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電子顕微鏡の原理
フラクトグラフィは、破面に残された損傷の痕跡を手がかりとして、破壊の原因や機構を調査する技術です。これを調査する方法として、肉眼や、光学顕微鏡などの低倍率装置を用いる方法のマクロフラクトグラフィ、電子顕微鏡をなどの高倍率装置を用いる方法のマイクロクラフトグラフィとがあります。
マクロクラフトグラフィは、破壊現象の診断に極めて有効であり、破損解析の方向付けに重要な手段ですが、観察の精度が低く、破壊力学により導かれる理論との結びつきも不明確です。光学顕微鏡は倍率を上げると焦点深度が浅くなり、凹凸のある破面の観察には適さないこともあり、破面観察の手段としては非常に限定されたものでした。
その観察の困難さが、電子顕微鏡の発明により克服されました。電子顕微鏡によるマイクロフラクトグラフィでは、破面の微細構造と破壊理論との対応とがかなりうまく説明されるので、その妥当性が明確になったといえます。
電子顕微鏡は、まず透過型電子顕微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)が発明されました(1939年ドイツ・シーメンス社により商品開発)。続いて走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)の発明(1965年イギリス・ケンブリッジインスツルメント社が商品化)により、さらに破面観察は容易になりました。それぞれの原理と特徴について見ていきたいと考えます(図1)。
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