【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューMIL編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(20).ギャレット・ミッチェル(Garrett Mitchell):OF:右投左打:6-3/204:UCLA:$3.24M:$3.24M

ずば抜けた身体能力の高さが光るフィジカルモンスター。高校時代から既に注目を浴びていたが、安定感に欠けておりハイピックは得られず。大学では精神的にも成熟し、それに伴いプレーも安定。典型的なスピード&パワータイプ。パワーポテンシャルは試合ではまだ発揮できず。スピードは主に走塁で生かされており、盗塁だけでなく二塁打/三塁打の量産に貢献している。

成績

 22年にメジャーデビューを果たすスピード出世を果たしましたが、故障による長期離脱が多く出場機会を満足に得られていません。
 プロデビューを果たした21年から1シーズン100試合以上に出場したことがなく、23年は肩の故障もあってキャリアワーストの27試合のみの出場となりました。
 試合中の故障によって重傷化してしまうことが多く、長期離脱もやむなしとなっています。ハッスルプレーが故障につながるパターンが多いため、派手に飛んだり跳ねたりするのは控えた方がいいかもしれません。
 とはいえ、出場さえすればメジャーでも好成績を残すことができており、1巡目指名の期待に応えています。
 ローパワー自体は非常に高く、打球速度も健全な数字ですが低めのボールに対してもレベルスイングで対応するため低弾道になりやすくさく越えの打球が少なくなっています。ほぼ毎年GB%が50%以上となっており、パワーツールの割には長打数が多くならない原因となっています。
 メジャーの少ない出場機会ながらも守備では常にプラスの数字をたたき出しており、守備面での貢献度も高くなっています。故障さえなければオールスターレベルの選手であるだけに、不用意なプレーを減らしていきたいところです。


2(53).フレディ・ザモラ(Freddy Zamora):SS:右投右打:6-1/190:Miami:$1.15M:$1.37M

広いレンジ、正確な送球、アームの強さ、どの体勢からでも投げられるボディバランス、冷静な判断力等守備に必要なものを全て兼ね備えている。高校時代に低評価だった打撃もコンタクトスキルの高さを活かし、ハイアベレージを残すことができている。パワーポテンシャルは低いが、ギャップを抜くパワーは有している。スピードは平凡だが、相手の隙をつき次の塁をうかがう。

成績

 ドラフトイヤーに膝の前十字靭帯断裂という大怪我をしましたが、2年ぶりのプレーとなった21年のプロデビューイヤーは好成績をマーク。持ち前のコンタクトスキルの高さを見せ打率は.300超えとなりました。
 22年にも期待がかかりましたが、肩の故障で24試合のみの出場に留まります。23年には復帰しましたが、AAでOPS.713とまずまずの成績で終えました。
 コンタクトスキルと共にピッチセレクションにも優れており、BB%は長期離脱した22年以外は12%をマーク。打率が伸び悩み、長打が少なくとも出塁でチームに貢献することができます。
 ザモラといえば守備ですが、膝の古傷に加え肩の故障もありアマチュア時代ほど動けない可能性もあります。まだメインポジションはSSですが、故障の影響がでてくるようであれば2Bをメインにするのもやむなしでしょう。
 いずれにしろ守備で足を引っ張るということはなく、高い出塁能力とのセットでベンチプレイヤーとしてメジャー昇格を果たしそうです。


3(92).ザビアー・ウォーレン(Zavier Warren):SS:右投両打:6/190:Central Michigan:$575K:$637.6K

コンタクトスキルに長けた小兵。確実にコンタクトすることを重視したスイングながらも、ギャップを抜いて二塁打を量産することができる。深いカウントになっても粘って、四球を奪うことができる点も高評価。一方で、スピードは平凡で、守備も特別上手いわけでもないため、SSに留まるのは厳しいか。アームは強いため、2Bよりも3B向き。

成績

 プロ入り後は3年連続で2桁HRをマークしており、パワフルな一面を見せています。評価の高かったコンタクトスキルも鈍っておらず、毎年三振数を試合数より少なく抑えK%も20%前後で推移しています。
 ただ、フライボールヒッターの気もあるためか打率は伸び悩んでいます。それでもそれなりの四球数を選んで最低限の出塁率を維持することには成功しています。
 守備での貢献度はなくむしろマイナスになる可能性が高いため、打撃にかかる期待は高いのですが現時点ではわざわざロースターの枠を割いてまで起用するほどのレベルには達していません。


4(121).ジョーイ・ウィーマー(Joey Wiemer):OF:右投右打:6-5/215:Cincinnati:$150K:$473.7K

秘めたるポテンシャルの高さが注目を集めている。カレッジのスタッツは平凡だが、そのパワーポテンシャルは高評価を受ける。高くバットを掲げ、大きく足を上げるスイングが特徴。空振りが多く、低めの変化球に簡単に手を出すことも多い。身体能力も高く、スピード・アーム共に平均以上。1打席どころか、1球ごとに全力を注ぐエネルギッシュなプレースタイルはハンター・ペンスとも比較される。

成績

 4巡目指名ながらも3倍以上のオーバースロットの契約を手にしていただけあって、マイナーでは2年連続20HR以上をマークする活躍を見せます。
 過去2年の公式の全体トップ100のプロスペクトにも選出される活躍が認められ、23年は開幕からメジャーのロースターに入り、スタメンの座も勝ち取ります。新人王候補にも名前が挙がりましたが、プロ入り後初めて壁にぶつかり、全ての打撃項目でキャリアワーストの数字を残してシーズンを終えることとなりました。
 メジャーレベルでは拙いコンタクトスキルが露呈してしまい、コンタクト系のスタッツはいずれもリーグの平均より5%近く低くなりK%もマイナー時代から大きく悪化させることとなりました。
 特に変化球としては最もポピュラーな右投手のスライダーに苦戦しており、簡単に料理されてしまいました。
 一方で、低打率ながらも13HR&19二塁打と長打力は発揮しており、ベストルーツであるパワーが通用することは証明済み。右投手のスライダーを我慢することを覚えれば、メジャーでもシーズン20HRを達成できそうです。
 守備ではいずれの指標でもプラスの数字をたたき出しており、ホームランスチールといった派手なプレーを見せています。


総括

 当時スリップしてきた感のあったギャレット・ミッチェルは既にメジャーデビューを果たし、少ない出場機会ながらもよい成績を残してドラフト前の評価が間違っていなかったことを証明しています。ただ、やはり故障が多すぎて満足に戦力化できていないのが現実。OFには若く有望なライバルが多いため、故障で出遅れているとあっという間に置いて行かれる可能性もあるでしょう。
 4巡目のジョーイ・ウィマーはポテンシャルを開花させてメジャーに到達。こちらは3年連続で100試合以上に出場しており、耐久性は問題ありませんがメジャーでは苦戦中。ただ、昨年はHRが出やすい球場にもかかわらずHR数がワースト5位に終わったMILにとっては貴重な長距離砲であるため、重宝されることになるかもしれません。
 他2名の野手はマイナーで足踏みが続いていますが、ミッチェルとウィーマーの台頭だけでも十分満足できるドラフトになっています。

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