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43.動物飼料などに含まれるラクトパミンの話

ハーイどうも!
SPヤマトのアンチ・ドーピング講座へようこそ😊

今日は化学と生物と家庭科と保健体育が合わさったような授業をお届けします。

それでは早速、はじまり、はじまり・・・

物質名:塩酸ラクトパミン
分子式:C18H23NO3 ・HCl
分 子 量 :337.85 (塩酸塩)
常温における性状 :白色から淡黄白色の固体

もしかして、ここまで見ただけで、化学が苦手な人や中学生には???でしょうか。

少しわかりやすく解説すると、このラクトパミンという物質は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど一部の国で家畜の体重増や赤身肉割合向上を目的に牛・豚・七面鳥などのエサに配合されているβ作動性の化学物質です。

このラクトパミンは家畜の出荷直前まで給餌されることがあり、食肉にその成分が残留していることがあることが知られています。

ちなみに日本国内ではラクトパミンは飼料添加物として指定されていないため、国内では家畜飼料としては使用できませんので、国産の食肉から検出されることはありません。

一方輸入肉については、日本では残留基準値を設定して対応しているため、その基準値以下の食肉については、通常の流通ルートにのって食卓まで届くことになります。

いづれにせよ、日本国内において流通している食肉はきちんと管理されているため、食肉を食べてもラクトパミンが人体に影響を与え、競技能力が向上するようなことはありません

しかし一歩海外へ出ると、そうは言っていられません。

アスリートが自分の体内に取り入れるものについては、すべて自己責任だという事を、耳にタコができるほど聞かされていると思います。

ですから本欄でも、薬やサプリメントに限らず摂取するものについては、すべてスマホで写メをとっておくことを推奨しております。

ただ、いくら料理の写メを残しておいても、食材に禁止物質が含まれていたかどうかを判断することが出来ません。

海外遠征した際にアスリートが心がけることは、出来れば大会で指定されている場所やレストランで食事をとるようにすることです。

しかし、食事場所が指定されないような練習や大会、その他の施設で食事をとる場合は、写メのほかに、日付と時間、食事場所、食事内容、同席者を記録したり、領収書やレシートなどを保存しておくようにします。

そして、万が一ドーピング検査で陽性反応が出た場合には、調査に積極的に協力するようにして下さい。

毎回の食事で、これらの準備行動が出来ていれば、まったく怖がることなく食事を楽しむことが出来ます。

逆に言えば、トップアスリートは体内に摂取するものについては、常にここまで気を付ける必要があるという事になります。

コロナ禍での行動制限が緩和されてきて、海外へ行く機会も増えてきているのではないかと思います。

試合やプライベートで外国へ行った際には、ぜひ現地のおいしいお料理に舌鼓をうって海外生活を堪能して下さい。

なお、ラクトパミンと化学構造がよく似ている同じくβー作動薬である、ぜん息等の治療薬クレンブテロールも海外で家畜のエサに混ぜられていたことがあり、どちらも過去に人体への健康被害が報告されています。

このクレンブテロールは、現在日本を含む世界中で、持続性気管支拡張剤・腹圧性尿失禁治療剤として、一般に広く流通使用している薬品です。
アンチ・ドーピングでは常に禁止されている特定物質ですので、アスリートは十分注意して下さい。

一般にβ2ー作用薬は、自律神経のうち気管支を広げる働きをもつ交感神経を刺激して気管支を拡張させ、ぜん息の発作をやわらげる作用があるといわれており、発作が起きたときにまず最初に使われる薬で、アンチ・ドーピングでは禁止物質になります。(一部例外あり)


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