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薄れていく一瞬

この写真は一昨年の年末にパリで撮った夕焼け。


ホテルで音楽を流して、 
ただただ友達と空を眺めてた時の写真。

春霞の様な空に、ビルに反射する夕焼けに、とてもうっとりした覚えがある。


私の中でヨーロッパと言えば、昔歴史漫画でよく読んだ世界の雰囲気で、実際自分の目の前にその景色が広がっていた事にひどく感動した。それでいて、現実味があるような無いようなフワフワとした感情だった。

しかし、この写真がなければ、もう私はこの空を思い出せない。


あんなに感動したのに、あんなに心打たれたのに、記憶とはこんなものかと自分にガッカリする。

他にも、父が死ぬ前の日の記憶も忘れてなるものかとなんなに強く思ったのに、今じゃ色んな記憶が混じり合って何が本当だったか思い出せない。

人の記憶には限界があって、忘れることが出来るから生きていけるんだよ。

と、いつの日か誰かに言われた覚えがある。

その通りだと思う。あんな辛い思いごと思い出してたら心がもたない。

でも、分かってても懐に落ちないものは落ちない。
パリの夜景だって、日光で沢山の星を見たことだって、父の最後だって、私は忘れたく無い。私は忘れたく無いんだよ。

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