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みゆきとモグラ活動と自問自答

※今回ファッションの話はしていません※

私の三分の一は、たぶんきっと中島みゆきでできている。
子守唄がわりというと大げさかもしれないけれど、物心ついた頃から当たり前のように流れていた。
能動的に、この曲「が」良いと正座して何度も何度も擦り切れるほどに聞いてきたというよりも、空気のように水のように、それが「ある」ことを意識しないほど当たり前に染みついている感じ。
そんな私の大事な根っこ、中島みゆきをあきやさんが引用されたとあれば、反応しないわけにはいかないでしょう。

この演目を見るときに、私の脳内ではずっと「戦う君の歌を 戦わない奴らが笑うだろう」とBGMが流れます。

落語っていいよねの話💡〜好きのモグラ活動〜
より引用

「闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう」

CMソングとしてご存知の方も多いでしょう。いろんな歌手がカバーもしています。
歌番組などで流れるサビを聞いたことがおありで「あ〜はいはい、あれネ」と思った方は、ぜひ歌い出しからフルで聞いてみてください。
たぶんきっと、印象が違ってくるんじゃないかと思います。

(ライブ盤やセルフカバーなど、ご本人が歌っているものでもいくつか歌い方が違うものも出ているので、あきやさんの脳内を流れている曲とは別バージョンかもしれません)
(どなたか別の方のカバー版をイメージしてらっしゃったら、その時は悪しからずごめんあそばせ)

先日の歌番組では、この「ファイト!」を珍しいことにサビだけでなく一曲フルに近いくらい流していました。
「優しいファイト! だ……」とつぶやいていた方もいましたが、ワイプで抜かれていたタレントさん数名は、初めのうち思ってたんと違う? とばかりにきょとーんとしているように見受けられました。
(※CMで有名になったサビしか知らなかったらそりゃその反応になりますよ、と思っているイチファンの先入観にまみれた感想です)
イントロの打ち込みに紛れるほど静かに、囁くようにそっと始まる歌い出しは、なんかいつの間にか、がんばる爽やか青春CMソング/応援歌の代名詞になってるのが、え? は? ってなるほどのギャップなんじゃないでしょうか。
CMと同じノリとテンションだと思って聞き始めたら、待って待って今なんて言った? って、たぶん歌詞を文字で追わないと意味が入ってこないんじゃないかなと思っています。

自問自答講座であきやさんとお話している中で、みゆきの歌で何か一曲だけ選ぶなら? と聞かれる場面がありました。
イヤイヤイヤ、ざっくり数えても400曲近く出してるのに、その中からたったひとつだけに絞るなんてそんな無茶を言いますか……!?
それでもニコニコ待ってくださるあきやさんの笑顔に励まされ、
えぇえここで超メジャーどころを出したらファンを名乗るのはおこがましいかも、と謎の抵抗心と偏屈の虫(全米が泣いたとか言われると、あ、じゃあ私は良いです別にとなるアレ)が悪さしながら、う〜〜〜〜〜んと長考に長考を重ねてぽろっと出てきたのは、この「ファイト!」でした。

はい、超メジャー曲ですね。(少なくともサビの部分は)
人の醜い狡い脆い部分が淡々と切々と沸々と歌われている、えぐい曲です。
それでも、ままならない現実のしんどさだけでは終わらずに、未来を信じている歌です。(と、私は感じています)
聞く人によって、聞いたタイミングによって、あるいは歌われた時期によって、それぞれに「響く」部分が変わってくる。
それがみゆきの歌の醍醐味のひとつだと考えていますが、なんとなく、自問自答ファッションの肝とも言える「みんな違ってみんな良い」につながるところがあるんじゃないのかなと今回感じました。


「私の作品は実用品コーナーでお求めください」

鍋、釜とかザルとか、そういうものと一緒でね。
それを使うことで生きていくのが便利になったり、何か気晴らしになったりすれば十分だと思うんですね

『筑紫対論Ⅱ』
中島みゆき 言霊を追う女神 より

あきやさんから受講後に届くレポートの、先人の名言のページの一番真ん中にどどーんと載せてくださっていた言葉です。
芸歴が長く多作とくれば、歌にまつわるエピソードやいわゆる名言は、ちょろっとネットを探せばきっと星の数ほど出てくるでしょう。そんなたくさんの言葉の中からこの鍋釜発言をチョイスしてくださり、しかもそれが私のツボにじわじわ効いている。
何度でも言う。すごいなあきやさんエスパーかな!

ああ確か……こういうシチュエーションの曲とか、なんかこんなフレーズの歌あったよなとか、
ふっと思い至って検索画面に絞り込み条件を入れるイメージで探し当て、そうそうこれこれと細かい歌詞はうろ覚えだったりするけどふんふん鼻歌まじりに口ずさむ感じ。
そういう聞き方を、好んでしています。
反逆という言葉を聞いて「おだやかな時代」「背広の下のロックンロール」「EAST ASIA」が繋がったように

ということで、好きのもぐら活動、私のみゆきセレクション。

ままならなくて、ままならなくて、それでも行かなきゃいけない時には

  • 「EAST ASIA」

  • 「旅人のうた」

  • 「おだやかな時代」


ここではないどこかへ帰りたくなった時には

  • 「海よ」

  • 「泣かないでアマテラス」

  • 「with」


トゲットゲに自意識ばかりが肥大していた15の頃、わからないなりにわかろうと、もがいていた頃は

  • 「Tell Me, Sister」

  • 「最後の女神」


細けーことはいいんだよ、好き♡な

  • 「命の別名」

  • 「Why & No」


思い立ったそのままに順不同。
がんばって10曲以内に抑えた! そして偏っている。すごい。
なんとなく気になってピックアップしておいたものを減らして削って、あきやさんがみゆきを話題にしてくださったよウワーイ!という勢いを乗せた「今の気分」で、もちろん意図的に選別したラインナップ。
いざ並べてみればやっぱり聴きやすさとかメジャーどころに引っ張られたドラマとかCMとかのタイアップ多いなとか。
あ、これ響く人いそう聞いてほしいけどもっと純粋に好きだけで選んだ方が良いかなとか。
コアにじっくり聞きこんでいる方からすれば、上澄みすくったよりも全然浅いんだろうなとか。でも好きなんだからいいんだよとか。
そんな、忖度と選抜とを勝ち抜いた曲です。
というか、動画サイトで画面はひたすら静止画、一周回って新しいですね?

そうそう、ご本人はコーヒーのCMに降臨したそのままに、お茶目でウィットに富んだあっけらかんとした一面もお持ち。
ラジオやコンサートのMCでかいま見える、そのギャップもまた好きだ。(オールナイトニッポン、リアルタイムで聞いてみたかったなぁ)

それでは私はこれから「中村仲蔵」を聞いてきますが、みゆき沼で待ってます。(以上敬称略)