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学校の先生はスゴイ

こんにちは。Supportia事務局の瀧澤です。昨日、私たちの理念について記事にしましたが、今日は少し教育関係の文章を。

私が公立中学校に長く勤めていたこともあって、私の友人の多くは教員です。学生時代からの友人とはなかなか連絡を取ることも会うことも簡単にはできず、私にとっては仕事での関わりの深さと友情のようなものとがごちゃごちゃになって、「仲間とともに子どもたちのための教育活動に取り組む」という実に恵まれた毎日でした。職場の同僚を「仲間」と思えたこと。これは大げさではなく、私の人生における宝だと思っています。

現在私は教職ではない別の道を歩むことになりましたが、当時の仲間とは今でも頻繁に連絡を取り合っては色々な話をしています。

先生の仕事の多さ

さて、昨今教育界をめぐってはどうもつらく苦しい報道が多くなってきました。

①労働時間 ②保護者対応 ③部活動 ④提出書類などの雑務の多さ …

挙げれば本当にキリがない状態です。例えば私の教員としてのある一年間に担当していた仕事をざっとまとめます。

・担任 ・研究主任(同時に研究指定4つ) ・社会科担当 ・自治体の道徳研修会月1回参加 ・部活動顧問 ・修学旅行担当 ・卒業式担当 ・PTA広報担当 ・自治体開催の教科研究会部長 ・生活指導部 ・地域清掃のボランティア ・教員親睦会幹事 …

他にもあったのでしょうがもはや思い出せないレベルです。このような環境下が当然の中で通常業務が流れていきます。定期テストも行われるし、三者面談も行い、通知表も出します。これらは当然ながら、日常業務の授業をこなしながら同時進行です。

そこに地域や保護者からの要望も加わります。NOとはなかなか言えません。終わりのない日々の格闘に、先生方は今日も挑み続けています。

先生方には、今はなるべくラクをしてほしいです。Covid-19が壊した教育界の常識を、しっかりと精査して、安易に元に戻すだけが良いことばかりではないと勇気をもってやめたり統合したり、勇気ある決断が先生方を救い、ひいては子どもたちを救うことにつながると思います。

教職志望学生の減少

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上のグラフは、文部科学省「令和3年度公立学校教員採用試験実施のポイント」です。ご覧の通り、競争倍率は平成12年をピークに減少してきています。令和3年度のそれは平成3年の最低値に迫るもので、文科省はじめ各自治体も採用試験の回数を増やすことや教職の魅力の発信に努めています。

このまま教職への人気は衰退の一途を辿ってしまうことは、元教員としても子をもつ保護者としても食い止めるための行動をしなければと思っています。

教員の仕事は本当にブラックなのでしょうか。確かに私は12年間現場にいた人間なので、そう言われても仕方のない環境であった側面はありました。しかし、教師に与えられる裁量は大きく、自分次第で自由に学びの場を設計することができることは魅力でもありました。よくストレスの原因として「モンペ」なんていう言葉もあります。私は12年間、公立中学校3校を担任として経験しただけですが、感覚としてはほとんどの保護者の方は共感的で、協力的で、建設的に考え、「子どものために」という姿勢でタッグを組むことができたように思っています。

「子どものために」という魔法の言葉を出されるとNOと言えなくなる、「やりがい搾取」という言葉で批判されることもあります。そのやりがいを規定するのは先生自身であるところにこの問題の難しさがあるように思います。先生たちはきっと、「授業のプロだ」という自負があります。簡単ではない採用試験を、その教科指導に関する内容でクリアしてきたからです。問題なのは、採用試験に課されていないことやそもそも教育課程外である活動にかなりの比重が割かれ、本丸である授業やその準備時間が後回しにされていることによるストレスなのではないでしょうか。

先生の多くは1日4~6時間の授業を行っています。1日の大半を占めるその仕事が準備不足で行われるとどうなるか。先生は自分でわかります。私もそうでした。準備不足の授業を行いながら、子どもへの申し訳なさに押しつぶされそうになる。でも土日は部活動の試合と審判派遣があって、何も準備できなかったのだ…と悔やむ。

このままでいいはずがないことは行政も理解しているはずです。今現場の先生方にできることは、先ほども申し上げたラクをすることに罪悪感をもたないことです。本務は授業。ここだけは守る。それ以外は少し、ご自身に求める仕事の質を意図的に下げて、それをよしとする姿勢が必要だと思います。でないとこの膨大な量仕事に対処できず潰れてしまいます。

教師という仕事 つまらないわけがない

教師という仕事に就くほとんどの人は「教師になりたくてなった」人です。大学の教職課程を取っていない友人よりも多くの授業に出て、課題を出してテストに通ってた必要単位を取得します。そして教員免許を取得し、自治体の採用試験を経て正式に教員として採用されます。何もないところから教師を志すとなると、相当な時間がかかります。つまりその間ずっと教師になるという情熱を絶やさなかった人たちです。

人の学びと成長の現場に立ち会う。これは世の中にある社会貢献の中でも最も貴重なもののひとつでしょう。この先の世の中を支える存在である子どもたちのために頑張る先生という仕事は、今でも魅力にあふれているはずです。つらく苦しい側面ばかりに支配されて、やりたいと思っていた若者に敬遠されてしまうような教育界であってほしくないです。

私は学校の外側に飛び出したので、このSupportiaという事業を通して「公教育を支える立場」として自由に動き回ります。学校の先生として存在するだけでは救えなかった子どもたちを見つけ、色々な手段を用いて学びの場を提供したいです。現在教職を志している皆さん、学校現場は大変だけど魅力ある場です。まっすぐ進んでいってください。きっと光はあります。

Supportia事務局 瀧澤 哲郎