e(5-1/21)
skeleton : D R2 F' U2 L2 U2 B2 R' $ F2 L' D2 R2 D2 R' U' F2 R U2 D R B
$ = R' L D2 R L' F2 // finish(6-4/23)
solution : D R2 F' U2 L2 U2 B2 R2 L D2 R L2 D2 R2 D2 R' U' F2 R U2 D R B (23 moves)
というわけで、最終的な解法は23手でした。
31時間目 振り返り
#3eからスライスインサートをすれば21手になるらしいです。
シンプルなインサートなので十分見つけられる範囲でしたね、、
無限に時間使ったらsub神できるのでは、、?などと考えていましたが、現実はそう甘くなかったです。
ちなみに記事の中では割愛しましたが、他に24手の解法を1つ、25手と26手の解法を3つずつ発見しています。えらいと思います。
今回は合計10時間くらいこのスクランブルと向き合ってようやく23手を出すことができましたが、トップ選手は1時間でこれよりもさらに深いことをしていると思うと、、尊敬の念がやみません。
この2週間、FMCに取り組んでみて見えてきた課題は以下の通りです。
1.UD軸のEOもちゃんと使う
今回のスクランブルでは、UD軸なら4手EOが結構あったぽいです。UD軸EOを使うだけで選択肢の数を1.5倍にできるので、覚えます。
2.スライスインサートを使う
HTRをやるならスライスインサートは必須技術と実感しました。
3.RZPの練度を上げる
うまい人は「RZPは5手以内」と言いますが、現状は1~3手しか使えていません。
逆に言うと、これらができれば安定して時間内にsub30できるのかなという印象です。
自分は画期的な解法にフリーライドしてうまくなるのが得意(7-simul、OH rouxなど)なので、せっかくならDRもちゃんとやりたいですね。
おまけ1 練習でも23手出しちゃった
練習中にも23手を出してしまいました。
これは結構偶然で、
1.自分にしては短いDRが見つかり、
2.それが2QTとなかなかよく、
3.HTRまでのHTも少なく、
4.HTR後のフィニッシュも見えやすい
というラッキーが重なった結果です。
ちなみに誰かが「とんでもないラッキーを引くため、1時間内での試行回数をとにかく稼ぐのがFMC」と言っていた気がします。
ただこれも、今思うと自分で2QTと言っておきながら実際には4QTかけてHTRにしていたり、ツッコミどころは満載です。
ちなみに、DR以降例えば「U2 F2 R2 D' R2 B2 D」とするときちんと2QTでHTRが完成します。
おまけ2 制限時間1時間で2試技目をやる
時間無制限FMCをやってどれくらい上達したか、2試技目をやって確かめてみます。
まずはEOを探します。
3手EOはありませんが、4手EOが5セット見つかりました。
R* (U2 D' R)
(B R' U2 F)
(B U R' F)
(R' B U2 F)
この内、(R B' U2 F) はすでにDR-4e4cになっているのでいったん進めます。
(F2 D2 F2 L2 D' L2 D' L U2 L) として13手DRが完成します。13手はまあまあですが、5qtなので却下です。
次に (B U R' F) を探してみると、
”ここでNISS”
U R L2 U F2 U2 D R' とすると12手DRになります。
これはBar/Slash、One Barのoddなので3or5qtです。
このままUとすると側面がBarsになるので、3qtで確定です。今Uしたので実質13手2qtになりました。
ここから
B2 D B2 U' とするとコーナーHTRが完成しました(HTR-2e)。いろいろこねくり回しても真のHTRにはならなかったので、U L2 R2 B2 U' を付け足して、
B2 D B2 L2 R2 B2 U' として真のHTRにしました。QTは増えていないので良いでしょう。
ここまでまとめ
(B U R' F) // EO(4/4)
U R // RZP(2/6)
L2 U F2 U2 D R // DR 3qt(6/12)
R2 U B2 D B2 L2 B2 R2 U' // HTR(9-1/20)
比較的ばらばらのHTRです。そのままFinishはできず、
U2 L2 F2 R2 U2 R2 B2 R2 D2 // 3e+slice(9-1/28)
としました。
後はインサートするのみ
(B U R' F) // EO(4/4)
U R // RZP(2/6)
L2 U F2 U2 D R // DR 3qt(6/12)
R2 U ** B2 D * B2 L2 B2 R2 U' * // HTR(9-1/20)
U2 L2 F2 R2 U2 & R2 B2 R2 D2 // 3e+slice(9-1/28)
& = F' B U2 F B' R2 // leave slice(6-3/31)
* = E , ** = E2 // finish(6-5/32)
というわけで、32手でした。自分的には悪くないです。