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優しさに満ちたアクションゲーム『リブルラブル』。今こそ味わう、新たな魅力

過去に夢中になってプレイしたゲームに、今改めて触れる。それは「懐かしい」という感覚に浸るだけと思っていたが、本作では少し違う感覚も得る。

時代によって味わうものがある、それも魅力の一つと言えるだろう。

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アーケードゲームを今のゲーム機で復刻するプロジェクト「アーケードアーカイブス」として発売された『リブルラブル』は、1983年にナムコ(現バンダイナムコアミューズメント)から発表された、2本のレバーで操作してキャラクター達を「囲む」アクションゲーム。

左右の矢印のようなキャラクター「リブル」と「ラブル」を左右それぞれのレバーで操作し、その間にひられたライン(ロープのようなもの)を杭に引っかけながら囲んでいく。
ゲームでは囲むことを、その時の効果音からイメージした名称「バシシ」と呼ぶ。そのバシシを使って魔法使い「ホブリン」に連れ去られたキノコのキャラクター「マシュリン」を捕まえることが目的。

それに対して、様々なキャラクター達が出現する。プレイヤーを追いかける、ラインを切ってバシシの邪魔をする、ラインに触れるとリブルとラブルを入れ替えて混乱させる、エネルギーを吸い取られるなど、みんなで囲む邪魔をしてくる。
それらが1画面という狭い空間の中で繰り広げられる。

自然の中で繰り広げられる、優しさに満ちたゲーム

本作の魅力はあまりにも多い。
2本のレバーを使った特殊な操作とシステム、カラフルで色鮮やかな映像、軽快なメロディで奏でられる音楽。

ゲームの中にも、どこかに隠されている「宝箱」を見つけ出して妖精を捕まえるとボーナスステージに突入するなど、全編に詰め込まれたファンタジーの世界。

そのステージは「SEASON」と表記され、各ステージごとに季節が存在して難易度も変わるなど、春夏秋冬が一つの区切りとして構成される。
フィールド上には植物の種が蒔かれ、成長して花が咲き実が成り、また種を蒔く。それをバシシして取得するとエネルギーになって一定時間無敵にもなるが、採り過ぎると無くなるので、大事に育てながら採る、それが戦略の要素となる。
ゲームシステムに組み込まれた、あらゆる要素が「自然」をモチーフとして、その自然を知り、活かすことが攻略となる。

それに加え、本作はアクションゲームでありながら、敵を殴ったり武器を使って攻撃するようなものではなく、囲むことを主体とする「攻撃しないアクションゲーム」であるなど、全てにおいて「優しさ」にあふれている、それでいながらアクションとしてのスリルがある。

そんな、「美しく・優しく・楽しい」ところが、本作の魅力だった。

今だから味わえる魅力

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本作が初めて家庭用に移植されたのは1993年、当時の高性能パソコンであったX68000用として発売された。X68000は最も初期の機種が1987年発売なので、マシンにとっては6年経った後期と言える時期の発売だった。

私はその時に本体を購入したが、理由の一つが「リブルラブルが遊びたい」だった。これに限らず、それまでに発売されていたゲームを店を走り回って片っ端から買いまくったという、まだネット通販がほとんど普及していなかった時代の思い出。

だが、当時のパソコンやゲーム機のコントローラーは、8方向+2ボタンのレバーもしくはパッドが主流で、本作のような2レバーを実現するものはなかった。
そこで、本作は専用コントローラー同梱で発売された。

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価格としてはその分高くなるが、私は購入を迷うこともなかった。逆に言えば、高価格でも多くの人が購入するようなタイトルでないと発売できなかった、それだけ本作の魅力は大きかったということ。

それが今や、コントローラーは2本のスティックがついているタイプが主流なので、専用コントローラーを発売する必要がない。購入もオンラインで購入してダウンロードすればすぐプレイできる、しかもSwitchなら携帯端末で楽しめる。

当時味わったのは「美しく・優しく・楽しい」、それは今も変わらないが、今はそれに「手軽」という感覚が加わる。そんなものをかみしめながら、また夢中になってプレイする。

時代によって味わうものがある、それも魅力の一つと言えるだろう。

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