今週のリフレクション【D2C(佐々木康裕氏)】

今週は先週に続いてデザインに関する本を振り返ります。佐々木康裕さんの「D2C」です。ざっくり3点で要約すると・・

*D2Cブランドとは、新しい消費の価値観を持つミレニアル世代以下のターゲットに対し、ユニークな世界観を下敷きにしたプロダクトとカスタマーエクスペリエンス、SNSや店舗を通じた顧客とのダイレクトな対話、垂直統合したサプライチェーンを武器に、VCから資金調達を行い、短期間に急成長を目指すデジタル&データドリブンなライフスタイルブランド。デジタル起点(テック企業)、直接販売、低価格化志向、指数関数的成長、ライフスタイルを販売、ミレニアル世代以下がターゲット、コミュニティ重視、コト付きのモノを販売、が特徴。終着点のないカスタマージャーニー。Attract→Engage→Delight→Shareのループ型。4Pは4E(Experience、Exchange、Evangelism、Every Place)に変化。

*顧客とブランドの壁が壊れ、顧客はストーリーがライフスタイルとフィットするかで直接選ぶ。企業発信<顧客発信となり、インフルエンサー型からファンによるアンバサダー型で企業と顧客と一緒につくる形が主流になる。ブランドはメディア化し、プロダクトはコンテンツ化。企業側は表現する枠は無限になり、連続ドラマのように重層化。タッチポイントとデータ量が増えていくため、優しいデジタルの時代へ。データの適切なFB、場所・時間の制約からの解放、コラボ感覚、が成功の3条件。リアル店舗は体験の粘着性が高いため、顧客獲得コストが安く、LTVを高める場として機能。

*スタートアップは、差別化され粗利が高い商品、ゼロサム市場、既存プレイヤーに顧客接点がない・マス広告に依存、データ取得と精度向上がポイント。大手ブランドは、デジタルネイティブのUX、横型組織で顧客との関係構築、世界観で訴求がポイント。大手小売は、DXによるスキル獲得→D2C中核組織→D2Cブランド展開のプロセスがポイント。日本では安くて良いもの溢れ、小売チャネルも充実しているので、D2Cの高価格帯へのシフトが鍵。今後は、D2Cの商材は増え、リユース市場、コングロマリット化する。

商品やサービスの世界観が自分のライフスタイルに合うかどうかで購買を決める。ここにある前提は、ミレニアル世代以下は自分の世界観を大切にしているということです。

私は人材育成の仕事をしています。ふた昔の新人研修は、企業が主語で身につけて欲しい知識やスキルを起点にして研修を設計していました。所謂、詰め込み式のカリキュラムですね。本人の文脈はさほど考慮せず、企業として達成して欲しいゴールから逆算してカリキュラムを逆算します。カリキュラムに着いて来られない場合は、個人の努力が足りないことになります。そんな時代でした。

時代は代わり、ひと昔前の新人研修は個人のカスタマージャーニーに着目するようになりました。代表的なペルソナのスタート時点を想像することが起点になります。どんな気持ちや知識を持っている新人が、ゴール地点にいくにはどんなカリキュラムが良いかをしっかり考えます。個人の文脈をイメージし、以前よりぐっと解像度が上がりました。恐らく、一般的な研修企画は今でもこのプロセスが多いと思います。

では、今の新人研修では何が求められているか。この本を読んで私が感じたのは、Co-Journeyのデザインだと思います。1人1人の文脈が違う個人のSolo-Journeyが研修を通じて回り、他の個人に好影響を与え合っていくCo-Journeyの起こる「場」のデザインです。1日単位ではなく期間全体で新人研修を捉え、個別に学びの変わる体験を提供し、お互いに好影響を与え合っていく。そんなイメージです。

そのために、1人1人違うバラバラな学びの状況を見やすくするテクノロジーのサポートが必要だと思います。お互いの状況が見えることをきっかけに対話が始まり、Co-Journeyが回る。そんなマスではなく個別にアジャスト可能な新人研修を実施していきたい。と思えた週末でした。

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