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14歳の私と大好きの再確認

14歳の時に着ていた服は、正直あまり記憶にない。でもきっと、今とそう変わらない格好をしていたはずだ。
……と思っていた。【着られない】服は、その時すでに決まっていたから。

「14歳の頃によく聴いた音楽が人生で一番心に残る」説がありますが、「14歳の時に着ていた服が人生の岐路を決める」というのもあるのかもしれません。

「14歳の時に着ていた服」があなたの人生を決めるかもしれない
ヴィヴィアン・ウエストウッドに夢中だった思春期の話

初めはタイトルの「14歳」に引きずられてふぅ〜んそんなものかとちょっと余所事だった。
みゆきはもっと小さい時から当たり前に流れていたし、お正月に着物に目覚めたのはたしか17,8くらいだったはず。でもそうか、14歳?

14歳の時に私はいったい何を着ていただろう

それこそトゲットゲに多感だった思春期以降、写真を撮られるのはどうにも苦手意識が拭えない。
ほとんど撮ってないけど……と思いつつアルバムをめくってみたら、一応、0枚ではなかった。フツーに半袖着ていた中学の頃の私の写真が残っていた。

半袖のTシャツ。
まったく全然、記憶の片隅にも存在しない服ではなかった。確かにきれいな青の色味とかロゴのきらっと感とか好きだったなと思い出しはした。
でも、ちょっと驚いた。

なんせ私のモットーは「真夏でも長袖 真冬でも日傘」
中学に上がる前に軽度の紫外線アレルギーと診断されてからは、制服以外はずっと長袖生活を送っていたと思いこんでいた。お日様に当たると体調が万全ではなくなるから、だったらもう先手を打って予防予防で、初めから物理的に肌の露出はしない。そういう生活が身に染み付いている。
必然的に、選べる洋服は限られてくる。春夏は特に制限が多い。真夏の海レジャーはもってのほかだし、春になったらパンプスに履き替えてスッキリ足首見せ、なんてのも基本アウト。
偏愛コレクションのストールが増えていったのも、首周りの防御力強化が始まりだ。一年中真知子巻きしていたい。
もうずっと、そんな格好で過ごしていたと……思っていた。

でも、写真の中の14歳の私はそうではなかった。
小学校の運動会に友達と遊びに行った時のものや、部活のみんなと一緒に遊園地ではしゃぎまくった一枚。
もちろん(?)夏の制服の上から一枚長袖を羽織ったものや、半袖短パンの体操服集団に一人ジャージで全然紛れていなかったりする写真もあったけれど、昼日中に、がっつり半袖で出歩いている私服の写真も、一枚ではなかった。
(当時は長袖の夏服も長袖の体操服も存在しなかった)(今、夏場に見かける母校の長袖夏服は、どれだけ暑くても更衣期間ギリギリまでずっと中間服で攻めた身としては少し羨ましい)

記憶って 割と簡単に改竄されるんですね

さて、(まだ講座は受けられていないけど)自問自答ガールズの一員になりたい身としては考えるわけであります。
14歳の頃の私は、半袖も長袖も、どちらもそれなりに楽しんでいたようですよ?
軽度だったことが幸いして、パンッパンに弾け飛ぶ若さと勢いで多少の不具合などはね退けて振り切っていったに違いないと、体力も抵抗力も下り坂まっしぐらな今の私は思わないではないものの。
大女優ジンジャーは、紫外線を気にせず思う存分海水浴を楽しめるプライベート惑星を持っていたけれど、そんな風にいつか何だかいい感じな技術が開発されて、お金も日焼けも年甲斐も、何一つ差し障りが無いとしたら。
果たして着たいだろうか?
半袖を? ノースリーブを? トレンドのミニスカにいそいそ乗っかる? 式服スカートに戦闘力0の繊細ストッキングを合わせてもため息をつかなくてすむ?

正直、よくわからない。
アルバムを見返すまでは、これまでも、これからも、ずっとずっと長袖生活だと思い込んでいたから。あまりにも当たり前すぎて、身に染み付いた前提がひっくり返るということが、長袖じゃない自分の姿が、うまく想像できない。
ただ、サンダルが履けたらいいなとは思った。
今は分厚い靴下の更に下にこっそり潜ませたペディキュアを、きらきらのお日様の下に。
白木の潔さに素爪のような薄紅をのせて清楚を気取っても良いし、塗りの艶にカラフルポップを増し増しにするのも楽しそうだ。

皆さんもたまには10代の時に着ていた服を思い出してみてくださいね。30代で着る服に迷った時、大きなヒントをくれるかもしれません。

「14歳の時に着ていた服」があなたの人生を決めるかもしれない
ヴィヴィアン・ウエストウッドに夢中だった思春期の話

と、ここまでつらつら書いてみて。
私、ファッションインジャパンにも登場する世界的な有名デザイナーさんの服着てた……カモしれない。しかもこの多感な十代の頃にピンポイントで、三年間毎日のように、がっつりと。

種明かしをするまでもない、通っていた学校の制服だったわけだが。
イケイケのバブル最盛期に新設された新参校らしいと言えばらしいのか、いわゆるスタンダードな紺のセーラー服でもなければ、チェックのスカートと大きなリボンがかわいいブレザータイプでもない、ひとひねり感のある凝ったデザインだった。
思い出してから念の為グルグル先生に聞いてみたものの、いろんな制服をデザインされてらっしゃるようで、残念ながらまとめの中にも我が母校は見つけられなかった。
なのでまあ、本当にその方がデザインしたのかどうかソースは真偽不明なのだが、たぶん地元ではそれなりに知られた話、だと思う。
制服としてはきっとあまり馴染みのない濃い地色に、よく映える金ボタン。遠目には地味色よく見ると落ち着いた同系色チェックという凝った生地、ちょこんと小振りな主張しすぎないリボン、ブレザーじゃないけどセーラーとも言い難い、なんとも表現しづらいあいまい加減……
なんてこった。

これまで千人単位の卒業生が同じ服を着てきたわけだから(制服なのだから当たり前だ)、人生の岐路を決めるかというとちょっと違うかもしれない。
それでも。

14歳の時に着ていた服には しっかり大好きが詰まっていた