クラスメイト・早川聖来に恋をした事は昔話かもしれない
これを書いている時点(8月21日。ハニーの日)から見て間もなく、2023年8月24日をもって4期生・早川聖来ちゃんが乃木坂46を卒業し、メンバーとしての活動を終える。
彼女はグループ卒業と主に芸能界を引退することを発表している。彼女のお芝居にどっぷり魅了され、これから先もずっと出演作品を観続けることになるだろうと確信していた身としては正直「ライフワークが1つ減ってしまった」、と、こうやって本音を書いてしまうあたり何とも情けない限りである。
ライフワークはともかく、ある記憶がある。俺は早川ちゃんと高校の同級生だった。
うん?年齢が違う?出身地も……学力も?明らかにその記憶は事実無根? まあまあちょっと待って落ち着いて、今その話してないから。
淡い記憶の中におぼろげに、想いを寄せていた彼女の華やかな姿が確かにある。制服姿の雑誌グラビアが見当たらなかったので、日本テレビプロデューサー・毛利忍さんのTwitterから引用しよう。その頃の彼女と言えば、こんな風だった。
明かしてしまえば、「当時、早川聖来に想いを寄せていた同じクラスの男子」の気持ちになってしまっているわけです。彼女の旅立ちに感じずにいられない寂しさや名残惜しさが、架空の記憶に形を変えて、胸の奥に犇めいている。
教室の端から遠目に見たり、人づてに話を聞いたり、廊下で偶然すれ違ったり、不意に言葉を交わしたり。そういった瞬間のたびに膨らんでいく思いが確かにあったのだ。その頃僕を支えてたのは、やはり彼女だった。
例えば、初めて同じクラスになった時は2年生の頃で、一人ひとり立って自己紹介する時、自分の番が終わってもう安心し切っててもう他の人のはよく聞いてなかったけど、なんとなく耳に残る特徴的な声だったみたいな、
一瞬チラッと見て、指を合わせながら緊張してる感じで喋ってるところだけ見て、バレエをずっと習ってたこと以外は何言ってたかは忘れたけど、恥ずかしそうに話してたのだけなんか印象に残ってるみたいな、
クラスでもグループとか出来てきて、もちろん男子と女子は分かれてるけど、休み時間とかは大体決まったメンバーで喋ってる軍団が出来てて、いつも角に固まってる女子たちがうるさいみたいな、
すごいいきなり爆笑したりしてて、何が面白くて笑ってんだよなとかこっちの何人かではコソコソ言ってたりして、最初の時はなんかもじもじしてたはずだけどなとか、言わないけど思って、何でそんなに笑ってるのか、目え合わないように気を付けながらちょっと見てるみたいな、
スマホで撮り合いし出して、映ったらなんか色々ヤダなと思って、でもあくまで気づいてない感じで違う方に顔向けたり自分のスマホいじったりして、インタビュー風だったのがいつの間にかミュージカルみたいなノリになってて、教室でも躊躇なく歌って踊るタイプだ、とか思ったりするみたいな、
委員会が決まってから初めて自分のクラスの番になって、用具点検みたいなことをやらなくちゃいけなくて、早川と一緒で、一緒に回らなくちゃいけないから確認する役と確認票に書く役に分かれて、見てそれを伝えて、早川が書いて、喋ったりとかはあんまりしなくて、いつもと違って静かだなとか思ったりするみたいな、
片付けるのは引き受けて、どうせあと職員室に出しに行くだけだし2人で行く必要ないと思ったけど「ありがとう、優しいね」って言われて、これくらい普通だしと思って、別にこれくらい普通だよな?とかもう一回思ったりするみたいな、
衣替えの季節になって、夏服にしていい時期になってから男子はもう早い内に半袖にしてたりしてるけど女子はまだすぐには変えてなくて、でも早川はその中でもなんか一番に夏服着出してて、「聖来、衣替え早くない?」とか言われてるの聞いて、確かに、とか思いつつ、らしい感じもなんかするみたいな、
朝の予報と違くて、ちょうど放課後の時間に雨が降ったりして、帰ろうとした時にちょうど下駄箱で出くわして、向こうから挨拶してくれたりして、そのまま頭に鞄乗せて走って行っちゃって、俺は折り畳み傘を持ってたけど、いや、だから何だよとか思ったりするみたいな、
駅前のマックでバイトしてるらしいって、友達が見たって言ってて、なんだよたまに学校帰りに寄ってたのに同級生バイトしてると行きづらいじゃんとか話したりして、でも本当はちょっと気になったりしてて、通りすがりにちらっと見ようとしたりして、知らないフリして入ってみたりして、後からそもそもバイトしてなかったこと知るみたいな、
夏休み入ってからはまあ普通に過ごしてて、部活とかもあるし、クラスの女子が「夏休みにクラスで集まる会やろーよ!」とか言ってたの聞いたけど、実際は別に何も集まることはなくて、結局部活の連中とかいつも遊ぶ友達とかと会っただけみたいな、
もうすぐ受験について決めろって担任も言い出して、いやもっと前から言ってたかもしれないけど、志望校とか全然考えてないんだけどとかちょっと焦ったりして、みんなどうするんだろうって、東京行くやつもいるのかなくらいに考えるみたいな、
委員会は前期とそのまま同じのやることになって、早川もで、最初の集まりに行く時に「また一緒で良かったあ」ってチラッと言われて、「そう?」とか答えたけどどういう意味と思って、いや相方変わったら色々面倒だから楽で良いってことだよなとか、普通に俺もそう思うしみたいな、
終わって教室戻るとき、こういう時ってちょっとタイミングずらしてバラバラに変える感じの方が安心するんだけど、なんか同時になっちゃって、行先はもちろん同じだし沈黙気まずとか思って、志望校とかってもう決めたりしてんのって、話しかけてみるみたいな、
「一応はってくらいだけど」って返ってきて、やっぱり決めてるんだって思って、どこかは聞けないけど、俺は全然考えてなかったから凄いなってつい言って、そしたら早川は、凄くはないでしょって笑って、先生も言ってたじゃん。そうだけど。って言ったりして、もう塾とかも通ってるらしくて、また凄いって返しちゃったりするみたいな、
教室着くあたりで特に何も言わずふわっと離れて、各々男子のほう行って女子のほう行って、お疲れ~とか言われてるの聞こえてきたりして、時間ないから弁当食べようと思って広げて、もう食べ終わってるやつらの輪に入って食べながら、変なこと言わなかったよな俺大丈夫だよな、とか考えて、
とりあえず志望校考えなきゃと思って、「一応調べたら遅くとも高2の冬には決めましょう」とか出てきて、今になってやっと1から考えるのって遅いのか、どうなんだとか思いつつ、その時マジで何んにも決まってなかったら格好悪いなって、そうなったら凄いどころじゃないなと思って、
そういう感じで考えるようになったから、早川が大学行かないって知った時は驚いて、3年になってクラス別れてからは喋ることもなくて、知らなかった、のは、当然だろ、って自分に対して思って、その理由が乃木坂46のオーディションに合格したからだって聞いたらもう、もはや笑えて、そりゃ進学しないわって、
ちょっと調べてみて、こういうオーディションって合同でやるもんなんだとか思ったりして、なんとか坂グループって3つもあったっけとか思ったりもして、少し経った頃にはテレビ出てて、たまたま点けてたら始まったから観てるだけみたいな雰囲気出しながら観て、2人で喋った時よりテンション高いなとか思って、
もし連絡先とか交換してて、2人だけでやり取りとかするような間柄だったらもっと違う感じに思ったかもしれないけど、逆になんか、教室で女子達で喋ってるところを見るのとあんまり変わらない気がして、そういえば志望校って結局どこだったんだろうって思って、
高校の頃の友達とかとも、たまに誰かが名前出すくらいはあるけど、それ以外は自分から見ないと意外と情報も入ってこなくて、たまに本屋で雑誌の表紙にいるとか、ネットニュースに出てくるけど驚くことも少なくて、元同級生が紅白出てるのはちょっと凄いなとは思うくらいで、芸能人と一般人、っていうか視聴者だなって感じで、
バイト忙しいとか単位やばいとか、そういうことの方が大事で、就活もまあまあ大変だけどどうにかなって、留年とかも無事回避して、就職してからの方がよっぽど大変で、慣れたと思った頃に違うことが色々起きたりして、下っ端が結局一番楽だって思ったりして、
「早川聖来が卒業発表」って見出しがスマホいじってたらちょうど目に入って、へーってくらいで、アイドルって普通何年くらいやるもんなんだろうって思ったのが先なくらいで、調べたら峯岸みなみが15年半って書いてあって、むしろそっちがすげえなって驚いたりして、
改めて記事読んでみたら「芸能界引退」って書いてあって、そうなんだって、もしかしてこっち戻ってきたりするのかなとかまず思って、なんでそんなこと思ったんだろうって自分で自分に思って、戻ってきたとて、じゃん。連絡するとか、会うとか、そういうことになるわけじゃないし。同窓会とかはもしかしたらあるのかな、わかんないけど。
謎の期待みたいなのがあって、碌な根拠もなくそういうのが湧いてくる感じとか、でも一応同級生だったし、とか言おうとしてる自分にも苛つくっていうか呆れる感じがなんかあって、喋ったことはあるけど、握手会に通ってたファンの方がよっぽど喋ってるだろそれは、って、
友達が頑張ってるとか、それが誇らしいとか、ずっとそういう風に思ってたなら違うかもしれないけど、そういうのじゃないのが何かあって。むしろ早川に失礼だろって、そう思うのもなんか言い訳じみてて、
自分には関係ないことだからもうスマホ閉じて、第一、早川は俺のこと覚えてるわけないし、自分でそう考えて、覚えてないのか、とか思っちゃうし、こっちはめちゃくちゃ覚えてる自分がバカみたいだけど、
期待とか都合良い想像とかとももしかしたら違って、ともかく関係のないことで、向こうは引退したとしてもそれは元芸能人で、こっちは最初からずっと一般人で、同じになる訳じゃないって、
今も連絡取ってる友達も繋がりなんてないはずだから、この話はもうただの芸能ニュースで終わりで、高校で同じだった女子の事が当時好きだった、というだけで。
『おひとりさま天国』、8月23日発売です。
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