絵が上手く描ければいいのに。 文章が上手く書ければいいのに。 筆が速くなればいいのに。大作を生み出せるようになればいいのに。数生み出せるようになればいいのに。多くの人の目に留まればいいのに。高く評価されればいいのに。 ないものばかり強請って、ワガママね。 足が速くなればいいは、小学生の時に望まなくなった。 足が速ければ運動会で注目を浴びることができて、鬼ごっこでいつも勝つことができて、テストでひどい点数を取っていても人気者になれた。 でも、自分には運動が向いていな
金にならない夢を追いかけて、 金につながるものはほとんど取りこぼして、 身体だけ大きくなって気が付いた。 夢を叶えるにも、結局は金が要るんだ。 道具にも、教養にも、時間にも、健康にも、金が要る。 他人がせっせと金につながる能力を磨いている間に、 ワタシは誰にも見えない世界の物語を築き上げてきた。 流行りのファッションを学ぶより、異世界の植物の繊維でできた服を考える方が楽しかった。 数学の公式や英語を覚えるより、魔法の原理や異なる種族と会話が成り立つ理論を推察する方が楽しか