Steamゲーム紹介「レトロ」19選(2023/1/29更新)
2010年代に入った頃から、過去に発売されたゲームを復活させる試み、いわゆる「レトロゲーム」がブームのように数多く見られる。
「レトロ(復古調・懐古的)」という言葉の意味の通り、レトロゲームは「懐かしさを感じるゲーム」という、曖昧なニュアンスを持つ広い意味で呼ばれる。発売機種やジャンルは問わないが、主に80~90年代に発売されたゲームを指すことが多い。
これはSteamも例外ではなく、検索キーワードとして「Retro」や当時のゲームを示す意味で付けられた「8bit」で探すと数多くのゲームがヒットする。
私も80年代からゲームに触れた世代である。そこで、Steamで発売されているゲームから、いわゆる「レトロゲーム」と呼ばれるものから、私が面白いと思うものを紹介していきたいと思う。ジャンルとしては主にアクションやSTG。この辺は、アーケードゲームからこの世界を味わってきた私の好みではある。
ちなみに各ゲームのタイトルについて、元になったゲームと同じ名称は公式・もしくは許諾を得たもの。それ以外はファンメイドなど別ゲームという位置づけ。
また、紹介しているゲームの多くは、私がSteam上で製作しているゲーム紹介コンテンツ「Steamキュレーター」でも書いているので、それらも見ていただければ、できればフォローしていただければ幸い。
【古き名作】
まずは、過去に発売されたタイトルをリメイクした作品を紹介。当時の「再現」と共に、映像の強化や新モードの追加など新しい試みが見える。
Lode Runner Legacy
『ロードランナー』とは、1983年に発売されたアクションパズルゲーム。オリジナルは当時のPC『Apple II』のゲームとしてDouglas E. Smith氏が制作、ブローダーバンド社によって発売、後に日本のパソコンやゲーム機に移植され、世界中で大ヒットした。
そのリメイクとして、四角形のドットを「立方体」で描くという、3Dドット絵の映像が特徴だ。
内容は、オリジナルの150ステージに加え、新作ステージやパズルに特化したモードの他、ユーザーが制作するエディット機能とネットにアップロードもできるので、自分が作ったステージを世界中の人に遊んでもらうこともできる。
映像やステージか大きな変貌を遂げているが、敵の誘導と掘るタイミング重視という攻略と、アクションとパズルが融合したゲームの魅力は、今も変わらない。
余談ではあるが、『ロードランナー』については過去にブログで書いている。
内容などについて詳しくはそちらを参照。
HEIANKYO ALIEN / 平安京エイリアン
『平安京エイリアン』は、70年代にPCで製作され、後にアーケードに移植され人気を博したたアクションゲーム。当時は「東大生が製作したゲーム」として話題となった。それが2000年代になって、全く新しい姿となって復活する。
ゲームはタイム制で、制限時間がゼロになるまでプレイヤーは何度ミスしてもいい。だからミスを恐れずガンガン穴を掘って敵を埋める、これが基本コンセプト。
敵を倒せばランクと共に敵の数・スピード・掘る速度もアップする、終盤には画面を埋め尽くす数のキャラと驚異のスピードを味わう。ゲーム中に出現するアイテムを取ればパワーアップ、隠しアイテムを掘り起こしてボーナスゲット。
80年代のアーケード版は穴を掘って「待つ」ゲームだったが、本作は全く逆で、徹底的に「攻める」プレイスタイルと「爽快感」を得るのが特徴だ。
制作を手がけたデベロッパー『Mindware』は、本作に限らず80年代のPCゲームをリメイクするプロジェクトを続けている。
⇒Steam検索:開発元「Mindware Co.,Ltd. 」
タイトルは市販ゲームに限らず、PC雑誌のプログラムコーナーに掲載されたのみの作品もある。
オリジナルはどれも、PCの「文字」だけでキャラクターを描くなど限られた環境で作られた小規模の作品だが、それらが持つアクションとしての感覚を残しつつ、更にパワーアップした姿として再現している。
Heavy Burger
80~90年代に活躍したメーカー「データイースト」のゲームをモチーフにした対戦型全方位STG。
敵チームと金塊を奪い合ってゴールまで運ぶ、マシンガンやレーザーなど武器を手にして相手を撃て!金塊を奪え!ゴールまで突き進め!各ステージではバーガータイムの具材や空手道の牛などが襲う!クリアすると大統領の祝福が待っている!ハチャメチャでパワフル、そして全編にあふれるデコテイストが魅力。
本作について、私はnoteにレビューを書いている。
Missile Command: Recharged
上空から飛来するミサイルを地上から迎撃せよ、そして自国を守れ。という「防衛」を主体としたSTG。80年代にアメリカで発売されたアーケードゲームのリメイクだが、内容は大きく異なる。
オリジナルはトラックボールと3ボタンという特殊な操作だったが、本作の操作はマウスのみ。照準を動かしてクリックで3基ある砲台の近い場所からミサイルが発射される。3基とも弾の速度は全部同じで、ゲーム中に飛来するアイテムを破壊すると一定時間「爆風が大きくなる」「画面の敵ミサイルを一層」「プレイヤーのミサイル速度がアップ」など様々な効果がある。
ただ、この「攻撃は3基の近い場所から発射」、つまりアーケードと違ってプレイヤーが発射砲台を決められないのがクセモノで、遠い場所から発射されて間に合わないこともある。
また、ゲームとは直接関係ない点として、ゲームオーバー時は爆風と共に画面いっぱいに巨大な文字で「GAME OVER」が「敗北」と書かれるなど、ゲーム中の文字がやたらとデカい、かつ酷い誤訳が多い。
この辺はオリジナルのメーカーであるアタリにとって、80年代アーケードゲームでよく見られたので「いかにもアタリらしい」と捉えるかはユーザーの思い入れ次第。
【インスパイア・ファンメイド】
ここで紹介するのは、過去のゲームと直接関係ない(公式ではない)、いわゆるファンメイド作品。中でも、当時のゲームを細部にわたって再現するなど「インスパイア」が大きく感じられる作品を集めてみた。
Super Cyborg
(2023/1/29追加)
何もかも魂斗羅!とにかく魂斗羅!メカと生物兵器は男のロマン!という、コナミの『スーパー魂斗羅(Super Contra)』をモチーフにしたアクションSTG。
80年代ゲーム機、中でも『メガドライブ』をモチーフにした映像と音楽、元のゲームは「人間vsエイリアン」だったものが、本作は「サイボーグvs生物」の戦いが繰り広げられる。
でも、サイボーグなのに銃弾を1発受けるだけで死ぬなど理不尽さも残っている。
Freedom Planet
映像は、限られた解像度と色数で描かれるメタリックな質感やクリスタルの輝きなどが特徴。主人公はステージ上を走りながら、ジャンプ台で空中に高く飛ぶ、円形やらせん状になった道を回りながら進むなど、巨大なマップの中で高速に突き進む。ボス戦では、巨大なボスキャラが体を回転させながら襲いかかるなど高速かつ迫力のあるアクションが満載。
これらは、80~90年代に活躍したゲーム機『メガドライブ』と、その代表作『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のインスパイアと言えるアクションゲーム。
本作はSteamに限らず、ゲーム機でもNintendo SwitchとPS4でも日本語ローカライズされたものが発売されている。
⇒Nintendo Switch|フリーダムプラネット
⇒PlayStation Store|フリーダムプラネット
また、続編となる『Freedom Planet 2』も現在制作中。
Noitu Love 2: Devolution
映像は先に書いた『Freedom Planet』と同じくメガドライブを連想するが、確認したら解像度320×240、色は128色程度とPCエンジンで可能なもの。でも音楽はメガドライブなどのFM音源を思わせる。
内容は、敵を倒しながら突き進んでいくアクションゲームで、操作はキーボード&マウスカーソル指示。移動とクリックを組み合わせて行うという少々複雑なものだが、これを使って瞬間移動・ダッシュ攻撃など多彩なアクションを味わえる。
ステージでは敵が立て続けに襲って来る、行き止まりに到達したと思えば急に床が破壊されて落下していく、着地した所でボス戦、敵は巨大な本体を回転させたり派手な演出で攻撃を仕掛ける、といったスピーディーかつインパクトのある演出が魅力だ。
このような特徴的な操作で行う多彩なアクション、随所に見える派手な演出は、90年代に『ガンスターヒーローズ』などを製作したデベロッパー「トレジャー」のゲームを連想する。制作側はかなり意識していると思われる。
Arcade Moonlander
オリジナルを知っている方なら、ゲーム内容は「ステージ多彩なルナランダー」の一言で分かる。
ゲームの目的は、宇宙船を操作して地球外惑星の大陸に着地すること。
宇宙船の操作は左右回転とジェットのみ。宇宙空間でスピードを上げすぎると止まらない、わずかな角度のずれや速度超過で爆破する、加速・減速の調整とタイミングが全て。
シビアな操作で得る緊張感と、成功した時の達成感。映像はモノクロで線画を主体として描くなど、モチーフとなった『ルナランダー』の雰囲気もある。そんな懐かしさが残る演出も魅力だ。
Whip! Whip!
1画面の中で敵を全滅すればクリアという、固定画面ステージクリア型アクションゲーム。
2人同時プレイなど随所に見える『バブルボブル』のリスペクト要素、音楽は元タイトーのCOSIO氏がてがけるなど、アーケードゲーマーを引きつける要素が満載だ。
でも再現にとどまらず、ワイヤーを使ったスピーディーなアクションは当時味わったもの以上の爽快感があって気持ちいい。
Shufflepuck Cantina Deluxe
惑星の酒場を舞台に、1対1で「エアホッケー」の対戦をする。90年代にMACや日本のPC-9801シリーズなどで発売された『シャッフルパックカフェ』の流れを組むアクションゲーム。タイトルも「Cafe(カフェ)」に対して「Cantina(酒場)」というパロディと思われる。
登場する宇宙人達は、独特の動きやリアクション、術を使うなど個性的なものばかり。BGMは映画『スターウォーズ』の酒場で演奏される音楽をイメージする、デバイスとしてVRにも対応など、楽しませてくれる要素も多い。
【再現・レトロ風】
ここでは、特定のゲームに影響を受けたというより、当時のゲーム機の「再現」や、当時の味だけを残した「レトロ風」と言えるもの、その中で新しいものを作り上げたゲームを取り上げてみた。
Donut Dodo
(2023/1/29追加)
80~90年代のアーケードを再現した固定画面アクション。
1画面の中で敵を避けてドーナツを全て取ればクリア。その中で見せるキャラクターのコミカルな動き、敵のパターンを見極めて高得点を狙うアクション要素、ステージごとに見せる様々な仕掛け。
ゲームセンターで味わった「画面を見ただけで分かる、そしてプレイして覚える」というシンプルかつ明快なもの。
そして、軽快なテンポとメロディの音楽は、ゲームセンターで流れてもひときわ目立っていただろうと想像してしまう。。
そんな、当時ゲームセンターで味わった「プレイ感覚」を思い出させてくれるゲームだ。
また、note内で本作のレビューを書いているので、詳しくはそちらをご参照。
Retro Game Crunch
(2023/1/29追加)
ファミコンを再現した映像と音楽のミニゲーム集。
パズルアクション、対戦型アクション、メトロイドヴァニア、縦STG、カードゲームなど全部で7種類。どれもプレイ時間は数分~数時間、短時間で遊べるコンパクトなものだが遊び応えがある。
まさに一粒でたくさん味わえるゲーム。
Jet Gunner
ファミコン風画面のアクション。それどころか、解像度256×224ドット・色数25色、更にはキャラを並べたときの「ちらつき」まで再現するという、当時でも可能と思われるスペックで製作されたアクションSTG。
武器の出現がランダムで選べない、上に登る場面で下に戻ったら画面外として死ぬなど、当時の理不尽さまでそのまま。
The Joylancer: Legendary Motor Knight
敵をぶった斬って破壊しまくって突き進む、凄まじくスピーディーなアクションゲーム。
画面や音楽はファミコン風だが、設定では初期値が「ゲームボーイ」風白黒画面となっているなど、ベースとなるのはゲームボーイ。
アクションやSTGの数多く発売されたゲームボーイ感覚をここで再び味わえるのが魅力。
LOVE
80年代PCを思わせる映像が特徴のジャンプアクションゲーム。
プレイヤーも障害物も動きが速いうえに、キャラが小さいのでわずかにずれただけで落下して死ぬなど、難易度も過去ゲームを思わせる。
だが操作はジャンプと共に「復活ポイント作成ボタン」があり、死んでも直前からやり直すことができる。この一つだけで劇的に遊びやすくなる。
レトロ風ゲームでも、わずかな要素を加えるだけで楽しめる、そんな可能性を見せてくれる。
このゲームについて、過去にブログで紹介しているので、詳しくはそちらを参照。
LOVE 2: kuso
前述した『LOVE』の続編。基本コンセプトは同じで、更に多彩なステージに挑戦する。
タイトルはクソ、しかもタイトルロゴは日本語の「くそ」をかたどったものだが、それは制作者が80年代に日本のゲームセンターで聞いた「クソッ!」という叫び声から、「クソ」という言葉には「挫折との闘い」を味わう意味があるとしてネーミングされた。
でも、Steamのストアページやコミュニティを見る限り、制作者は恐らく「クソゲー」などの意味も理解していると思われる。
前作同様、ジャンプなどのタイミングが極めてシビアだが、ゲームに装備された「復活ポイント作成ボタン」を駆使して突破すれば、あたかも「高難易度ゲームをノーミスでパーフェクトにクリア」したかのような達成感と爽快感を味わえる。それが前作以上に大きいことが特徴と言える。
それについて、私はnoteに紹介記事を書いている。
【こんなものまでリメイク】
過去ゲームのリメイクには、あまりメジャーではない作品が製作されていたり、現在は配信停止のタイトルもある。それらを闇に沈めるのはもったいないということで、こちらに掲載した。
Toki(JuJu伝説)
魔王の手によって彼女さらわれ、姿を猿に変えられてしまった主人公が魔境に挑む。使える武器はなんと「唾を吐く」、これで敵を撃って倒していくアクションSTG。
オリジナルは80年代に発売されたアーケードゲーム『JuJu伝説(海外タイトル:Toki)』。この作品がHD画質のゲームとしてリメイクされた。
プレイしてまず驚かされるのは映像。海外アニメーション作品のような背景とキャラクターのスムーズな動きなど描き込まれている。
でもゲーム内容は、敵の攻撃に触れただけで即死など難易度が高い。これはアーケード版の要素ををそのまま引き継いだもので、ステージ構成なども忠実に再現されている。
そんな、映像のみを強化してオリジナルを限りなく再現することを目指した作りが特徴だ。
Choplifter HD(配信停止中)
ヘリコプターで敵地に乗り込み、戦車やジェット機の攻撃をかいくぐって捕虜を救出せよ。というアクションSTG『チョップリフター』。オリジナルは80年代にアメリカのApple II版として発売され、日本でもPC-8801などに移植されたゲームがHD映像で蘇る。
オリジナル版は攻撃と救出のみのゲームだったが、本作はステージをクリアするスタイルで、プレイヤーが操作するヘリは燃料など制限があるので、燃料を見て計画しながら遠方に向かうなど、ステージによって常に異なる戦略がある。
でも前作同様の要素として、捕虜達はちゃんと踏みつぶせる(ちゃんとって何だ) 。
だが現在、Steamのストアページは存在しているが購入不可。すでに所有済ならダウンロード可能となっている。
Q*bert: Rebooted(配信停止中)
80年代にアーケードで発売された、ステージ上に配置された「立方体」のブロックで繰り広げられるアクションゲーム『Qバート』のリメイクで、当時を再現するモードと共に、パズル要素を持った新作もある。
操作はパッドの他に、マウスで場所を指示しながら移動することもできるが、実はマウスの方が斜め操作を間違えないので使いやすい。そんな新しい操作感も味わえる
ただし、前述した『Choplifter HD』同様、本作も現在はSteamで購入不可なので、残念である。
【コラム】私が選んだ「レトロ」とは
最初にも書いたが、Steamでもいわゆる「レトロ」を謳った、当時を思い出したりイメージするゲームは数多い。その方法も、移植などの「復刻」、映像などを強化する「リメイク」、それに影響を受けた別作品「インスパイア」、雰囲気だけ残した「レトロ風」など様々だ。
その中には、細部にわたって再現するなど制作側の思い入れが感じられるものもあれば、キャラを昔っぽく作っただけの簡素なものなど、ブームに乗っただけのゲームも多く、若干食傷気味になることもある。
そこで、この記事で挙げたタイトルは、私なりに「80~90年代のゲームを味わった人が楽しめるもの」を選んてみたつもりなので、同じく当時を知る方が楽しんでいただければ幸い。
でも、移植など「復刻」のタイトルは、調べたらかなりの数があり、私も多くに触れていないため、今回は省いている。
今後、それらも書いてみたい。
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