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新規事業では、「できない理由」を並べる思考回路をまず変えてみる。

「あなたは、できない理由を並べる社内評論家でしょうか?」と聞かれて「はい。」と答える人は、まずいないでしょう。誰しもが自分自身のことを、少なくとも積極的かつ協力的で優秀だと思っているはずです(笑)。

自分自身をポジティブに評価すること自体は何も悪いことではありません。通常、自己評価が他者評価よりも高い傾向にあるのですが(面白いことに、あまり優秀ではない人のほうが自己評価が、かなり高い傾向にあるようです。(参考))、自己評価が低すぎると鬱になる可能性が高まります。自己評価が高すぎるのも低すぎるのもどちらも害を及ぼしますので、結局はバランスが必要です。

ただし、意識しなくてはならないことは、自分の発言を時々振り返り「できない理由を並べてなかったか?」と自問自答する習慣づけをする。ということです。

ところが、そもそも「いつも自問自答を意識できるくらいなら苦労はしない。」という意見もあるでしょう。要するに、自省を習慣化すること自体が難しいという本質的な問題があるのですが、これは解決可能です。

やり方の一つとしては、会議の前に「会議のルール(例えば「会議ではできない理由を述べない」などのルール)」を毎回読み合わせる。という方法があります。そして、会議のファシリテーターを毎回、輪番制で決め、ルールに反する行為があった場合は、ファシリテーターが注意する。というルールも設定するのです。

とはいえ、上位者に対しては、なかなか言いづらいでしょう。しかしファシリテーターは輪番制で必ず上位者に対しても回ってきますので、嫌でもルールに反する行為をしづらくなってきます。

ここまで、「できない理由」を並べないように習慣化する具体的方法を簡単に例示しました。では、なぜ、「できない理由」を並べてはいけないのでしょうか。

そんなのは当たり前じゃないか?と思われるかもしれませんが、特に新規事業を創出するにあたってはかなり重要なポイントとなります。

その最も大きな理由は、「今までできないとほとんどの人が思っていたことが、できるようになったときは、とてつもなく大きなビジネスチャンスになりうる。」からです。

もちろん、そこにニーズがある必要はありますが、今までできなかったものができるようになるビジネスはゲームチェンジャーになりえますし、独自性を持つこともできます。

例えば、今では当たり前になりましたが、スマホも、できない理由を並べる思考では生まれなかったでしょう。昔のガラケーは物理的なボタン(キー)がありましたが、「ボタン(キー)すべて取ってみよう。」という発想が仮に社内で出たとします。「できない思考」ですと、技術的に難しい、とか、ニーズがないとか、お金がかかる。とかそういう批判的な意見が無数に出てくるはずです。しかし「できる理由を探す思考」の場合は、ニーズは本当にあるのか検証する方法を考えたり、技術的に難しいのはなぜか?どこがクリアできないのか、それはなぜクリアできないのか?など考えるようになります。

前者の思考と後者の思考のどちらが、事業を創出・運用していく力があるかというと答えは自明で、後者の「できる理由を探す思考」です。

しかし、なかなか「できない理由を並べる思考回路」から「できる理由を探す思考回路」に移行するのは、言うは易く行なうは難しの世界であることは間違いありません。思考の癖はなかなか治らず、条件反射的に「できない理由思考」を使ってしまいますので、これを変える習慣化が必要となるのです。




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