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模型に込めるもの

模型を作っていると良く「魂を込める」と云う表現を目にします。デジタル造形とアナログ造形の諍いの元にもなっていますね。魂は手で込めるもの、誰にでも出来て同じようになるデジタルには宿らないと云う主張を幾度が見かけました。魂が込められた模型とはどう云うものなのでしょうか。古い日本家屋にある、器物百年を経て怪異と成した日本人形宜しく、魂を込めると生命が宿り、動き出したり髪が伸びたりする事なのでしょうか。しかしながら日本人形、関節機構が備わってないのに魂が宿ると歩けるようになるのは不思議ですよね。髪の毛が伸びる理由は昔は人間の髪の毛を使用していたからとか湿度の兼ね合いで伸長するとか色々な話がありましたね。話が逸れました。さて、込めるべき魂ですが、そもそも魂とは何なのか、を考えないといけないのかなと思います。

肉体と魂は、云い換えれば物質と精神になります。厳密には不可分な性質ですが、肉体活動は見た通りにもですが計測が可能です。然しながら精神活動は中々計測が難しいです。どのように確認するかと考えてみると、これは意志として出力されたもの、例えばこの文章のようなものになるのではないでしょうか。つまり、ここで云う魂とは意思や意味の様なものなのになります。〜の魂はまだ生きている、等の表現には〜の意思がまだ残っている(理解が出来る何かがある)と云う意味合いになります。何らかの形で意思を表示する事が魂のコードだとしたら、魂もデジタル化は可能でしょう。模型に宿す事また、可能なのです。模型に魂を宿す事とは、自分の意思や意味をその模型に込める事に他ならず、翻せば、それがもしかしたら個性と云うものなのかも知れません。模型の魂を感じることは即ち、造り手の意志を読み解く事になるのではないでしょうか。

模型に宿す魂とは、意思や意味であり、またそれを我々が汲み取る為にはこちらにもその魂を読み取るためのデコードが必要です。人が何かを作る時、無限の可能性からあらゆる可能性を捨て、1つの意思に絞込み形にしていく。絞られた意思は模型の存在価値、意味になります。ですので模型に、意思や意味の無い造形は無いのでしょう。模型に目を凝らし耳を傾けてその魂を読み取れた時、その模型がきっと語りかけてくる何かがあるんだと思います。

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あとがき

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