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積む理由

プラモデルが好きな人は大概、自宅(自室)に大量のプラモデルを隠し持っています。断言していますが、隠し持っています。持っていない人はそんなにプラモデルが好きではない(好きというほどでは無い)人か、人格がしっかりしている人です。兎に角大量のプラモデルを積んでいるんです。年齢によっては多分もう一生費やしても作りきれないかもしれない量の人もいます。ひとつ作ると3つ増える(私はそれ以上のペースですが)1人ねずみ講です。胴元ならぼろ儲けですが残念ながら常に末席の信者です。あそこにあるベンツなら何台かえたんでしょうか。プラモデルのベンツなら幾つか積んでいるんですが。では何故、人はプラモデルを積んでしまうのでしょうか。

プラモデルと云うのはちょっと不思議なプロダクツで、普通のおもちゃと違い、箱から取り出してそのまま遊んでしまってお終い、と云う性質のものではなく箱から取り出したら先ず組み上げないといけない訳です。さらに大概のプラモデルは色がついていません。最近こそ色がついているものが多いですがそれさえも態々色を塗り直します。そうして完成したおもちゃは基本的には棚などに飾られます。箱を開けてから遊びが完結するまでが兎に角長い。普通のおもちゃは変形させたり光らせたりごっこ遊び(ロールプレイですね)をしたりするのが楽しみの醍醐味なのに、プラモデルはどこが楽しいのかと云うと多分完成したその瞬間なんですよね。つまり箱を開けて完成するその瞬間までの遊びではあるんですが、そこに至る遊び方が千差万別無限の道があるわけです。実はどう組もうかどう塗ろうかなんて考えてる時が1番楽しかったりするのですが……。

そういった特殊なプロダクツなので箱を開けて遊び初めて終わる頃にはなかなかの時間が立っていたりします。人によっては色んなものを同時に作っていたりするでしょう。そうすると、箱を開けて遊んで閉まって終わり、と云う訳には行かないんですね。しかし新しいプラモデルは後から後から出てきますし昔欲しかったプラモデルがひょんな事で手に入ったりとどんどん増えてくるわけです。基本的にプラモデルは市場在庫が全てなので発売日に買わないと後で欲しくなっても買えなかったりします。そうすると人は、作るペース以上にプラモデルを買い続ける羽目になるわけですね。

メカニズムとしてはそういうものなのですが、ただプラモデルを積む人は基本的に、「模型屋さんに住みたい」と云う欲があるのでは無いかと思っております。私はそうです。小さい頃、模型屋さんに行っては何時間もどれを買おうか悩んだ子供でしたから、多分そう云う刷り込みというか傷が脳にあるんでしょうね。いつかあの頃のような模型屋に住みたいと云う思いこそが、プラモデルを積んでしまう本当の理由なのかもしれません。

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