映画「コンテイジョン」感想(2020.5.18)

 疫病の蔓延、致死率の高い謎の病気の恐怖を描いた映画として記憶に残っていたのは、例のエボラ出血熱が世を騒がせた頃作られた「アウトブレイク」。今となっては胡散臭く感じ観るかどうか少し悩んだが、駄作も凡作も、そう呼ばれずとも瑕疵や欠点を持った作品も観ることは己を開拓することである。最初から観ないと決めて観ないならそれも良しだし、観終えて唇をひん曲げたとしても、自分の中で未開拓だった荒れ地に鍬は入れられたのである。きみの繊細さが一つ明らかになった訳だ、おめでとう。
 と言うわけで昨日は「アウトブレイク」を観てあまりいい気分ではなかった。胸糞悪い映画ではない。断じて、そんなことはない。自分の感性と合わなかったことを確認しただけだ。例えば他作品に言及すると、世間的には駄作と言われる「A.I.」に思うところがある。駄作と思ったことはない。名作とは思っていないけど、あれは胸に痛い作品なのだ。
 そうそう、「コンテイジョン」にフリー・ジャーナリストの役で登場するジュード・ロウ、「A.I.」だと男性型セックス・ロボットでしたね。あの造形美がマッチすると当時もそこはかなり評判ではなかったか。
 話が逸れたが、「アウトブレイク」と「コンテイジョン」の両方を観て比較するのはいいことかもしれないと思う。

 さて「コンテイジョン」だ。好みの女優さんが三人も出てきた。主要人物も容赦なく死ぬ。物語に対して痛みというコストをちゃんと支払う作品はいい作品だ。

 ううん、何て言おうかな。すごく面白かった。吹き替え版を観たけど、もう一度字幕で観てもいいと思っている。

 あのね、最ッッッッッッッッッッッッッッ高のストックホルム症候群を見てテンションがぶち上がってるんですよね!

 面白いし、現在を見るようだったし、この先の世界を見るようでもあった。ええ、これはいい映画ですよ。観てよかった。このタイミングじゃなくても最高の映画だったと言うと思う。構成も素晴らしい。垂らされた一滴の毒が最高のタイミングで効くみたいな構成だった。あと接触感染を防ぐの大事。手洗い大事。うつさないためにマスク大事。2011年作品ですか。とっくの昔から言われてきたことなんだね……。

 本当、最高のストックホルム症候群が見られるので、観てください。

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