【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューPIT編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
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成績
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1(7).ニック・ゴンザレス(Nick Gonzales):SS/2B:右投右打:5-10/190:New Mexico State:-:$5.43M

今ドラフト屈指のピュアヒッター。小柄ながらも鋭いスイングでフィールド全体に打球を飛ばす。大学での成績は立派だが、打者有利なリーグでのプレーのため過信は禁物。パワーポテンシャルは平均レベル。SSを守れるほどのスペックは持ち合わせていないが2Bなら十分。

成績

 21年のメジャーデビュー以来、卓越したヒッティングツールを武器にマイナーでも高打率を残しています。
 デビューイヤーとなった21年はA+で大暴れとなり、打率.303&18HR&OPS.950と故障による2ヵ月ほどの離脱があったとは思えないほどの成績をマーク。オフに参加したAFLでも打ちに打ったりで4割近い打率を残し、翌年に期待を持たせる結果になりました。
 しかし、22年はAAで苦戦。かかとの故障もあってか、打率は.264と低迷。OPS.800以上と意地を見せますが、2度目の参加となったAFLでも昨年の成績を上回ることができませんでした。
 AAAスタートとなった今年は持ち直すことに成功し、6月にメジャーデビューを果たします。昇格してすぐはヒットを積み重ね期待通りの活躍を見せますが、1ヵ月ほど経つとパタリと当たりが止まってしまい、8月にはAAAに戻されました。最終盤にもう一度昇格を果たしましたが、最後の4試合のみの出場では適応できたかどうかは計りかねます。
 アマチュア屈指のヒッティングツールという前評判にたがわずマイナー3シーズンでは打率.284と高打率を残しましたが、メジャーではまだ通用していません。
 メジャーでは打球速度の低さが目立ち、力負けしてしまっている印象を受けます。元々パワーツールに突出しているわけではないのですが、ここまで弱い打球が多いと目を引いてしまいます。
 また、広角にヒットを飛ばすのがゴンザレスの持ち味でしたが、メジャーでは逆方向への打球は20%以下、引っ張り方向に50%以上と真価を発揮できませんでした。
 ゴンザレスのマイナーでの三振数を見ると、ルイス・アラエズやニコ・ホーナーのように弱い打球でも高打率を残すというよりも、ある程度の三振数は見越しつつ25~30二塁打、15~20HRを狙うミドルヒッターを目指すべきなのかもしれません。
 現在メジャーチームの2Bに有力な選手はおらず、おそらく来年はレギュラー2Bとして開幕することになるでしょう。幸い守備では足を引っ張っておらず、多少打撃が低迷しても我慢してもらえるのではないでしょうか。


CBA(31).カルメン・ムロジンスキ(Carmen Mlodzinski):RHP:右投右打:6-2/232:South Carolinna:-:$2.31M

90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。19年シーズンは足の骨折でほぼ全休。復帰したケープコードリーグで活躍し注目を集めた。シンカー気味に動く速球とスライダーのコンビネーションで大量の三振を奪う。チェンジアップの評価も悪くない。課題だったコントロールも改善傾向。

成績

 デビューから2年間はスターターとして投げていましたが、AAでフルシーズンを投げた昨年はアバウトなコマンドが仇となってか防御率4.78と打ち込まれてしまいました。
 今年からは完全にリリーフに転向。短いイニングを全力で抑えるのが性に合っていたのかAAAで好成績を残すと、メジャーへと昇格。故障で3週間ほど離脱しましたが、オプションされることなく35試合に登板して自責点はわずか9と好投を見せました。
 アマチュア時代の速球はシンカー系がメインでしたが、プロ入り後は4シームメインへとモデルチェンジ。それが功を奏しており、カウント球にもアウトピッチにも使えるハイクオリティな球種となっています。
 サードピッチのチェンジアップも上手く使えるため、2ピッチで単調にならない点は他のリリーフとは一線を画するところ。
 打者の左右を問わず使える優秀なリリーフになれるかもしれません。

 

2(44).ジャレッド・ジョーンズ(Jared Jones):RHP:右投右打:6-2/175:La Mirada HS:-:$1.69M

90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で99マイルをマーク。コンスタントにスピードを出せる馬力が魅力。低めの変化球のコマンドが悪く、なかなか空振りを奪えない点が懸念材料。速球のコントロールもばらつきがある。フルエフォートなデリバリーと小柄なサイズも相まって現時点ではリリーフ向きか。

成績

 コントロールの悪さと小柄なサイズからいずれはリリーフに転向すると考えていましたが、AAAに昇格した今年までずっとスターターとして投げ続けています。
 球速の最速は変わっていませんが、体重が15ポンド近く増えたことでコントロールが安定してきており長いイニングを投げることができているようです。
 課題だった変化球のコマンドも格段に進化し、しっかり空振りを誘いやすいポイントに投げることでコンスタントに三振を奪うことができています。
 また、高校生上がりながらもこの2年間ですでに240イニング以上投げており、この若さにしてフルシーズンを戦う準備ができている点も目を引きます。ハードスロワーながらも故障が少なくIL入りしたのが今年が初めてで、それも長期間の離脱ではなかったのでタフネスさには舌を巻くばかりです。
 メジャーチームのローテーションは流動的なため、来年はメジャー昇格を果たすことは間違いないでしょう。故障さえなければ新人王候補にも挙がるかもしれません。


3(79).ニック・ガルシア(Nick Garcia):RHP:6-4/215:右投左打:Chapman:-:$780.4K

90マイル中盤の速球とスライダーのコンビネーション。速球は最速で98マイルをマーク。フレッシュマン時は野手としても出場していたが、シーズン終了後に投手に専念。瞬く間に球速上昇が著しく、今後、さらに伸びるのではないかと思わせるほど。コントロールがイマイチな点とディビジョンⅢでのプレーという点はマイナス。

成績

 アマチュア時代は球速の急上昇が話題となりましたが、プロではそのスピードが発揮されておらず、90マイル前半の球速帯で推移しています。
 他方で、投手転向後間もないということもあってか、変化球の習得に励みレパートリーにカーブとチェンジアップを加えました。そのかいもあって、22年はA+でフルシーズンを投げて防御率3.66と好投。これに目をつけられたのか、コナー・ジョーとのトレードでCOLへと移籍します。
 今年はAAでのプレーとなりましたが打ち込まれてしまい、シーズン途中1度デベロップメントリストに入り巻き返しを図りますが、復帰後も相変わらず打たれ続け苦いシーズンとなりました。


総括

 1巡目のニック・ゴンザレスはマイナーではもうやることはないという状態で、あとはメジャーの水に慣れることができるか。毎年打率.300以上を残すというよりは、極端な低打率に陥らずにそれなりに長打を打つタイプの選手が理想像なのだろうと思います。
 おそらくチーム事情によっても、本人のスペックからしてもSSをメインに守ることはないと思いますが、アマチュア時代の評判通り2Bではいい動きを見せているので問題ないでしょう。
 上位の投手2人は大成功。カルメン・ムロジンスキはスターターに残ることはできませんでしたか、リリーフとして成功。コントロールと変化球のクオリティが危ぶまれたジャレド・ジョーンズも体重を増やして課題を克服。メジャーデビューを目前としています。

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