見出し画像

アドバイスと云うノイズ

ツイッターを見ていると良く「初心者論争」のようなものが起きます。定期的に上がる話題なので人気がある題材なのでしょう。内容としては「プラモデル初心者はこれをするべき(買うべき)だ」と云うテーマの是非のようなものです。例えば作りやすいキットを買うべき、合わせ目は消すべき、塗料はこれを使うべき、などなど。べきべきだらけです。失敗しないためにはこうすれば上手くいくよ、と云う事なのですが、成功体験の提案はつまりは、失敗しないためのハウツーであり、失敗しない事はつまり考えることが何も無いので体験としては虚無なのでは。と云う反論もあるわけです。そもそも初心者なんているのかな、と云うのが私の意見なのですがそれはさておき。

私の小さい頃は当然SNSはおろかネットもない時代で、周りは誰もプラモデルなんてしてませんでした。ですので1人で選んで1人で買うわけです。そうすると、買い物の時点で失敗もあったわけですね。歳の割には難しいキットを買ってしまったり組んでも思ったほどかっこよくなかったり、なんてのはざらでした。限られたお小遣いからどれが今1番良いのかなと考えるだけで、近所のおもちゃ屋さんで1時間くらい居ました。そして親を呼ばれたものです。失敗は確かにしたくはないですけども、ただそれは同時に考える時間も無くしてしまうわけですよね。今は検索すればあらゆる成功体験の残滓が残っていますので、自分で考えなくても失敗しないで上手く出来る事が多いですが、それは単なるトレースしたものでしかない事も多いわけです。楽しさの本質は失敗を克服した成功だと思っているので、これでは半減してしまう。果たしてこれを勧めるのは正しいのでしょうか。まあ正しさなんてそんな程度のものかも知れませんが。難しいプラモデルも、いつか上手くなって組んでやるって気持ちにもなりますし、その気持ちは値千金だと思います。

今は始める時点で色んなものが揃ってますし、色んなハウツーがあります。先達と気軽にSNSで繋がり気軽に話を聞けたりできます。それ故に、他人の声が昔よりもとてもよく聞こえるようになってしまい、アドバイスと云うノイズも昔より鮮明になってしまってるのは少し可哀想な気もします。本来アドバイスは解法のヒントのようなもので求められて初めて与えるものですし。楽しさは他人の声の中にはありません。たまには耳を塞いで自分の声をよく聞いてみると良いかも知れないですよ。


いいなと思ったら応援しよう!