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『Cash Cow DX』は、アーケードゲームの「側面」を際立たせたゲーム

スタートすると、画面にはたくさんの「お金」がちりばめられている。追いかけてくる敵から逃げながら、そのお金を全て取ればステージクリアと、見た瞬間に大筋のルールが理解できる。
登場する敵キャラクターは、追いかけてくるものや飛び跳ねてくるものなど、それぞれ特徴的な動きをする、その行動パターンを読み取って攻略する。
そこに流れる音楽は、特徴的なメロディを高い音で奏でながら、ゲームを盛り上げてくれる。
シンプルかつ明快、そして軽快。そんなゲームに、ゲームセンターで遊んだ当時の感覚を思い出す。

本作は、80年代アーケードゲームをモチーフにした『Donut Dodo』の制作元「pixel games SARL-S」による、同コンセプトのアクションゲーム。
前作は固定画面に対して、今回は横に4~5画面ほどある、『マッピー』や『シティコネクション』などがモチーフと思われる。

ターゲットを全て取得でクリアというアクションゲームのスタイル、コンティニューがなく1コインでどこまで進めるかが勝負、スコアはネットでランキング集計されるなど、アーケードの感覚を再現した作り方は前作と全く同じ。
でも今回は、あるコンセプトを前作以上にはっきりさせたゲームと言える。

ちなみに、前作『Donut Dodo』についてもnoteで書いているので、併せて読んでいただければ幸い。


高難易度を追求したスタイル

全5ステージの中で、様々なギミックや演出を見せて楽しませてくれたり、各ステージのどこかに1本だけ「ツルハシ」が置かれていて、取ると一定時間無敵になって敵を倒していく逆転要素もある。

更に、特定の場所に出てくるダイヤモンドを取ると、お金が宝石になって高得点、スタート時に降りてくるエレベーターに敵を乗せるとボーナス、ツルハシを持ってある場所の壁を突き破るとボーナスステージに突入など、全ステージに同じ隠しボーナスが盛り込まれている。

それはどこにある、どうすれば取れる?という情報は、今ならネット(というか、Steamのコミュニティハブ)で容易に入手できるが、それを意識すると更に危険なプレイスタイルを要求される。
その攻略を極めるため、1~5ステージの中からどこでも1ステージだけ楽しめる「PRACTICEモード」で練習して、アーケードモードやエンドレス、スピードラン(プレイによりアンロックされる)で本番に挑むという流れ。

でも、敵は画面外から突然現れて正面衝突することも多い、同じ場所をウロウロする敵がいるのでそのお金を取るのが難しい、ステージの左右端に行くと反対側に、画面の下に落ちれば上にワープするので一瞬見失うなど、画面が広くてスクロールことが難易度を上げているようだ。

アーケードゲームの側面

正直言ってしまうと、『Donut Dodo』の感覚でプレイすると、その難易度に面食らってしまうかもしれない。でもそれが本作の特徴でもあり、当時のアーケードにあった部分。

常に画面外の敵を意識しながら自分の攻略パターンを作る、更なる高得点を目指すには情報と高難易度の操作が要求される。それは、雑誌や口コミで情報が広まったりスコアランキングが盛んだった80年代のアーケードゲームと似ている。
本作は『Donut Dodo』の要素を全て盛り込みながら、それ以上に攻略を必要とする、アーケードゲームの「競技」としての側面をより強く見せたゲームだ。

それだけに、難しくて手がつけられないと感じるかもしれない。その場合は前述した「PRACTICEモード」で各ステージの演出を味わうのも一つの楽しみ方。
私はこれを「PRACTICE(練習)モード」というより「ENJOY(楽しむ)モード」と捉えている。

そんな、プレイヤーごとのスタイルを見つけていくのが、本作の楽しみ方だと思う。

追記:Steamレビュー

本文と同内容のものをSteamレビューでも書いているので、合わせて見ていただければ幸い。


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