見出し画像

簡易PP-PLL手順表を作りました|すべての手順群は"必要"という話

皆さんこんにちは。いかのおすしです。

5月下旬に石川県でWCA北陸2024が開催されますね。開催種目の一つに4×4×4があり、練習に励んでいる方も多いのではないでしょうか?

3にはなくて4にはある概念は色々ありますが、その中でもパリティは厄介なものの一つです。センター、エッジペアリングと揃えてやっと3と同じ状態にしたにもかかわらず、3では出ないパターンが出ます。

パリティにはOLLパリティとPLLパリティがあり、OLLパリティについては以前に書きました。

記事の中で「OLLパリティの扱い方はトップ層でも意見が割れている」と書きました。これはその通りです。一方PLLパリティについては、
  「PP-PLLを使うのが良い」
ということで、トップ層は一致しています。今回はこのPP-PLLについてのお話です。

※PP-PLLに関しては、4×4×4アジア3位のさむさんが記事を書かれています。単なる手順だけでなく、判断の方法やAUFをキャンセルするテクニックなどについても詳しく書かれており、大変参考になります。正直これを読んでいただければ自分の記事は読まなくてよいです。

PP-PLLとは?

PP-PLLとは、PLLパリティとPLLを同時に処理するためのテクニックです。
例えば以下のケースはPLLパリティが生じているので、普通は適当にPLLパリティを回して出てきたPLLを回す、というように2lookで解きます。

PP-PLLでは、これを1lookで解くということをします。具体的には、この向きから
R U R' F' R U R' U' R' F R2 U' R Rw2 U2 r2 Uw2 r2 Uw2
と回すと揃います。※1

PP-PLLは全部で22手順あり、通常のPLLを合わせて43通りです。4の場合はPLLが43個に増えたと考えるとわかりやすいでしょう。
新たに手順を23個覚える、というと警戒されるかもしれませんが、PP-PLLでは新たに覚えるべき手順はほぼありません。

先ほどのPP-PLLは、実は「Jb-perm + PLL Parity」という構成になっています。すべてのPP-PLLは以下の3通りに分類されます。
1.簡単なPLLを回して対面PPを残すもの
2.対面PPを回して簡単なPLLを残すもの
3.PLL手順の途中で対面PLLを回すもの

すなわち、PP-PLLは
・どこからどのPLLを回すとよいか?
・どこからPPを回すとどのPLLが出るか?
を覚えればほとんど覚えたも同然です。しかも一部のものはほぼ自明です。


※1:小文字の回転記号(rなど)は、その層の2列目だけを回す、という意味で使用します。よって r = R2 Rw2 となります。

PP-PLLの判断

基本的にはPLLの判断と同じです。
PLLの判断は、ヘッドライトの位置とバー/ブロックの位置で行っている人が多いと思います。多くのPP-PLLはこれで判断できますが、残念ながらこれだけだと判断できない組が2つあります。

以下のPP-PLLは別のパターンですが、どちらもヘッドライトは左で、バーやブロックはありません。この両者を判別するにはヘッドライトやバー以外の概念を導入する必要があります。

バーとヘッドライトでは判断できない組

本記事では、判断できない組については妥協で2look(実質1.5lookくらい)の手順を使うことにしています。

具体的には、上記の二つは「ヘッドライト左でPPを回すとR-permが出る」ということを覚えます。どっちのR-permが出るかは、PPを回しながら判断します。

PP-PLLの手順

PP-PLLの手順の考え方については以下の二通りに分けられます。
1.22通りすべてについて、最も速い手順を覚える
2.PP+PLLを前提とし、できるだけ簡単なPLLで処理する方法を覚える
本記事では、「簡易版PP-PLL」ということで、2の立場に立っています。実際、1の立場で真に22手順のoptimalを使用している選手は少ないです。

具体的な手順については以下に表にまとめました。
コーナー無交換のPP-PLLは自明なものが多いです。
コーナー隣接交換のPP-PLLはT-permとJb-permを使って処理することを目指します。コーナー対角交換のPP-PLLはY-permを使って処理します。※2

上述の通り、本手順表では丸暗記が必要な専用手順は入れていません。
例えば以下の隣接エッジ交換はセットアップ+対面PPとしていますが、専用手順「Rw U r' U' Rw' U' Rw U Rw U' Rw' U' r' U Rw U R' U' R'」というのも存在します。

隣接エッジ交換

手数が少なく、場合によってはこちらの方が速いですが、覚えるだけの複雑な手順は使わないことにして、あくまで「簡単なPLLを使って処理する方法」としてのPP-PLLの手順表としました。


※2:T-perm、Jb-perm、Y-permについては、普通の一般的な手順の使用を前提としています。

PP-PLLはやるべきか?

OP-OLLは諸説ありましたが、PP-PLLやるべきです。

そもそもすべての手順群は、無限に時間があって、無限に脳のリソースが続くのであれば覚えるべきです。ただほとんどの人は無限時間をキューブに費やすことはできないので、限られた時間の中で効率よく速くなるには取捨選択が必要という話です。

PP-PLLはLook数が減る割に覚えるべき手順数が少ないですし、4×4×4を効率的に速くなろうと思うにあたり、良い方法だと思います。

#偉そうにいろいろ書いていますが、筆者は別に4×4×4は速くないです。思想部分については参考程度にとらえてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?