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#4 骨を伸ばして身長を伸ばそう!

 お子さんの身長を伸ばしたい!その為には、骨がどう成長するのかを理解しておく必要があります。#3では身長を伸ばす要因を遺伝と環境要因に分けてお話させて頂いたのですが、今回は、骨を伸ばすためにはどうしたら良いのか?について情報を整理してみようと思います。

思春期と骨の関係

 一般的に骨がぐんと伸びる時期は新生児期と思春期の2回あり、親御さんや監督・コーチの方々が身長に関して特に関心を持つのは思春期にあらわれる第二次性徴の時(男子/11歳前後、女子/9歳前後)でではないでしょうか。この時期には性ホルモンの分泌が高まり、男女ともに一気に大人の体に近づくと同時に骨が大きく成長することで身長も一気に伸びていきます。

骨が伸びる仕組み

 実は、骨を伸ばす為の重要なヒントは思春期前に隠されています。思春期前は、骨の末端近くに【軟骨細胞】(骨となる土台)が形成され、その軟骨が骨へと置き換えられることを繰り返すことで骨が伸びていきます。思春期に入ると骨の伸びは一気に加速するのですが、それと同時に【軟骨細胞】の形成が減り、すべての【軟骨細胞】が骨に置き換えられることで成長のラストスパートが始まります。

*よく骨端線があるからまだ身長が伸びるという話を耳にしますが、骨と【軟骨細胞】との間に線がある=まだ軟骨細胞が骨に置き換えられていない ⇨ まだ骨が伸びる可能性がある!という判断をします。

ホルモンと骨の関係

 思春期に性ホルモンの分泌が開始されると【軟骨細胞】の骨への置き換えを加速させます。逆に性ホルモンの分岐の開始時期が遅れると、身長のラストスパートも遅れ、最終の成人身長は高くなる傾向にあります。
例えば、1cm+10cm(身長のラストスパート)で合計11cm伸びた子よりも、1cm+1cm+1cm+10cm(身長のラストスパート)で伸びた子は成長が早い子に一瞬身長差をつけられてしまいますが、合計13cmとなり最終的には身長が高くなっているというイメージです。
つまり、思春期が来るのを出来るだけ遅くすることで、性ホルモン分泌による【軟骨細胞】の骨への置き換え時期を遅らせることが、最終身長を伸ばす為のヒントに繋がる可能性があります。
*思春期がくるタイミングを遅らせる方法については、別の機会に書かせて頂きます。

【軟骨細胞】(骨となる土台)を増やす

 軟骨細胞(骨となる土台)が骨へと置き換えられることを繰り返す為には、【軟骨細胞】を増やす為の刺激入れが必要となります。一般的に【軟骨細胞】を増やすにはスキップやジャンプ、縄跳びなどの骨に対して縦方向に刺激(重力がかかるような刺激)が有効とされています。プールや自転車などの運動では縦方向の刺激がが弱く【軟骨細胞】を増やすには効率が悪いと考えられることから、思春期前の子どもたちの運動習慣が偏らないように気をつけましょう。
また、【軟骨細胞】は骨に比べて弱く、損傷するとその後の骨の成長や形成に悪影響を及ぼすことから指導者や監督・コーチは無理のない範囲で練習の強度やボリュームをコントロールしてあげる必要があります。

まとめ

 今回は、骨が伸びる時期やその仕組みに焦点をあてて情報を整理させて頂きました。子どもたちがスポーツを正しく続けれらるよう引き続きリサーチを深めていこうと思います。この情報が、親御さんや監督・コーチの方々のお役に立てば幸いです。

プロフィール
大城英稔(おおしろ ひでとし)

学歴
東京都 玉川大学文学部教育学科健康教育コース卒業
米国 マーシャル大学大学院 運動生理学専攻 卒業

略歴
スポーツおきなわ 代表理事
沖縄国際大学 非常勤講師
沖縄県スポーツ協会 医科学スタッフ
沖縄県テニス協会 医科学委員長
元国立スポーツ科学センター常勤トレーニング指導員
元Bリーグ琉球ゴールデンキングスストレングス&コンディショニングコーチ

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