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ATARI LYNXユーザー念願の移植『Todd's Adventures in Slime World』
Steam:Todd's Adventures in Slime World
『Todd's Adventures in Slime World』とは、スライムや数多くの異性物が住む洞窟で財宝を求めて探検をする、2Dスタイルのアクションゲーム。
Steamでは、1980~90年代に発売された携帯ゲーム機「ATARI LYNX」と、セガのゲーム機「メガドライブ(海外では『GENESIS』)」の2本を収録。
他にPCエンジンCDロムロム版も存在するが、本作では未収録。
ゲームは難易度に応じた6つのモードがあるなど、ルールや内容を語り出せば長くなるので、ここでは2機種についての話を中心に語りたい。
両者の特徴と味わい方
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(どちらも同じ場面)
オリジナルはATARI LYNX版で、後にメガドライブに移植される。両機種で基本的な内容は同じだが、お互いの性能を活かした特長が見える。
画面の違い
ATARI LYNX版は荒々しいドット絵とうごめく生物たちという、発色数が多い本体の性能を活かした映像、バックは音楽というより音のようなものが静かに鳴り響く。
対してメガドライブ版は画面の視野が広い、マップが常に表示される、軽快な音楽が鳴るなど、後発だけに大幅な改良が施されている。
操作の違い
また操作について、特にアイテムの使用方法が少々異なる。それぞれの手順は次の通り。
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アイテム使用方法(ATARI LYNX版)
Selectボタン(LB/Y)を押すと画面上部の文字が切り替わるので、選んでからUseボタン(RB/B)で使用。
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アイテム使用方法(メガドライブ版)
Menuボタン(LB/RB/Y)を押しっぱなしでメニュー表示、レバー左右で項目の移動、選んでからレバー上で使用。
と、両者の特徴を理解すれば双方で楽しめる。
システム的な不具合
ただ、本作はゲームと別に、システム的な問題はある。
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システムメニューからBボタンで戻ると、ゲームでもBボタンを押して勝手にアイテムを使用してしまう不具合がある。現状の改善方法は、BではなくStartボタンで戻るしかない。
これは本作に限らず、Epyxの移植ゲーム全般に見られるので、改善してほしい点ではある。
味わいたかった「マルチプレイ」
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メガドライブ版は画面分割を使ったローカル2人プレイが可能だが、ATARI LYNX版にはない、私にとってはそれが非常に残念だ。
なぜなら、オリジナルのATARI LYNX版は通信ケーブルを使って最大8人までプレイできる、最大の楽しみ方は「マルチプレイ」であり、本体の機能を最大限に活用したゲームだったからだ。
だが当時はATARI LYNXを所有している人を8人集めるのは極めて難しく、実際に遊んだという人は少ない。それだけに、Steam版でネットを使った対戦などがあればまさに夢の実現となったが、さすがにそこまでは実装されていなかったのは残念だった。
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余談だが、私はイベントで多人数プレイを経験したことがある。ゲームの中で全てのプレイヤーが完全に同期されて遊ぶことができる反面、誰かがポーズボタンを押したら全員にポーズがかかったり、1人でも電池切れで電源が落ちたらゲーム中の全員がフリーズするなど、あらゆる意味で盛り上がる。
ユーザーにとって念願の形
それはともかく、今回の移植によって夢が叶ったと言えることの一つが、画面。
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ATARI LYNXは本体の液晶画面が綺麗なものではなかったため、コントラストと明るさをどう調整しても最適な画面にするのは難しかったが、今回の移植によりドットがクッキリ描かれた映像をモニターで映し出すことができる。当時のユーザーとしてはそれが大きい。
結局、ATARI LYNXの思い出を語りたいだけのレビューと言ってしまえばその通りだが、そんな当時のファンにとって念願の移植であり、そこに存在価値がある。
追記:Steamレビュー
この記事は、Steamレビューでも記載済み。
これに画像やムービーを追加したのが本記事。
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