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ファーストインプレッション・『Outer Wilds』こそ、本当の「アドベンチャーゲーム」

2019年に発売された『Outer Wilds』というゲーム。
発売当初、PC版はEpic Games Store、コンシューマー機ではPS4版が発売されていたが、2020年6月にはSteamで配信開始された。

ちょうどSteam版が発売される頃から、Twitterでフォロアーの方達がこぞって絶賛していて、以前から気になっていたタイトルだった。
そこで、早速購入してプレイすると、色々と不思議な感触がある。

たき火

ゲームを始めて最初にすることは、たき火の前で「マシュマロを焼く」であったり、プレイした直後は何をするゲーム?そもそも何のために冒険をする?がはっきりと提示されていないことなど。
でもゲームを続けていくと、はっきりと感じたことがある。それは、

「これが『冒険』なんだ。冒険って、こうやって味わうものなんだ」

ということ。
ただ、それを実感するまでには少々時間がかかった。そんないきさつを語りつつ、私にとっての第一印象、ファースト・インプレッションについて書いてみたい。

マシュマロに始まるワクワク感

人_スタート

ゲームを始めた直後、目の前にいる人物、いかにも『宇宙人』というイメージの容姿で、この時点ですぐ「自分も、ある惑星の宇宙人なんだ」とすんなりと受け入れる。
その彼や、目の前にある村の人達から「どうだ、今から宇宙に飛び立つ気分は!」「宇宙は広大だよ!」と声をかけられる。おかげで、「ああ、自分は今から初めて宇宙に出る、宇宙飛行士なんだ」と実感がわいてくる。

その途中には、宇宙空間を実演する無重力訓練、探査カメラを飛ばす宇宙探索ポッド、遙か遠方にある「音」を捉えるシグナルスコープなど、宇宙で必要な様々な操作を覚えたり、博物館で宇宙に関する知識を得るなど、チュートリアルとしてのイベントが数多くある。それを一つ一つこなしていくうちに感じるものが「ああ、自分はこれから宇宙に行くんだ」という実感。

宇宙船_

そして、宇宙船を前に、これから乗り込んで宇宙に行くんだ、という場面に来た時に思ったこと。
ああそうか、冒険する人にとって、冒険は出発前から始まってる、この時が最もワクワクする瞬間なんだ、これが冒険者の感覚なんだと。
このゲームは、そんな「冒険前のワクワク感」を引き出してくれる。

「謎」「手がかり」「解明」の連鎖

宇宙_

ゲームの世界は、太陽を中心とする数個の惑星で構成された惑星系。
ここでの大きな目的は、その至るところに存在する、古代の種族「Nomai」が残した遺跡を探索し、その謎を解き明かしていくというもの。
これらの内容は、先ほどのイベントで大筋の説明を受ける。

でも、いざ宇宙に出ると「…えっ、どこへ行く?何のために?」となる。何しろ、ゲームの目的や最初に取るべき行動は明確に指示されていない。私も、冒険前のワクワク感ばかりが先行して、肝心のことを忘れていた。

スコープ_

そこで、最も近くにある衛星「アトルロック」、地球で言う「月」に相当する場所に行く。最初のイベントで覚えたシグナルスコープをかざして、「音」の聞こえる惑星を目指すと、ある場所に、一人たたずむ人物に出会う。

人がいる

彼らから新たな話を聞く。その情報を頼りに次の場所を目指すと、また新しい謎が見つかる。そのイベントや謎はあまりにも数が多く、私が20時間程度プレイしただけでも数十種類に及ぶ。

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でも、その中で一つの謎を解明すると、別の謎に繋がるものが見つかる、それを頼りに進むと、また別の手がかり、そして解明、そしてまた別の新たな謎が見つかる。
あらゆる謎が網のように張り巡らされていて、すべて「謎」「手がかり」「解明」のイベントで引き継がれる

また、この世界は少し特殊で、一定の時間が経過すると太陽が爆発を起こして惑星系全てが消滅する。消滅するとまたたき火の前と、主人公は、限られた時間に何度も戻る「タイムリープ」を繰り返しながら謎を解明していくという。

この「タイムリープ」というループと、常に謎・手がかり・解明を繰り返す「謎解きのループ」を知ると、次はどんな謎がある?どこにある?どこに繋がる?と考え出す。2つのループを味わうと、もう止まらないのだ

まさに「アドベンチャーゲーム」

キャンプ2

そのループの中で、各所にキャンプできる場所が存在するので、スタート地点同様にたき火でマシュマロを焼くこともできる。発見した喜びと、ここまで到達した達成感、そしてマシュマロという、しばしの安堵感を得る。
いわば、このゲームにとって「マシュマロを焼く」とは、ゲームの節目を伝えるイベントであるように思う。

私がこのゲームでまず感じたのは「宇宙に行くのはなぜ?」「なぜ冒険をする?」という「なぜ?」の部分が不明のまま進んでいくので、最初は戸惑いが大きい。
でも20時間ほどプレイして、私が実感した「なぜ?」の答えはこれだ。

「冒険したいからだよ!ワクワクするからだよ!」

このゲームは、最初からずっとそのワクワク感を引き出し、次々と広げていく。これが『冒険』なんだ、こうやって味わうものなんだ
これが、私のゲームに対する第一印象である。

このゲームのようなスタイルは、俗に「アドベンチャーゲーム」と呼ばれる。と言っても、80~90年代と今とでは意味が大きく異なるが、今はアクション要素の有無を問わず「バックグラウンドとなるストーリーに沿って進めていくゲーム」となるだろうか。

そういう意味では、この『Outer Wilds』はまさに「アドベンチャー(冒険)ゲーム」という呼び方が最も似合うと思った。

追記・ムービー公開

私は、このゲームでスタート時からのプレイしたものをYouTubeにアップしている。

目が覚めてマシュマロを焼いてから、探査機に乗って宇宙へ乗り出し、音が聞こえる場所を探って、宇宙が消滅するところまで。そのプレイ手順を理解してもらえたら幸い。

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