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過去を再現する、でも懐かしさはない。それが「レトロ風」の魅力。

最近、Steamでいわゆる「ドット絵」を売り文句にしたゲームに触れると考えてしまう。80年代に「ドット絵」という言葉は無かったなって。90年代に入って、ポリゴンのゲームが増え始めた頃も「2D」くらいの呼び方しかしていなかったと記憶している。
今でこそ、表現方法の一つとして「ドット絵」と呼ばれ、それを見せるゲームが数多く出ている。自分にとっては当たり前だったものが特別のような存在になるのは、妙な感覚ではある。

Voidrun

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プレイヤーは「ボイドボール」と呼ばれる球を並べて「敵を囲む」ことで倒していくアクションゲーム。

囲んで倒すゲームと言えば、80年代のゲームで『リブルラブル』を思い出す。このスタイルは、直接攻撃できずプレイヤーの移動のみで倒す必要があるため、アクションとしての操作テクニックが重要となる。

ゲームの映像は、背景の黒を省いて白・赤・紫の3色で描かれる。これはファミコンが一度に3色しか表示できない機能に基づいているようだ。
でも考えてみれば、当時のファミコンで「ゲーム全編を通して同系色に統一した映像」のゲームを見た覚えがない。少なくとも、流行と言えるほど出てはいない。
一方、Steamでは思い付くだけでも『LUFTRAUSERSNEO NEOCirca Infinityなどいくつもある。流行というより、ドット絵を表現する一つの手法として確立している感がある。

また、本作ではプレイごとにステージや入手するアイテムなど、様々な要素がランダムに出現する、いわゆる「ローグライク」の要素を含んでいる。
が、やはり当時のファミコンでローグライクのゲームを見た覚えがない、このスタイルは80年代でも後半以降だった記憶がある。でもSteamでは今こそ数多く出ている。

考えたら、『ローグ』ってファミコンよりずっと前から存在していたのに、「ローグライク」は今の流行りと言えるのも、少し妙ではある。

KONSAIRI

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狐を操作して、みんな眠りに就いてしまった島の住人を助けよう、というストーリーのアクションADV。

ドット絵をで描かれる映像やアニメーションがあまりに見事だった、だから期待して始めた。だが、30分プレイしてもルールすら全く分からない。これが初プレイの第一印象だ。
このゲームを進めるには、まずストアページにあるマニュアルを読んで手順を把握する必要がある。そして基本的な操作も、アイテムはレバーを入れながらボタンで「投げる」、ニュートラルだと「使う」の違いがあるなど独特。システムや操作など色々と特殊で尖っている

それだけに、最初は理解するのに時間がかかる。だから正直、誰でも楽しめるお勧めのゲームとは言えない。でも、他のものと全く異なるものを目指す、その尖りっぷりに「挑戦」の意図が見える、そこが好きだ。

VirtuaVerse

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人の生活にVR(バーチャルリアリティ)が根付く近未来を舞台にしたアドベーチャーゲーム。
主人公は行方不明になった恋人を探すために街に出向く。そこはVR漬けになったホームレスがいる、違法ドラックの店があるなど混沌とした場所。

この世界では、情報から人の行動など全てがネットワークで管理されているが、その中で麻薬など裏の世界では、ネットから逃れる方法として「フロッピーディスクに記録して直接渡す」方法で情報交換する。だから「レトロPC」が重宝される。

VRが根付いた世界でレトロPCが重要な役割を果たすという、この物語のテーマは「時代錯誤」だ。ドット絵で描かれるのも、その時代錯誤を主張しているかのようだ。

ドット絵とレトロ風に感じるものは?

これら3つのゲームはどれも「ドット絵」を使っている、過去ゲーム機を再現したようではあるが、懐かしさはない。
そこに見えるものは、むしろ今のゲームと感じる要素、尖っていて挑戦的な作り、時代錯誤を感じる演習。どれも、当時のゲームでは味わうことがなかった。

どれも「過去」をベースに作られているが、その中に「過去ではない」ものを取り入れる。いわゆる「レトロ風」のゲームって、そんな「懐かしく新しい」ところが魅力であるように思う。

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