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リアルロボットプラスチックモデル回顧録の感想録

インターネットを見ていたら『リアルロボットプラスチックモデル回顧録』と云う本が出ることを知り、80年代大好きっ子としてはこれは読まねばと使命感に駆られ発売日に購入しました。何故かKindle Unlimitedでも読めます。あさのまさひこ氏と五十嵐浩司氏による対談形式の回顧録で、4年しか続かなかったリアルロボットプラスチックモデルの盛衰を子細に振り返る、云わば模型の民俗学的アプローチの資料になっております。

時系列ではありますが、ガンダムMSVを基軸として各プラモデルメーカがガンプラブームの波を狙ってマーチャンダイジングとしてリアルロボットのプラモデルを出し、それがどのように消費されて行ったのか。裏話や当時現場で体験した2人の空気感などが相まってあの頃の記憶がもりもり蘇る仕様になっております。と云っても私は当時末期でも小学一年生とかなので直撃世代ではありません。むしろそれ以降の、世間はファミコンやミニ四駆、少し大人ならラジコンの様なアイテムに変遷し、クラスでプラモデルを卒業出来なかった子どもの1人になっていくのですがそれは私の物語。この本はそんな私にとっては前日譚の様な本でした。何を持ってリアルなロボットなのかは読んで頂くとして、面白いのはダグラムやボトムズなど「地に足着いたリアリティ」がウケていた時代であると云う事ですね。時代の空気感にその時の戦争があっただろうと云うのは否定しないですし、人間、想像出来ないものは具象化出来ません。AFV的アプローチがそういった点でリアルに対するリアリティを担保したのは必然だったようにも思います。抽象的な話ですが、つまりは宇宙に思いは馳せても私たちが生きているのはこの大地の上なんですよね。そこからの想像の延長こそが私たちのリアルだったのではと考えるわけです。ロボットがリアルであるためにはそれを取り扱う人間描写にリアリティが必要だと云うことですね。さてこの後、その想像力は90年にはいる頃大空に変遷し、やがて大気圏を抜けていくのですが、それはしばらく後です。そんな地に足着いた時代がリアリティとは何ぞやと考えたそんな様な本でした。

面白いのは昨今のガンプラブームとムーブメントが酷似しているところが見え隠れする点でしょうか。
コロナ禍において世界的にブームになってしまった(なったではなく)ガンプラは世界に輸出するために日本の市場在庫が少なくなってしまい、入手が難しい状況が今なお続いています。そんな中、各プラモデルメーカは"巣ごもり需要"と云うガンプラブーム再来に合わせて色々な新製品を出してきています。80年代なリアルロボットのリメイクも少なくありません。当時子供だった人たちが今は何千円とするプラモデルを買っているのですね。この本が出たタイミングは今しか無かったようにも思います。温故知新、私たちはこの本から何を学び取れるのでしょうか。

展示会で見かけた傑作

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