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考証と云う教養

プラモデルをよりリアルに仕上げる為に、キットのモチーフになっている素性をよく調べて細部(ディテール)に表現したりしますが、これはよく考証と云われたりします。考証は古い書物や映像などで物事をよく調べて、それを証拠として説明することとあります。この場合の説明は模型のなので形にする、つまり表現する事だと思います。この時代にはこういった素材が遣われているからこんな感じで表現してみよう、となる訳ですね。戦車であれば2次大戦中のこの時期のドイツの戦車にはこういった社外装備が着いていたとかこういった兵装がされていたと云う資料を見て、それを作って再現したりするわけです。架空の話であるガンダムなどでも、公式が発表しているものをベースにそういった考証をしたりします。どこどこのベースに配備されている機体だからこういうマーキングがされている、とかですね。模型は観察と誇張だと以前に描きましたが、この観察の部分が正にそれになる訳です。

世の中にはこの考証が好きな方も居て、誰かが作った作品に対して「この機体にこの装備はおかしい」と云われたりします。時代考証が作品に反映されていない、なのでリアリティに欠けると云う主張なのでしょう。これはこれで1つの見解、見方です。正しい主張なのでしょうが、模型は表現のひとつです。表現は思う事感じる事を形などに表す事です。製作者はもしかしたら、これはその時代のものでは無い事を表現、再現した、と云う可能性もあるわけです。時代考証の知識があればそういった考察も出来たりします。考証とは教養であり、観察に必要な知識でもあります。見る側からすると、模型が語りかけてくる声にならない言葉(記号)を聞き取るためのツールなのですね。模型は誇張です。記号を選んで捨てて、残したものを誇張して表現します。なぜ拾いなぜ捨てたのかは製作者にしか分かりませんが、私達は知識でそれを読み取ることが出来ます。模型はコミニュニケイトのツールでもある訳です。完全に再現したいなら実物大で作ればいいわけですからね(それも表現が入れば模型になりますが)

ここの表現がおかしいからこの模型は間違っている、それもひとつの読み方でしょうが、待てよ、もしかしたらこの時代の機体では無いのかもしれないと思い留まる事が出来ます。もしかしたらここを拾うためにここを捨てたのかなと読み取ることも出来るかもしれない。模型が語りかけてくる言葉にじっと目を凝らしてみましょう。何か見えてくるかもしれません。


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