【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューTB編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(24).ニック・ビツコ(Nick Bitsko):RHP:右投右打:6-4/220:Central Bucks-East HS:$3M:$2.83M

90マイル中盤の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で97マイルをマーク。4シームを好み、高めに投げて空振りを奪う。スピンのきいたカーブがアウトピッチで評価も高い。チェンジアップもまずまず。恵まれたサイズにかまけて力任せに投げるのではなく、エフォートレスなデリバリー。2021ドラフトクラスだったがアーリーエントリー。

成績

 ドラフトイヤーの年末に肩の手術を受けると21年は全休。22年にプロデビューとなりましたが、復帰直後ということもあってか成績は奮わず。
 23年に再起をかけましたが、故障で1度も投げることなくシーズンアウト。これまでまともに登板機会を得られていません。
 ドラフト当時のポテンシャルは相当なものだっただけに、歯がゆい3シーズンとなりましたがリハビリ中も腐らずにトレーニングを続けているようでポテンシャルを開花させる道はまだ閉ざされてはいません。



CBA(37).アリカ・ウィリアムス(Alika Williams):SS:右投右打:6-2/180:Arizona State:$1.85M:$2M

優秀なSS守備を誇るディフェンダー。打球反応の早さがずば抜けており、捕球の困難なハードヒットに追い付くことができる。ハンドリングや送球もそつなくこなし、長くSSに留まれる存在。コンタクト重視のスイングなため、長打/三振が少ない。慎重なアプローチをとり、四球が多い。

成績

 ドラフト当時の評判通り打撃では目立った成績を残せませんでしたが、持ち前のコンタクトスキルでマイナーのいずれのクラスでも最低限の成績を残すことに成功。22年からは2年連続で2桁HRをマークするなどパワーツールでも進歩の兆しを見せます。
 23年の6月にロバート・スティーブンソンとのトレードでPITへと移籍。移籍先でメジャーデビューも果たしました。
 ただ、メジャーではレギュラーを張れるほどの打力ではないことは明白。同じポジションにオニール・クルーズというスーパースター候補もいるため出場機会は限られてくるでしょう。
 ベストツールである守備はさび付いておらず、未だにSSで機敏な動きを見せているため守備型のベンチプレイヤーとしてチームを渡り歩くことになりそうです。



2(57).イアン・シーモアー(Ian Seymour):LHP:左投左打:6/210:Virginia Tech:$1.24M:$1.24M

90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速でも94マイル程度。それでもデセプションに優れたデリバリーとムービングで球速以上に打ちづらくしている。アウトピッチはチェンジアップ。打者の左右を問わずに投げ込み、空振りを奪う。スライダーのクオリティは平凡。コントロールは優秀。先発で使うよりも、リリーフとして1イニングを全力で抑える方が向いているかもしれない

成績

 プロ入り後は度重なる故障で登板機会が限られていますが、マウンドに上がりさえすれば好投しています。
 プロデビューイヤーは前腕を痛めて遅めのデビューとなりましたが一気にAAAまで駆け上がっており、トミー・ジョン手術明けとなった23年も復帰直後とは思えないピッチングを披露。故障による悪影響を感じさせません。
 アマチュア時代と大きくスペックは変わっていませんが、4シームとチェンジアップのコンビネーションがハマっておりアマチュア時代から奪三振能力が向上しています。
 相変わらずドタバタとしたデリバリーですがコントロールは悪くありません。ただ、動きの多さが仇となって大きい故障を誘発しているようにも見えます。
 まだ、フルシーズンで投げたことはありませんが、24年は故障が無ければメジャーデビューも夢ではないでしょう。


総括

 1巡目のニック・ビツコは故障のためプロではまだ8試合のみの登板に留まっています。シーリングの高さを考えるとこのままくすぶっているのは惜しい逸材ですが、復活への道のりは険しそうです。
 2巡目のアリカ・ウィリアムスは心配されていた打撃で最低限の成績を残し続け、メジャーに到達。ただ、メジャーではやはり打撃の弱さが目立ってしまっており、それを見越してかトレードの弾として放出へと至りました。
 好成績を残し続けているイアン・シーモアーも故障がちで将来の戦力としては心許ありません。バリューのある内に放出するか、我慢してメジャーで使うかなかなか難しい決断となりそうです。


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