3年後...2018MLBドラフトレビューCLE

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
コメント

1(29). ノア・ネイラー(Noah Naylor):C:右投左打:6/195: St Joan of Arc Catholic SS:$2.578.137M($2.332.7M)
SD傘下のプロスペクトであるジョシュ・ネイラーの弟。兄ほどのパワーはないが、それでも今ドラフトの高校生の中ではトップクラスのパワーの持ち主。ヒッティングではそのパワーを上回るほどの評価を得ており、ハイアベレージを残せるだろう。ボールの見極めも悪くなく、高出塁率にも期待できる。守備では肩の強さを活かした盗塁阻止やフットワークの軽さなど随所に光るものを見せるが、レシービング、ブロッキングはまだまだ発展途上。見た目以上にスピードがあり、仮に3Bに移ったとしてもそれなりに動けるだろう。兄と違い、素行に問題はない。

成績

プロではマイナーのクラスが上がるごとに成績が落ちています。特にAAでプレーした21年の成績はひどく、2シーズン連続の2桁HRをマークしたものの打率が.200にも届かないといった体たらくでした。その理由として挙げられているのが、三振とポップフライの多さ。高校時代はそれほど三振が多いタイプではありませんでしたが、プロではボール球を追いかけることが増え試合数をはるかに上回る三振数を記録しています。また、FB%は高いもののライナー性の打球が多くなく逆に凡打が多くなっています。Cの守備でも進歩が見られておらず、現状はパワーツールだけがプラスのツールとなっています。


1C(35). イーサン・ハンキンス(Ethan Hankins):RHP:右投右打:6-6/200: Forsyth Central HS:$2.246.022($2.016.4M)
肩の故障がなければ、上位10位以内で指名されていたであろう逸材。速球は最速で98マイルをマークし今後さらに速くなる可能性があり、100マイル超えも夢ではない。2シーム気味に動かしたり、4シームとして高めに投げたりと動きも多彩。この速球を狙ったコースに投げられるコマンドを有しており、高校生相手なら速球だけでも抑えられると評されるほど。この速球に加えてスピードを殺したカーブとストレートチェンジを投げ、打者をきりきり舞いにさせる。ブレーキングボールに関しては評価が分かれているが、いずれの球種もアウトピッチとしては優秀であることには間違いない。デセプションに優れたデリバリーも高評価。上手くいけば、キャリアで何度もCY賞レースに絡むエースとなるだろう。

成績

今でも18年ドラフトクラスの高校生投手のNo1だったと思っています。ドラフトイヤーの故障で評価を下げたものの、復帰した19年は多少コントロールに不安はありましたが能力の高さを発揮していました。ようやく本領発揮となるはずだった21年でしたが、シーズン開幕前にトミー・ジョン手術を受け登板はありませんでした。今年の夏ごろ復帰予定となっており、首を長くして待っています。今でもCY級の投手であると信じて疑っていません。


CBA(41). レニー・トーレス(Lenny Torres):RHP:右投右打:6-1/190: Beacon HS:$1.35M($1.744.8M)
速球は最速で98マイルをマークするが球速が安定せず、90マイル前半程度でしか出せない試合もある。アウトピッチはスライダーで、キレがよく空振りを奪えるが、試合中不安定になることが多い点は要改善。ストレートチェンジも投げるがこちらも発展途上。ストライクを投げることに苦戦することはないが、細かいコマンドはまだまだ。どの点を取ってもポテンシャルの高さは見られるが、不安定さが目立っている。この不安定さと体格のことを考えると、リリーフとして投げるほうが活躍できるかもしれない。

成績

19年にトミー・ジョン手術を受けたため全休となりましたが、21年に復帰。ただ、復帰直後ということもあってかコントロールが定まらず、まともにストライクが取れないということも多く大量の四球を出す結果となりました。それでも、球速は手術以前の水準に戻っており、シュート気味に伸びあがるムービングも取り戻すことができています。あとは、経験を積んでコントロールを磨けばスターターとして投げることも夢ではないでしょう。


2(67). ニック・サンドリン(Nick Sandlin):RHP:右投右打:5-11/175: Southern Mississippi:$750K($939.7K)
腰を落として低いアングルから投げるサイドアーマー。独特のデリバリーは右打者に対して高い効果を発揮する。速球は最速で95マイルをマーク。よく沈み、ゴロを打たせやすい。球種のバリエーションが豊富で、ベストピッチのスライダーを筆頭に、カーブ、チェンジアップを投げ分ける。ジャンクボーラーというわけではなく、どの球種もクオリティは高い。左打者に対してもチェンジアップを上手く使い、苦にしない。コントロールがよく、四球を出すことは滅多にない。大学最終年にリリーフから先発へと転向したが、プロではリリーフに再転向。早期昇格が望まれる。

成績

マイナー2シーズンで好成績を残すと、シーズン中断をはさんだ21年にメジャーデビュー。そのまま、マイナーに落ちることなく定着と順調なキャリアを歩んでいます。低いアングルから左右にグネグネと曲がるボールを投げ分けるピッチングスタイルは今も変わっておらず、ゴロを打たせつつ三振を奪う効果的なピッチングを続けています。右のサイドハンドということで左打者に弱いと言う印象を持たれがちですが、上記のレポにもあるチェンジアップとシンカーを上手く使い抑えることができています。ムービングが激しすぎてコントロールしきれてない点が不安材料ですが、メジャーでも十分勝ちパターンのリリーフとして使えるレベルにあるのは間違いないでしょう。

3(103). リチャード・パラシオス(Richard Palacios):2B:右投左打:5-11/180: Towson University:$475K($544.2K)
兄はTOR傘下のプロスペクトであるジョシュ・パラシオス。出塁能力に長けた小兵。元から三振が少なく四球もそれなりに選べるタイプだったが、大学最終年に三振の数はそのままにその倍ほどの四球を選び注目を集めた。小柄だがパンチ力はあり、シーズン2桁HRも不可能ではないだろう。スピードも平均以上で、盗塁も上手い。大学時代はSSだったが、肩の強さは平凡なため、プロでは2Bに転向。身体能力が高いため、CFを守ることもできるだろう。

成績

故障のため19年シーズンを全休したため、21年時点で実働1年半でしたが実力を証明するには短期間でも十分でした。プロ相手でもアプローチを崩すことなく、高出塁率を維持しつつも三振数は抑えることに成功。どのレベルでも成績を落とすことなく既に40人ロースター入りを果たしています。唯一のネックとなっているのが、ドラフト当時から指摘されていたパワーレスな点ですが現在の成績を維持できるのであればさほど気にする必要がないように思えます。パラシオスがセンターラインを守れていれば。問題なのが、ポジション。IFでは送球の不正確さが指摘されており、2Bさえ失格レベル。CFを守るスペックはあってもスキルはなく、現状LF/DHがメインポジションです。守備が下手なうえに2Bを守れないアダム・フレイジャーを想像してもらうと分かりやすいかと思います。レギュラーとして使うか好みが分かれるところでしょう。


4(133). アダム・スコット(Adam Scott):LHP:左投左打:6-4/220: Wofford:$50K($406.3K)
体格は逞しいが球速は最速でも90マイル前半程度。それでも右打者に有効なチェンジアップ、カッターを球種として持っており、一筋縄では打てない。独特なアングルで投げるデリバリーは、デセプションに優れている。コントロールはよく滅多に四球は出さないが、逆にそれが災いして簡単にストライクを投げ球威がないため一発を食らいやすい。大学時代はほとんど先発として投げていたが、プロではリリーフが中心。チームメイトの車に轢かれ、足を骨折し、その1年後に左肘を故障と苦難の高校時代を送っている。

成績

デビューイヤーのみリリーフとして投げ、その後は再度先発へ転向。19年に100イニング以上なげ、21年は故障があったもののAAAにまで到達しました。いずれのレベルでもまずまずの成績を残していますが、球速の遅さと緩いコマンド、スライダーに次ぐサードピッチ不足が足を引っ張り高い評価を受けるには至っていません。

5(163). スティーブン・クワン(Steven Kwan):OF:左投左打:5-9/175: Oregon State:$185K($303.4K)
出塁能力に長けた小兵。四球の数が非常に多く、かつ、コンタクトスキルの高さで三振を回避できるためBB/Kの値は常に好成績。一方で超が付くほど小柄であることと、コンタクトを意識したスイングであることからパワーは皆無といっていい。自らもそれを認めるかのように、セーフティバントを多用している。スピードは平均以上で、盗塁も上手い。CF守備もカバーできるレンジが広く、肩も強いため評価は高い。将来は代走兼守備固め用の第4のOFだろう。

成績

19年まではコンタクトスキルと優秀なアプローチで打率と出塁率を稼ぐ小兵のイメージのままでしたが、21年に2桁HRをマークしパワーツールでも存在感を発揮し始めました。それまでほとんど上げていなかった足を、大きく上げてよりハードヒットを飛ばせるようにスイングを改造することに成功したようです。とはいえ、メジャーレベルでも2桁HRを打てるかは今も怪しいところで、パワーツールが物足りない点は今まで通りでしょう。パラシオスと違うのはしっかり守れるところで、ポジション探しに苦労することはないでしょう。


6(193). ライネル・デルガド(Raynel Delgado):SS/3B:右投両打:6-2/185: Calvary Christian Academy:$900K($235.6K)
打撃では、バットスピードの速さが光り、パワーポテンシャルは高い。左右どちらの打席でも、ハードコンタクトすることができる。コンタクトスキルは悪くないが慎重なアプローチのためか、四球の数と共に三振の数も多い。SSを守れるスペックは持っているが、不安定さが目立つ。肩の強さは文句なしでSSレベルだが、送球が不安定な点が気になるところ。スピード不足を打球反応の早さで補っているが、将来的には3B/2Bへの転向も考えられる。キューバ出身だが7歳の時にアメリカに移住し、U-18ではアメリカ代表としてプレー。

成績

ハイシーリングなタレントとしてスロットの3倍以上の額で契約、かけられた期待は大きかったのですが、マイナー3シーズンでOPS.800を超えたシーズンは0で21年はOPS.609と苦境に立たされています。プロではハイレベルな変化球に苦しんでいるようで、三振が非常に多くなっています。バットに当たらなければパワーポテンシャルを発揮する術もなく、打撃では現状いいところが見当たりません。守備は既に3B/2Bをメインに守っていますが、こちらの評価がそれほど悪くない点が唯一の救いでしょう。


7(223). コディ・モリス(Cody Morris):RHP:右投右打:6-5/222: South Carolina: South Carolina:$185.6K($185.6K)
最速97マイルの速球と緩いチェンジアップで緩急をつけ大量に三振を奪う。速球はよく沈み、空振りを奪うことができる。チェンジアップのクオリティは高く、打者の左右、カウントを問わずに投げる。カーブも投げることができるが、試合では滅多に使わない。コントロールは悪くないが、コマンドはアバウト。体格も含めて先発としての能力は備わっているが、球種のバリエーションの乏しさがネック。

成績

故障のためデビューが1年遅れた19年となりましたが、自慢の速球とチェンジアップに加え、カーブにも磨きをかけ2シーズンで204個の三振を奪うピッチングを披露。速球は最速で98マイルをマークし、ノビのある4シームはムービングも優秀とスペックの高さを披露し、いよいよ今年メジャーデビューかとも思われましたが肩の故障で60日の方のILに入ることとなりました。高校時代にもトミー・ジョン手術を経験しており、健康な状態を持続させることができていません。フルシーズンスターターとして投げるのが厳しいのであれば、リリーフ転向も現実的な選択肢でしょう。



総括
今年は上位3人を筆頭に、高校生偏重となった。上位10人中6人が大学生だが、契約金の額を見れば誰に期待しているかは一目瞭然。中でも、注目したいのは、イーサン・ハンキンス。肩の故障で評価を大幅に下げたが、健康ならば今ドラフトの高校生No.1投手。移籍がなければDETから全体1位指名を受けた、ケイシー・マイズと共に中地区を盛り上げる投手となるだろう。大学生は高校生の契約金捻出のため、リリーフや控え野手クラスの選手が多く、インパクトに欠けたがその中でもコディ・モリスは別格。先発かリリーフかはまだ、分からないがリリーフで投げさせればセットアッパー/クローザークラス。先発としては不安材料も多いが、面白い素材ではある。投手育成に一家言を持つ球団だけに、後どうなるか目が離せない。

総括(2021)
期待をかけられていた高校生は1巡目のネイラーを始めとして、軒並み故障と不調で期待を裏切ることになっています。故障の投手2人はさておき、試合に出続けて結果が出ていないネイラーはなかなか厳しい状況に立たされています。
一方で、安上がりですませた大学生は現在メジャーで絶好調のクワンを筆頭に、サンドリンやパラシオス、モリスらが躍進。モリス以外はパワーに欠けるタレントが顔を並べるが、その点はやはり安上がりですませたところが出ています。ただ、多少パワーツールに欠けていてもおつりがくるほどの成績を今のところは残せているので問題はないのでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?