3年後...2018MLBドラフトレビューLAD

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
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成績
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1(30). J.T.ギン(J.T.Ginn):RHP:右投右打:6-1/210: Brandon HS:-($2.275.8M)
最速97マイルの速球が最大の武器。回転数の多い4シームを高めに投げて、空振りを奪うシーンが多く見られる。アウトピッチはスライダー。縦方向に曲がるタイプで、このボールをコントロールできる時は手が付けられなくなる。チェンジアップも投げるが、要改善。デリバリーは力感が強く、それが原因となってかコントロールを乱すことも多い。前述したデリバリーと小柄な体格から、リリーフ向きと見るスカウトも多い。オーバースロットの契約金をオファーされるも、大学進学を決めた。

成績

大学進学後はモデルチェンジを果たし、高めの4シームを投げ込むスタイルから2シームをゾーン内に集めるスタイルへと変貌しました。長く先発で投げることを考えると現在のスタイルが理想的なのかもしれません。ドラフトイヤーの20年にトミー・ジョン手術を受けることとなりましたが、NYMに2巡目で指名を受け、ボーナススロットを大きく上回る金額で契約となりました。21年にはプロデビューを果たし、A/A+で好成績を残しました。今年は開幕前にクリス・バシットとのトレードでOAKへと移籍しています。個人的な意見ですが、やはり高校時代にそのままプロ入りをしているとリリーフに収まっていたと思うので大学に進学したのは間違いではなかったでしょう。


2(68). マイケル・グローブ(Michael Grove):RHP:右投右打:6-3/200: West Virginia:$1.229.5M($917K)
昨年の6月にトミー・ジョン手術を受け、ドラフトイヤーは全休。健康であるならば最速95マイルの速球と鋭く曲がるカーブのコンビネーションで、相手を圧倒することができる。速球はノビのある4シームで、低めよりも高めに投げることで威力を発揮する。その速球を自在に投げ分けられるコマンドも有している。デリバリーはデセプションに優れている。故障がなければ1巡目で指名を受けていてもおかしくなかった逸材。

成績

19年にプロデビューを果たしましたが、その後2シーズン続けて低調な結果に終わりました。独特なデリバリーから投じられるノビのある4シームとカーブのコンビネーションは健在ですが、いかんせん長いイニングを投げることができていません。故障歴のことも考えるとリリーフとして投げるのが最適解なのかもしれません。また、球質が軽いのか被本塁打が非常に多くその点も気になるところです。


3(104). ジョン・ルーニー(John Rooney):LHP:左投左打:6-5/235: Hofstra:$563.24K($538.8K)
大学最終年にコントロールが安定したことでブレーク。速球は最速で95マイルをマークすることもあるが、常時90マイル前半程度。投げ下ろすデリバリーで角度をつけて投げることができており、球速以上に打ちづらい。ベストピッチはスライダー。キレがよく、このボールで空振りを誘う。チェンジアップも改善の一途をたどっており、右打者対策もばっちり。支配的なピッチングは期待できないかもしれないが、安定してストライクを投げることができるため、ローテーション4/5番手としての活躍が期待できる。故障歴の少なさも評価に値する。

成績

19年はA/A+で20先発100イニング以上をクリアとソリッドなスターターとしてその素質を見せましたが、21年はまさかの長期離脱となり8試合の登板に終わってしまいました。


4(134). ブレイドン・フィッシャー(Braydon Fisher):RHP:右投右打:6-4/180: Clear Falls HS:$497.5K($402.3K)
90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は現時点で最速96マイルをマークしており、今後さらなる球速上昇が見込める。スライダー、チェンジアップといったブレーキングボールはまだまだ発展途上。それでもスライダーを評価する声もあり、あとはチェンジアップをどれほど磨けるか。デリバリーは長い手足を活かしきれておらず、コントロールが不安定になる原因となっている。メジャーデビューまで時間がかかるタイプ。

成績

19年は故障で全休となったため、初のフルシーズンとなったのは21年。スピンのきいたカーブを武器にイニング以上の三振を奪うことができましたが、失点が多く、全体としては低調な成績に終わりました。高校時代は2シームも投げていたようですが、現在は4シームをメインにしているようです。球速は高校時代から変わっていないようで、最速の96マイルをマークすることもまれなようです。現在はリリーフをメインに投げています。


5(164). デビン・マン(Devin Mann):2B:右投右打:6-3/210: Louisville:$272.5K($300.6K)
アプローチに優れ、高出塁率に期待できるソリッドなタレント。打席では非常に慎重で、打てるボールをじっくり待ち確実に仕留めるスタイル。大学では飛びぬけた長打数ではなかったが、パワーポテンシャルを買う声もある。スピードがあり、大学の3年間では盗塁失敗は0個だった。守備ではミスが少なく、スピードがあるためレンジも広い。SSを守らないのは肩の強さが平凡なため。走攻守で安定しており、ベンチ要因として早期昇格できる可能性もある。

成績

プロでは大学時代は隠れていたパワーツールで存在感を発揮しています。19年はA+で19HR、21年はAAで14HRと2シーズン連続で2桁HRをクリア。ソリッドなアプローチも健在で、シーズンのBB%は常に10%以上を保っています。一方で、長打を意識しすぎてかFB%が極端に高くなり、打率が上がらない原因となっています。守備では内外野共にこなしており、柔軟な起用法が可能となっています。


6(194). ブライヤン・ウォーゼック(Bryan Warzek):LHP:左投左打:6/205: University of New Orleans:$202.5K($233.8K)
90マイル前半の速球と、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。奪三振能力が高く、本人も三振を取ろうとする意識が高い。いずれの球種もアウトピッチとして使い、狙いを絞らせない。コントロールが悪く、体格も小柄なことから将来はリリーフに転向するのではないかと目されている。

成績

プロ入り後もコントロールは改善されるどころか悪化する一方で、21年中にリリースされました。

7(224). ジェームズ・アウトマン(James Outman):OF:右投左打:6-2/195: Sacramento State:$157.5K($184.2K)
パワー&スピードに優れたアスリート。大学時代はコンスタントに長打を放ち、持ち前のパワーを発揮していた。一方で打撃は粗く、三振は非常に多い。そのためか打率も低空飛行を続けており、プロの投手のボールに対応できるか不安が残る。スピードは平均以上で、盗塁にも積極的。守備ではそのスピードを活かしてCFを守る。

成績

プロ入り後もプレースタイルは変わらず、2シーズン連続で2桁HR&2桁盗塁をクリアしました。いずれのシーズンもあとHR1~2本打っていれば20-20を達成していました。やはり、打撃は粗くいずれのシーズンも試合数以上の三振数をマークしています。ただ、プロで全く通用しない可能性もあったと考えると健闘しているでしょう。守備でもハイライトとなるプレーを披露しており、打撃で通用しなくとも守備・走塁要員でメジャーに昇格できるかもしれません。


8(254). ルーク・ハイヤー(Luke Heyer):3B:右投右打:6/200: Kentucky:$47.5K
打撃ではパワーポテンシャルが光る。コンタクトスキルは悪くないが、積極的に打とうとしすぎるため三振が多く四球は少ない。スピードは平凡で、盗塁に積極的だが失敗が多い。大学時代はOFを中心に守っていたが、肩の強さを見込まれプロでは主に3Bで出場している。

成績

19年シーズンは16HRをマークしましたが、21年は出場機会が少なくシーズン途中でリリースとなりました。

9(284). ジョシュ・マクレイン(Josh McLain):OF:右投右打:6-1/170: North Carolina State:$75K($143.6K)
コンタクトスキルに長けており、とにかくバットにボールを当てようという意識が強い。そのため小柄な体格と相まって、パワーツールに欠けることとなりHRは望めない。ギャップを抜くパワーは有しているため、二塁打/三塁打が多くなるだろう。スピードは平均以上。広いレンジをカバーできるためCFを守ることもできるが、肩が弱く将来はLFが定位置か。

成績

デビューイヤーは好成績を残しましたが、19年は故障に悩まされオフに引退となりました。


10(314). ディーコン・リプット(Deacon Liput):2B:右投左打:5-10/185:Florida:$134.3K($136.8K)
打撃ではヒッティングセンスの高さを見せ、広角にラインドライブの打球を打ち分けることができる。足を大きく開いて構えているため、どのコースのボールでも対応できるがその分長打が少ない。スピードツールも優秀。守備では広いレンジをカバーし、ミスの少ないソリッドなプレーが持ち味。大学時代はSSを守っていたが、肩が平凡なため将来は2Bが本職となるだろう。大学時代にグラウンド外の素行不良で、出場停止処分を課されたことがある。

成績

自慢のヒッティングツールもプロでは鳴りを潜めており、デビューイヤーにAで残した.280がキャリアハイの打率で、以降は.250を下回っています。それでも21年はAA/AAAで15HRをマークしており、全く通用していないわけではなさそうです。1B/2B/3Bを守れる汎用性の高さもウリになっています。


総括
1巡目のJ.T.ギンに逃げられてしまったのは、大きな痛手。来年の補償指名権は獲得できるが、ギン以上のタレントがいるかは微妙なところ。ギン以外に話を移すと、独自の路線を行く指名となった。トミー・ジョン手術で全休したマイケル・グローブは、注目度では劣るとはいえ15年ドラフトのウォーカー・ビューラーを思い出させる指名。他球団と比較すると相対的に投手は少なめとなったが、ハイシーリングなタレントからハイフロアーなタレントまで選り取り見取りとなっており見ていて飽きない。野手では大学生のみの指名となったが、こちらは両極端なタレントを指名。パワーに優れたタレントは三振が多くアベレージはからっきし、コンタクトスキルに優れたタレントは長打はからっきしといった具合。両方ともバランスが取れているのは、デビン・マンくらいか。

総括(2021)
やはり、ギンを逃したのは痛手だったようです。投手で言えばグローブはいまだに長いイニングを投げることができておらず、フィッシャーも故障に苦しんでいる状況です。
野手に目を移すとアウトマンがブレークを果たしつつありますが、レギュラークラスとまでは言えず小粒な選手ばかりとなっています。

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