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Unacceptable

頭からつま先まで、……なんならこれからその子が通る道すがらですら愛おしい…………。
わたしは女の子の友だちに対して、このような気持ちを抱くことがある。

彼女がなにをしていても、なにをしていなくても愛している。
そういった悦びの中で、彼女と食事を共にする。それがわたしの数少ないたのしみでもある。

けれども、彼女の全てを肯定できるというのはあくまで架空の気持ちなのであって、ほんとうはきっとそうではない。

受け入れられないことが起きたとき、わたしはとても驚く。デザートフォークでステーキを食べている程度ではそんなこともちろん思ったりしない。

例えば、彼女が「ひろゆきって知ってる?なんでも知ってて、めっちゃ正論言うんだよ」と言ってきたときなんかは非常にげんなりしてしまう。そういうときなんかにわたしは彼女をアクセプトとはとても思えない。

するとどうだろうか。ぴかぴかと頭頂部からtoesまでを覆う鎧は朽ち錆びていき、中からはぐにゃぐにゃとした肉が見え隠れする。

わたしの知る彼女はどこに行ってしまったのだろうと不安な気持ちの裏に、彼女の真の姿こそ眼前にてうごめく肉体なのだと思い知る。

肉体から目を逸らすべく必死に泣き喚くも、肉体はいなくなってはくれない。
ぴかぴかと光り輝く彼女を返してほしいと思ったところで、彼女のもともとの姿を見ていなかったのはわたしなのだからどうしようもない。

こうして逃げ出してしまうことが多々あった。歩んできた道を振り返るとかわいらしい肉片が微笑んでおり、行先にはブリキの彼女らが佇んでいる。

いつになれば見にくい部分も受け入れられるのだろうか。鼻をつまめば案外食べられるかもしれない。

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