死刑にいたる病

原作を読んで、映画を見た。

原作は、連続殺人鬼が人の心の隙間に入りこんで、
支配していく恐ろしさが生々しく迫っていて、よかった。
連続殺人鬼である榛村と接触する大学生の主人公が、榛村が無罪を主張する1件の事件について、調べていく。その過程を通じて、ありふれている家庭内の不和とか、鬱屈とか、暴力とか、人と人の間の溝とか、生まれ持った宿命とか、そういうやりきれないところが描かれているところに読みごたえがあった。
物語としても読みやすくて、謎があって、手掛かりがあって、答えが見えたかと思うと、また違うところに本当の答えがある、というように玉葱っぽく剥きがいのある話だった。
一気に引き込まれて、一日二日で読んだ。

原作は、たくさんの登場人物が関わりあって、時系列も長いので、映画では断片的な描かれかたになっていた。
絡み合うストーリーをこうやってつなぐのか、映像と文字での表現の違いに、妙に意識が行ってしまって、純粋に楽しめていない気がした。いや、もともと、楽しい映画でないから、入り込めていない気がした。
それでも、あっという間だったし、引き込まれるシーンもたくさんあっていい映画だった。

岡田健史と宮崎優は印象的で、芸能界は次々に美男美女が現れるんだなと思った。阿部サダヲは、なんかグループ魂のボーカルとしての姿がちらついて、サイコパスとしてのリアリティはあんまり感じなかった。でも、これは個人の感想で、多くの人には印象的ないい演技だと思われるんだろうなって思う。

岩井志麻子っぽい役者だなぁと思ってたら、岩井志麻子だったし、ブリリアンのコージっぽい役者だなぁと思ってたら、コージだった。


流浪の月の原作もあっという間に読んだので、はやく映画館に行きたい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?