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シェフ国谷による調理教本を読んで

国谷さんの塗装したフィギュアを始めてみた時の痺れた感じは今も忘れられません、こんなに細かい塗装が出来るものなのかと衝撃でした。人間にこんな塗装が出来るのかと震えました。その後色んなご縁の中、ご本人様と知り合うことが出来てAM誌で企画をご一緒させていただける間柄にまでなれたのは人生のひとつの僥倖です。理路整然とした塗装法から気難しいメガネの痩せた寡黙な男性とプロファイルしていたのですが、酒宴の場でお会いしたら、巨大でガッシリとしてあけすけにお話をされる人が来た時はああ私はプロファイラにはなれないんだなと思ったものです。持論で暴論なのですが、プロミニチュアペインタの方、大きな男性多くないでしょうか?閑話休題。ミニチュアペイントは兎角、私が求めた塗り方の教本が殆どありませんでした。荒野のような世界に、ここに来てこの本が出た事に1つのミニチュアペイント界のターニングポイントが出来たと云っても過言では無い気がします。

以前より料理と模型は相性が良いところが多いと思っていた所にマスターピースの登場です。本書は詳細な写真と共に1/24スケールという非常に小さいフィギュアの塗装法を微に入り細を穿つテキストで説明されており誰が読んでも分かるよう丁寧な「レシピ」として構成されています。レシピは手順です。きちんと分量(塗料の種類)を守り、必要に応じた調理(塗装方法)を実行すれば、理論上は同じものが出来ます。3Dスキャンフィギュアは以前より、最適な塗装方法(レシピ)が無く、私も色々と手探りで塗装をしてまいりました。自分なりの塗装法はありますが、中々他の人に伝えるような、言語体系に出来ていません。つまり技術としてはまだまだ未熟なわけです。国谷さんの技法は革新的な芸術の技法というよりも既存の技法をブラッシュアップして新しく適応して行く、職人の技術のような技法です。そう、まさに職人。シェフ国谷、パティシエ国谷なのですこの本は。数多ある芸術的な模型教本とは、本来置かれる棚が違う本なのですね。

先日、ふと思い立ち鶏の胸肉をフレンチの調理法で料理してみました。1時間かけてブイヨンを作り1時間かけてポシェを作りました。バルサミコソースを作り、家庭で出来る限界のフレンチを作ってみて思った事は、「やれば出来るもんなんだな」でした。この本を読んだ時、国谷さんは「ね、出来るでしょ?」と意地悪い顔で微笑んできますが、やれば出来るやらねば出来ぬ何事も。この本を読んだら、直ぐに筆をとりましょう。そういう本です。

カロリー別女性フィギュア塗装レシピ: 手数をかけずに美人を作る、國谷'sキッチンスクール

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