【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューMIN編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(27).アーロン・サバト(Aaron Sabato):1B:右投右打:6-2/230:North Carolina:$2.75M:$2.57M

豊作だった18年ドラフトアーリーエントリー組みの1人。フレッシュマンから圧倒的なスタッツを残し注目を集めた。立派な体格と強烈なバットスピードから生み出されるパワーが最大の魅力。それでいて、ヒッティングも雑にはならず確実に仕留めるスキルも有している。打撃は文句なしだがそれ以外はてんでダメ。スピードは皆無で守備もイマイチ。アームも弱い。それでも、守備は猛練習に励んでおり、本人曰く高校時代よりも10倍上手くなったとのこと。

成績

 21年のプロデビュー以降毎年2桁HRをクリアしていますが、三振数の多さと低打率が足を引っ張りメジャーデビューを果たすどころかトッププロスペクトの座を守ることさえできていません。
 K%は毎年30%を超えており、アマチュア時代のヒッティングツールとパワーを兼ね備えた打撃は見る影もありません。それでも辛抱強いアプローチで四球を多く選び本塁打以外の長打も稼ぐなどしてwRC+やwOBAといった数字は悪くなく、打球速度もマイナーリーガーの中ではトップクラス。ただ、マイナーでこれほど低打率に苦しんでいると、メジャーに上がったところで長打を発揮する前にどれほど三振の山を築くことになるのか不安がられても仕方ないでしょう。
 アマチュア時代から変わらないずんぐりむっくりな体型のため1Bを守ることさえ難しくなっています。DH以外にポジションがない現状ではパワーだけが目立つ成績でメジャーに定着するのは難しいかもしれません。



2(59).アレリック・ソウラリー(Alerick Soularie):OF:右投右打:6/175:Tennessee:$900k:$1.19M

スキニーな体型ながらも、ハードヒットをコンスタントに飛ばすバットが魅力。パワーツールが目を引くが、アプローチも優れておりBB/Kの数字も良好。打撃以外はてんでダメでスピードがなく、アームも弱いためLF以外に守れるポジションはない。

成績

 21年のプロデビュー以降故障に苦しんでおり、シーズン100試合以上の出場が0回と耐久性に難を抱えています。プロ入り後も相変わらず線が細く、長いシーズンに耐えられる体づくりができていないように見えます。
 打撃では見かけによらないパンチ力をプロでも見せており、過去2年は2桁HRをクリアしています。また、アプローチも悪くなくBB%を15%前後で推移させています。ただ、上記のアーロン・サバト同様三振が多く低打率に陥ってしまっており、打撃で大きなプラスを生み出せていません。
 守備では2Bに挑戦してみたりと試行錯誤しているようですが、やはり優秀な打撃成績が求められるLFに落ち着きそうでメジャーへの道のりは険しそうです。


4(128).マルコ・ラヤ(Marco Raya):RHP:右投右打:6/165:United South HS:$410K:$442.9K

90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で94マイルをマーク。ノビのある4シーム系を好んで投げる。アウトピッチとして使う頻度が高いのはスライダー。キレがよく、コマンドも悪くない。全体的なコントロールも高校生にしてはいい方でデリバリーもクリーンと先発適正はあるが、サイズ不足なのが気になるところ。

成績

 21年は肩の故障でシャットダウンと他のドラフトクラスから出遅れましたが、復活した22年からは好投を続けています。
 故障した箇所が肩だっただけにピッチングに悪影響が出るかとも思われましたが、逆に速球のスピードを上げており現在は最速で97マイルをマーク。アマチュア時代から高評価だったノビのある4シームのムービングも失われておらず、アウトピッチとして機能しています。
 この4シームに加えて変化球でもコンスタントに空振りを奪うことができており、アマチュア時代同様コントロールで苦しんでいる様子もありません。投げているボールを見ると順調にステップアップしているようです。
 一方で不安なのは耐久性。ドラフト当時からそれほど体重が増えているようにも見られずスキニーなまま。23年は22試合に登板して62.2イニングのみと明らかに投球数をセーブされた状態です。24年は投げているボールのクオリティに加えてシーズン100イニング以上を投げ切るスタミナも求められることになりそうです。


5(158).カライ・ロサリオ(Kala'i Rosario):OF:右投右打:6-1/205:Waiakea HS:$270K:$330.1K

パワーポテンシャルの高さが魅力のスラッガー。無駄の少ないスイングでボールを弾き飛ばし、長打を量産することができる。一方で、ヒッティングスキルは未成熟で空振りが多く、プロの投手に対応できるかといった疑問は残る。身体能力は平凡で、アームもイマイチなためLF/DHが既定路線。

成績

 プロデビューの21年から才能の片鱗は見せつつもなかなか殻を破れずにいましたが、23年はA+でブレークを果たします。
 118試合に出場して21HRをマーク。K%を微減させる傍らBB%を大幅に上昇させることに成功します。オフに参加したAFLでも長打力を見せ、ホームランダービーでは優勝も果たしました。
 アマチュア時代よりも体重は増えていますが、太ったというよりも筋肉量が増えたように見受けられ元々評価の高かったパワーがさらに磨かれているようです。
 守備でも当初の予想以上に動けているようでRFなら平均レベルには守てくれそうです。


総括

 上位2人の大学生は苦しい結果となっていますが、下位2人の高校生がそれをカバーする活躍を見せてくれています。
 1巡目のアーロン・サバトはドラフト前の評価ではもうメジャーデビューしていてもよい時期に入っていますが、未だにAAで苦戦中。守れない代わりにハイレベルな打撃を披露する選手から、四球か三振かHRかといった極端な成績の際物選手になってしまっています。
 下位2人の高校生のうちより高い評価を得ているマルコ・ラヤですが、実働数の少なさが懸念材料。低身長かつ細身とスターターとして投げさせるには不安要素が盛りだくさん。成績はよくてもメジャーデビューは後回しで体づくりに励むことになりそうです。

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