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2015年、乃木坂46第1部・完 そして伝説へ…

 個人的に、2015年は乃木坂46の節目と言える年であり、また一つの区切りを見たような年だったと感じている。

 それまでの活動を総括して取りまとめた作品のリリースが各媒体であったり、個人、またグループのそれまで積み重ねてきたものが実になった活動が始まったりと、具体的な形になって結構明確に現れていたりする。

 今回はそういったものを振り返りながら、2018年現在8年目を迎える乃木坂46の活動における第1部が2015年で幕を下ろし、そして現在、地続きでありながら既に新たなステージである第2部に突入している。そんな話がしたい。 

これまでの活動を総括作品シリーズ

 先に書いた通り、2015年は乃木坂46の4年間の活動を取りまとめた作品が数多くある。これは、明確にそういう意図があってこの年に集中させたとしか思えないほどである。

 ということで一つずつ見ていこう。

1stアルバム『透明な色』発売(1月7日)

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 年が明けてすぐ、乃木坂46の4年目にて初のアルバム『透明な色』が発売された。子のシングルは、それまで発売した10枚のシングルが順に収録されており、またCD2枚組のタイプにはDISC2には、投票によって選ばれた人気のカップリング曲が収録、それプラス何曲かの新曲という内容である。アイドルとしてはそこまで珍しくはないが、1stアルバムにしてベストアルバムのようになっているわけである。

 つまりは、CDデビューから(その時点での)現在までシングルという形式で散り散りにリリースしてきたものを一つの形に取りまとめたものと言える。

 1stシングルから順に聞き進められる収録内容も、文字通り楽曲リリースの歴史を一から辿っていくような構成になっているわけで、これによって乃木坂46の歴史を「楽曲」という視点で追っていくような流れが完成されているということだ。

 またアルバムアートワークも、乃木坂駅ホームにて撮影されたものが使われており、はじめは普通の女の子だった彼女たちが乃木坂46になるためにバラバラと降り立ったこの場所に、4年間の活動を経て、乃木坂46となって今また集まった、と想像すると何ともドラマチックでよい。

MV集『ALL MV COLLECTION〜あの時の彼女たち〜』発売(12月23日)

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 これも1stアルバムと同様である。すべてのミュージック・ビデオ(以下、MV)をこれまた発売順に収録、プラス新規撮影のMVが収録されている。「楽曲」という視点において切っても切り離せない「映像」を一つにまとめたものが発売されているわけである。

 同時にMVのメイキング映像も収録されているため、当時の実際の様子も時系列で見ることができ、その変化の仕方も楽しめたりする。

 また新規収録された「悲しみの忘れ方」のMVは、1stシングルカップリング曲の「失いたくないから」のMV内の女の子たちが成長した姿、という設定があるらしく、まさしく「映像」という観点で過去と現在のリンクを重視した構成になっていると考えられる。

ドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』公開(7月10日~)

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 活動を総括したコンテンツとして、この映画の存在は欠かせないだろう。

 オーディション当時からのグループの4年間の活動を密着映像やメンバーへのインタビューで振り返り、またメンバー個人のグループ加入以前、以後の話、これからの展望などを語るインタビュー、メンバーの父母のインタビューなどで、構成されたドキュメンタリー映画である。

 それぞれの映像も、ライブ、握手会、プリンシパル、選抜発表やレッスンの様子、その舞台裏での涙やメンバー同士の喧嘩、さらにはメンバーのスキャンダル(当人が他のメンバーに謝罪する様子まで!)など、本当に表側から裏側からひっくるめて余すことなく公開した、かなり踏み込んだ形で結成前から2015年までを振り返った内容になっている。

 こんな風に「乃木坂46がやってきた活動」を表裏全てまとめた映像であるが、映画としてまとめるにあたり、それを踏まえてのメンバーへのインタビューが行われたわけで、これはつまり、「このタイミングで、メンバー自身が自分たちのこれまでを細かく振り返った」ということである。

 これは、そのプロセスを経ることによって、メンバー達にも2015年が一つの区切りだ、と意識させるためのフェーズな気がしてならず、この映画を製作するにあたっての一つの意図だったんだろうと思うわけである。

ドキュメンタリー本『乃木坂46物語』発売(12月18日)

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 ドキュメンタリーで言うと、こういった本も発売された。

 この本は、雑誌「週刊プレイボーイ」の連載コーナー『乃木坂46物語』を単行本としてまとめたもの。オーディションから2015年末の紅白歌合戦出場決定時までを、映画同様メンバーへのインタビューを交えながら、順に追っている本である。

 おおまかには時系列順に進んでいるが、章によって大きな題目(例えば「アンダーライブ」とか)を立てて、関わりの深いメンバーにフォーカスすることで、より理解を進めやすくなるようになっている。

 グループの歴史の中での出来事という題材なため、映画とも被る内容はあるものの、文章中心であるために場面場面での出来事や、メンバー個人々々の心情が事細かに記されており、活動を追う、またその時のメンバーの気持ちを知るという目的としては最適な資料と言える。

 また、書きぶりが絶妙にケレン味が効いていて、ノンフィクションながら実にカタルシスを感じる内容になっている。上で「資料」という言葉を使ったが、そこらへんのベストセラー小説にも引けを取らない読み応えなので、一度読んで損は無い。という余談。参考→『乃木坂46物語』の第一章が素晴らしい

乃木坂って、どこ?DVD『推しどこ』発売(3月25日、9月30日)

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 結成から2015年までを総括した作品、といえば 、こちらも当てはまる。

 ご存じレギュラー番組「乃木坂ってどこ」のDVDである。4年間の全放送回の内、メンバーごとにセレクトした回を抜粋して収録されている。

 最終回ドッキリでメンバーが「私たちには、この番組が劇場のようなもの」と語っていたように、乃木坂46の活動としてはこの番組(そしてMC・バナナマンとの関係)も非常にウェイトが高い。

 その番組を振り返るようにDVD化、ほどなくして放送終了(そして新番組開始)したことも合わせて考えると、2015年の複数ある「区切り」の内の一つとして含まれるように思う。実際、公式サイトの推しどこ発売告知ページには「(約)4年間の集大成」と記されている。

積み重ねの結実、新たな活動シリーズ

 ここからは、4年間の活動を経て2015年に辿り着き手にした新たな活動をまとめていきたい。先の項に倣って、時系列はある程度ムシしつつ進める。

研究生の正規メンバー昇格(2月22日)

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 2月22日に開催された『乃木坂46 3rd YEAR BIRTHDAY LIVE』にて、当時研修生だった2期生メンバー6名が正規メンバーに昇格した。これを以って、2期生全員が正規メンバーとなった。 

 加入から約2年、少なからず存在した活動の制限から脱却し、改めて乃木坂メンバーとして手を広げ活動していくためのステップを、このタイミングで踏み出すことになったわけである。実際に、鈴木絢音ちゃんは当時秋田の実家から通っていたところ、昇格の少し後に上京するなどしている。

 そして、グループのデビューから4年目を迎えるにあたり、「乃木坂46」というグループが一つの完成を見た、あるいはもう一段階高みに向かうにあたっての準備が整ったと言える。

松井玲奈兼任解除(4月12日)

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 組織の変化という点では、特殊な立ち位置ながら重要な存在であったのがひょんさんこと松井玲奈さん。

 2014年に生駒ちゃんのAKB48兼任とともにSKE48からの交換留学生としてグループを兼任されていた。そしてこの年に兼任解除、乃木坂46から去っていった。

 「先輩という存在のいない自分達に先輩として色々教えてくれた」という旨の発言が当時番組内であったが、在籍期間が長くないとはいえそのような存在だった彼女がグループから離れることは、乃木坂メンバー達が先輩の手を離れ巣立っていく構図でもあり、メンバーの成長とそれに対する評価の表れと取れる。

生駒里奈兼任解除・センター凱旋(兼任解除:5月12日)

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 兼任に関して言うと、同時に語るべくは生駒ちゃんについて。玲奈さん同様2014年からAKB48・チームBとの兼任が始まり、2015年5月に兼任解除された。

  既に完成している異なる組織への参加をし、勝手が違う中でのテレビやライブ出演を経験するという、実質的な武者修行であったこの兼任。

 そういった経験から得たものをグループに持ち帰って発揮することへの期待、そしてそれにより起きる変化への期待。その二つの高まりが極限に兼任解除となったと思われる。

 もちろんその期待は確信めいたものであり、そのことは夏のツアーというタイミングで生駒ちゃんを再びセンターに抜擢したことから読み取れる。

 こうやって書くと、2人の兼任って本当に乃木坂のためのものだったんだなあとか思っちゃうね。

13rdシングル『今、話したい誰かがいる』白石・西野Wセンター(選抜発表:8月31日)

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 「センター」というキーワードで2015年において見逃せないのは、この『今、話したい~』における白石まいやん・西野なぁちゃんのWセンターである。

 ここで語りたいのは、Wセンターであること自体ではなく、この2人が並んだという点が重要だと言いたいのだ。

(Wセンターなのは、楽曲およびタイアップしている映画のテーマ「人との対話」から発想し、メンバー同士が対になるよう組まれたことによるものだと思われる。他の選抜メンバーの人選やそのポジションからも、それが汲み取れる。)

 乃木坂46結成当初から唯一無二のエースとして君臨し、2018年現在に至るまでグループをけん引しているまいやん。初期から人気メンバーであったものの3列目ポジションから始まり、着実に力を付けてセンターも経験するようになったなぁちゃん。

 その2人が肩を並べてセンターに立ったわけである。まいやんがセンターのなぁちゃんを支えるように横や後ろにいるのでなく、隣に。

 この事実が、なぁちゃんを象徴として、乃木坂46そのものが成長や変化によって辿り着いた到達点を表しているように感じるのである。

 そしてそれを明確に見せたのが、この2人による『今、話したい~』のWセンターという采配なのだ。

舞台『じょしらく』(6月18日~28日)『すべての犬は天国に行く』(10月1日~12日)

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 さて、シングル曲フォーメーションのポジション以外にも、2015年までに培った力とそれによりに至った到達点を示すものはまだまだある。

 そのキーワードとなるものが「舞台」である。

 乃木坂46は、2012年から2014年まで行ってきた『16人のプリンシパル』によって、「舞台演劇」というジャンルにデビュー当初から触れており、また度々メンバーが個人で舞台出演をすることもあった。

 48グループのように劇場を持って定期的にライブを行うということが無い分、舞台出演に比重が置かれ、その経験を積む機会に恵まれていた。(『プリンシパル』そのものに対する是非はあるものの)

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 そういった経験を踏まえ、システムから解き放たれて行われたのが、2つの舞台『じょしらく』『すべての犬は天国にいる』である。

 『プリンシパル』と違い、一から稽古し時間をかけて舞台を作り上げ、役と向き合うという経験は、出演したメンバー個人々々の意識の変化が起きたり、またメンバー同士の絆もより深まったりという結果を示している。(犬メンとか)

 その後、『墓場、女子高生』『あさひなぐ』『セーラームーン』など、毎年のように舞台公演を続けて行っていることが、2015年の『じょしらく』『犬天』が大きな足掛かりであり、そこに確かな手応えがあったことの証明と言える。

ドラマ『初森ベマーズ』出演(7月11日~9月26日)

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 『プリンシパル』による演技の経験から繋がった作品として、もうひとつ思いつくのが『初森ベマーズ』。福神を中心としたメンバーが主演、その他すべてのメンバーが出演したドラマである。

 ただこちらの狙いは、純粋なお芝居を見せるというより、おそらく、ほとんど乃木坂46メンバーだけで作られた作品を(深夜とはいえ)地上波で放送されたという事実そのものをキモとしていると思われる。

 つまり、『ベマーズ』の見どころの一つとして「乃木坂46メンバー総出演」という点があったわけで、逆に言うとそれは「乃木坂46がグループ/メンバーそのものを見どころとした作品を作るに値する存在になった」ということである。

 「『初森ベマーズ』という作品を作り放送された」ことが、乃木坂46というグループの存在感が大きくなったことを示している、というわけである。そしてそれが示されたのが2015年であることが、今回のエントリで語っている内容をさらに補強するのだ。

各社雑誌の専属モデル就任

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 存在感が大きくなったという点で、個人に着目すると「専属モデル就任」が多く起きた年でもあり、これも非常に大きな転換の一つである。

 『nonno』に西野、『CUTiE』に飛鳥、『anan』に橋本・松村、『Popteen』に川後、『Zipper』に北野と(敬称略)、6名ものメンバーが専属モデルに就任しているのである。2018年現在までに専属モデルに就任しているメンバーは多いが、その第一次ラッシュとも言うべき勢いで 立て続いたのがこの2015年である。

 「モデル」という、女性の中のアイコンとも言うべき役割を担うようになったのは、それほどまでに外に対してメンバー個人の存在感が大きくなったためである。そしてそれが立て続いたことこそが、メンバー個人の躍進とグループ全体の成長、その2つが実になって得た結果であると言える。

メンバーの卒業

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 グループに起きる変化というのは、手放しで喜べるような変化だけではない。この年、グループの中でも重要な存在だった2人のメンバーが卒業を決断したのだ。

 アンダーメンバーを先導し扇動してまとめあげる役割を担ってきた、”仏”こと永島聖羅。

 選抜、アンダー、先輩後輩問わず愛し愛されて大きな存在であった、”聖母”こと深川麻衣。

 メンバー達の精神的支柱としてグループを支えてきたこの2人、奇しくも共に神格的存在になぞらえ慕われていたこの2柱が、2015年、グループを去ることを心に決めた。(まいまいの卒業発表自体は明けて2016年1月)

 そんな柱を失うことになり、完成したかに見えた乃木坂46はそこで立ち止まることを許されず、否が応にも更なる変化を求めていくことになるのだ。

 グループ、メンバー個人の変化とその完成は、常にこういった選択を呼び起こすことにも繋がるわけである。もちろん悪いことだと言うわけではなく、本人のステップアップとして喜ばしいことではあるが、湧いてくる寂しい気持ちはどうにも拭い去れない。

紅白出場

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 ここまで語ってきた、2015年で見せた数々の変化とそれによる、完成、到達を経て臨んだ舞台こそが『NHK紅白歌合戦』である。

 紅白に関しては、多く語る必要もないことだろう。

 当時在籍のメンバー全員で挑んだ大舞台、そこではお兄ちゃん達も優しく見守り、かつて猫背で顔を伏せていた少女が強いまなざしを携えて先頭に立ち、堂々たる様で”希望”を歌ったのだ。

 あれこそが、乃木坂46が辿り着いた一つのゴールであり、スタートであることは、2018年現在の今の姿を見れば明白である。

そして

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 年が明けて2016年、上述のまいまい卒業発表から始まり、『46時間TV』というムチャながら豪華な挑戦、当初最年少メンバーだった齋藤飛鳥ちゃんのセンター抜擢、そして3期生の募集・加入。

  息をつく間もなく、4年間で完成した姿を破壊しようという意志すら感じる変革が始まった。そして、それは今なお続いている。

まとめ

 以上が2015年の活動やリリースに見られた乃木坂46の集大成であり、変革であり、それを以ってして至った到達点である。

  と、散々偉そうにこうだったああだったと書き連ねたわけだが、実はこの2015年(+それまで)の乃木坂の活動、全くリアルタイムで見ていない。なぜなら初出場紅白新規だからである。あの『君の名は希望』でやられたのである。強いて言うなら、最後の最後だけ見たと言えっかな。

 とは言え、上に書いたような完成した姿を目の当たりにしたからこそ、今に至るまでにひたすらハマってしまったともいえるし、少なくともそのタイミングで出会ったおかげで、各媒体で結成からそれまでのことをすごく振り返り易かった。

 そう考えると、組織が大きくなり活動が広がって、より増えていくであろう新規参入のファンを見据えた総まとめを行った、かつ外への働きかけにより、更なる間口を広げたとも考えられる。

 いや、実にありがたい。

 おかげでこんなんになりました。

明日飲むコーヒーを少し良いやつにしたい。良かったら↓。