奥田民生「CUSTOM」

好きな曲に順位をつけるのは、人の作品に優劣をつけるようでとても難しい。ただ奥田民生「CUSTOM」に関しては、自分の中で最も大事な曲であるのは間違いない。

中学生だった私はユニコーンの存在こそなんとなーく知ってはいたが、これまたなんとなーく変な音楽をやる人たちと言う認識で、きっと大人が聴くような音楽なんだろうと漠然と思っていた。で、詳細は省くが中学３年生の時、ユニコーンが解散してすぐの頃に突如としてハマった。見事にハマった。今までオレが聴いてきた音楽はいったい何だったんだ？毎日そんな事を考えながら、ベスト盤からスプリングマン、ヒゲとボイン・・・と遡り、今まで聴いたことのないような楽曲たちを味わいまくっていた。

そしてベリーラストを最後に完全にユニコーンが終了、メンバー各人のソロ活動開始から、ついにリアルタイムで彼らを追える時が来たのだ。一応それぞれ（EBI、阿部、バニラ、ビッグライフ等々）フォローしてはいて、とは言えやはり奥田民生に最も夢中になっていた。そこから数年、スペースシャワーTVだっただろうか、CUSTOMのMVが流れて来て、あまりの衝撃でしばらく呆然としてしまった。奥田民生と言えば飄々としていて、掴み所がなくて・・・それはファンにとってもそうでない方にとっても共通のイメージであるように思う。そんな照れ屋で天邪鬼な彼が、あくまで私個人の見解ではあるが「初めて自分をさらけ出した」と感じたのだ。そんな曲がファンに届かないはずがない。未だにライブでやられると泣いてしまうし、それは今後も変わらないだろう。大好きだ。

最後に余談。CUSTOMと対になる作品、The STANDARD。こちらももちろん素晴らしいのだが、ざっくり言うと「奥田民生が、普段自分の音楽を聴かない人にも届けてみようと作った曲」らしい。詳しくは覚えていないが、そんなニュアンスのことを喋っていたはず。ある日、私の友人（女性、普段の会話に民生のタの字も出てこないようなひと）がちょっと恥ずかしそうに私に言った。

「奥田民生のスタンダードってあるやん・・・？あれ、いいよね。わたしCD買っちゃった。」