【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューCHW編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(11).ギャレット・クロシェ(Garrett Crochet):LHP:左投左打:6-6/218:Tennessee:$4.55M:$4.55M

90マイル後半の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。19年秋にコンスタントに90マイル後半をマークし評価が急上昇。最速100マイルをマークすることも。ノビのある4シームなため空振りを奪いやすい。スライダー、チェンジアップも高い評価を得ている。一方で、シーズンを通して先発を経験したことがない、コマンドが不安定といった短所も。

成績

 ドラフトイヤーにメジャーデビューはチームではクリス・セール以来の快挙を果たします。投手としてのタイプも左の速球派とセールと似ており、当時のファンは再び若くしてチームを背負って立つ投手が現れたかと心を躍らせました。
 20年は5試合のみの登板ながらも平均100マイル超えの速球を武器に一度も失点せずシーズンを終えました。
 21年からはプロ2年目にして早くもメジャーでセットアッパーとしての役割を任されます。重要な場面で何度も登場し、速球で相手をねじ伏せて帰る2年目らしからぬ獅子奮迅の活躍を見せます。
 ただ、そのフル稼働がたたってか22年は開幕直前にトミー・ジョン手術を受けることとなり全休。今年の5月に復帰となり、肩の故障で離脱しつつも13試合に登板しました。
 マチュア時代から投げているボールのクオリティは大きく変わっていません。100マイル近い4シームと縦にも横にも変化量が大きいスライダーに時折チェンジアップを混ぜるピッチングスタイルのままです。それは、コントロールが改善されていないことも意味しています。今年は手術明けということもあって四球をイニング数以上の四球を出してしまったのはしかたないのですが、健康に1年を投げた21年も四球の数が多めになっています。
 偉大な先輩であるクリス・セールに倣っていずれは先発をという展望もあったかもしれませんが、あのコマンドでは長いイニングを投げるのは厳しそうです。
 大学最終年に本格的にスターターとして投げる予定をしていたのですがコロナ禍で立ち消えとなり、最後に先発したのがもう3年以上前になっています。
 ただ、メジャーチームのスターターのデプスはこの上なく空いているため来年は幻となったスターター転向に再挑戦するにはまたとないチャンスでもあります。


2(47).ジャレッド・ケリー(Jared Kelly):RHP:右投右打:6-3/215:Refugio HS:-:$1.58M

90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で98マイルをマーク。ノビのあるフォーシームで空振りを奪いやすい。アウトピッチはチェンジアップ。するりと打者の手元で消えるように落ち空振りを奪う。スライダーのクオリティもまずまず。高校生ながらコントロールも悪くない。

成績

 プロ入り後は度重なる故障と制球難に苦しんでいます。肩の故障や足の骨折といった長期離脱が不可欠なものが多く、シーズンで100イニング以上を投げたことがありません。
 また、コントロールの悪さは深刻で、3シーズンで165.1イニングを投げて127四球ととんでもない数の四球を出しています。改善されている様子もありません。
 アマチュア時代に既に215ポンドと大柄でしたが、プロ入り後はさらに30ポンド増加しておりコンディショニングに失敗しているようにも見えます。
 スライダーの改善等にも取り組んでいるようですが、アマチュア時代ほど評価が高くなることはなさそうです。

 

5(142).ベイリー・ホーン(Bailey Horn):LHP:左投左打:6-2/212:Auburn:-:$386K

90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で94マイルをマーク。ベストピッチはスライダー。アウトピッチとして優秀なボール。コントロールがよく、自滅することは少ない。故障歴が多く、耐久性に難ありか。

成績

 21年のトレードデッドラインでライアン・テペラとのトレードでCHCへと移籍しました。
 プロ入り後、21年はスイングマンとして先発とリリーフの二足の草鞋を履いていましたが、22年以降はリリーフに専念。22年はA+/AAで防御率を2点台にまとめ、今年はAAAにまで昇格。今オフのルール5対策のため40人ロースター入りも果たし、来年のメジャーデビューをほぼ確実なものにしました。
 元々スピードを殺したスライダーとカーブが持ち味だったため、打者がタイミングを掴む前に降板することができるリリーフに向いていたようです。
 22年まではIL入りが多くなっていましたが長期離脱はなく、今年は一度もIL入りしておらず懸念されていた耐久性も問題なさそうです。


総括

 LAAにお株を奪われつつありますが、元祖早期昇格球団といえばCHWでギャレット・クロシェもそれを代表する1人。メジャーデビュー時の速球を投げれば100マイルばかりだったインパクトの大きさからすると、現状には歯がゆいものがあります。
 本人はトミー・ジョン手術前にスターターとして投げることを望んでいるとコメントしており、スターター転向で巻き返しを図る可能性もあるでしょう。
 クロシェと同様に大きな期待を寄せられていたジャレド・ケリーはコントロール難から抜け出せていません。増えた体重も筋肉増強というよりは単純に太りすぎているようで、まずは体を絞ることから始める必要がありそうです。
 ケリーの契約金捻出のため契約金が削られた下位指名からはベイリー・ホーンがメジャー昇格間近と奮闘。緩い変化球が多いためコントロールが安定しませんが、その緩い変化球はゾーン内に入ってきても反応できない初見殺しのボールとなっており、メジャーに定着できる可能性は高いとみています。


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