3年後...2018MLBドラフトレビューCOL

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
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成績
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1(22). ライアン・ロリソン(Ryan Rolison):LHP:左投右打:6-2/195:Ole Miss:$2.912.3M($2.912.3M)
大学生ながらベテランのような老獪なピッチングを披露する。球速は常時90マイル前半と球威に欠けるが、曲がりの大きなカーブでタイミングを外し、狙いを絞らせない。ソリッドなチェンジアップも投げる。カーブのコントロールは素晴らしく、狙ってストライクゾーンに入れることができるが、その他のコマンドはアバウト。デリバリーはスムーズでデセプションに優れている。シーリングは低くチームを代表するような投手にはなれないが、耐久性に優れた3~4番手となれるだろう。

成績

3シーズンでAAAに到達し、今年中のメジャー昇格はほぼ内定済みですがメジャーで通用するかは微妙なところ。何よりも不安なのは球威不足な点。速球は依然90マイル前後レベルで、ムービングも乏しくクアーズフィールドで投げさせるにはかなり不安です。また、コマンドはアバウトなのになまじストライクゾーンにボールを集めるコントロールを有していることも痛打を食らう原因となっていそうです。長くCOLに留まることがイメージできません。


CBA(42). グラント・ラビーン(Grant Lavigen):1B:右投左打:6-4/220:Bedford HS:$2M($1.704M)
見た目の印象を裏切らないパワーポテンシャルの高さが魅力。スイングは無駄に大きくなく、しっかりとコンタクトすることができるため空振りが少ない。ボールの見極めもよく、四球を多く選ぶことができる。スピードは見た目を裏切り、平均以上とまではいかないが体格の割には動ける。そのためOFとしての起用も考えられるが肩が非常に弱く、OFだとLFしか守れないだろう。盗塁にも積極的だが上手いとはいえない。

成績

初のフルシーズンとなった19年は壁にぶつかりましたが、21年はAでOPS.800以上とようやく実力を発揮しました。ただ、心配なのは自慢のパワーがまだ通用していない点。2シーズン連続で100試合以上出場しましたが、2桁HRはクリアできず。ポジションは1B/DHに限られているため、2桁HRは最低限クリアしてほしいところ。今でもポテンシャルの高さは感じられるので、今年こそブレークイヤーにしてほしいです。


2C(76). ミッチェル・キルケニー(Mitchell Kilkenny):RHP:右投右打:6-4/206:Texas A&M:$550K($787.2K)
90マイル前半の速球とチェンジアップ、スライダー、カーブ、カッターのコンビネーション。速球は最速で96マイルをマークすることもあり、球威は十分。特筆すべきボールはないと言われていたが、スライダー、チェンジアップのクオリティは向上著しく、多彩な球種を活かすピッチングに期待できる。大学最終年にリリーフから先発へ転向。もともとコントロールはよく、体格も先発向きのためスムーズに対応していた。デリバリーはデセプションに優れたスリークォーター。契約直後にトミー・ジョン手術を行い、今シーズンはマイナーで登板なし。

成績

19年シーズンにプロデビューを果たし、21年には100イニング以上をクリアしました。ただ、大学時代の最速である90マイル中盤のスピードは戻っておらず、90マイル前後に留まっているようです。コントロールに問題はないだけに、球速が戻ればと思わずにはいられません。

3(96). テリン・バブラ(Terrin Vavra):SS:右投左打:6-1/185:Minnesota:$550K($581.9K)
父親がMLBのコーチ経験者で、2人の兄もドラフト指名を受けた野球一家の一員。父親に連れ立ってメジャーリガーの打撃を近くで見ていたからなのか、ヒッティングスキルは非常に高い。小さく足を上げてタイミングを取り、低めの変化球を簡単にセンターに弾き飛ばすこともできる。小柄だがパワーレスというわけではなく、長打をコンスタントに打つパンチ力もある。アプローチも素晴らしく、四球を多く三振を少なくすることができる。野球IQの高さとスピードを併せ持ち、塁上でも投手を脅かす。一方でSS守備の評価は芳しくなく、ミスの少ないソリッドさはあるが、レンジ、肩の強さは2B向き。

成績

プロ入り後も大学時代の延長のような成績を残し続けています。19年にはAでリーグMVPを獲得する活躍を見せました。最大の特徴は何といっても優秀なアプローチ。どのレベルでもBB/Kの数字は優秀で常に高い出塁率をマークしています。四球を意識しすぎて三振が増えるということもない。フィールド全体を使った打撃というのはまさしくバブラのことで、19年には全てのプルサイド、センター方向、逆サイ全てに30%以上ずつ打球を打ち分ける離れ業をやってのけました。21年は故障でプレータイムが限られていましたが、今年中のメジャー昇格も十分あり得るでしょう。マイカル・ギブンズとのトレードで放出してしまったことが悔やまれれます。


4(126). ライアン・フェルトナー(Ryan Feltner):RHP:右投右打:6-4/190:Ohio State:$434.7K($434.7K)
最速98マイルをマークする速球が最大の魅力。アウトピッチは、スライダー。相手打者のバランスを崩し、空振りを奪うことができる。チェンジアップも改善の一途をたどり、左打者に対して有効なボールである。カーブはカウント球としては役に立つ。デリバリーが不安定で、その影響かコントロールも定まらない場面が多く四球が多い。大学最終年にリリーフから先発へと転向していたが、リリーフで短いイニングを全力で投げるほうが合っているだろう。

成績

当時の予想に反してプロでもスターターとして投げ続けています。大学時代に比べると若干力感が抜けてコントロールも改善されているようです。ただ、コマンドはアバウトなところがあり、メジャーレベルでもスターターとして通用するかは微妙なところです。速球は94-5マイルを連発していた大学時代と比べると若干スピードが落ちているので、その分コントロールをとったということなのでしょう。やはり、ハイクオリティなスライダーと速球の2ピッチでリリーフに回した方が貢献度が高くなりそうな選手ですが、今後の起用法はどうなるのでしょうか。


5(156). ジェイコブ・バード(Jacob Bird):RHP:右投右打:6-3/200:UCLA:$50K($323.8K)
沈む速球とカッターをストライクゾーンに集め、弱いゴロを打たせることを心がけているグラウンドボーラー。速球は90マイル前半程度。速球系以外にも、スライダー、カーブ、チェンジアップといったブレーキングボールも投げ、クオリティも低くない。コマンドに優れており、特に速球系のボールを左右内外に絶妙に散らすことができる。大学最終年は登板は先発としてのみだったが、プロではリリーフに専念。体重移動が激しいデリバリーなので、長いイニングよりも短いイニング向きだろう。

成績

プロで大学時代のスターターの経験を活かして複数イニングを投げるリリーフとして大車輪の活躍。19年は40登板で97イニングを消化する鉄腕ぶりを発揮。21年もAA-AAAで58.2イニングを投げておりフルシーズンを投げ切る体力があることは証明済。グラウンドボーラーの名に恥じず全てのレベルでGB%は60%以上をマーク。フライボールレボリューション最盛期の中でのこのGB%の高さは立派なものです。今年中のメジャー昇格は間違いないでしょう。クアーズでもグラウンドボーラーっぷりを発揮すれば、リリーフの一角として機能するかもしれません。


6(186). ニコ・デコラッティ(Niko Decolati):OF:右投右打:6-1/215: Loyola Marymount University:$249.6K($249.6K)
粗さが目立つハイシーリングなタレント。打席では強烈なバットスピードを見せ、バットにボールが当たれば鋭い打球を飛ばすが、なかなかバットにボールが当たらない。そのため三振が非常に多く、試合数と同じかそれ以上の三振数をマークする。大学ではSSを守っていたが凡ミスが多く、3B/OFとポジションを転々としている。身体能力が高くスピードがあり、肩も強いため、どこでも守れるポテンシャルはある。走塁にも積極的だが、盗塁はそれほど上手くない。走攻守全てにおいてどれだけ洗練することができるかがカギとなるだろう。

成績

21年はキャリア初となる100試合以上の出場をクリアしましたが、成績は平凡。スイングは大学時代に比べると安定感は増しましたが、GB%が異様に高く自慢のパワーが満足に発揮できずにいます。ポジションはプロ入り後一度もIFを守らずと攻守ともに厳しい状況です。


7(216). アンドリュー・クェザダ(Andrew Quezada):RHP:右投左打:6-1/182: Cal State Fullerton:$175K($195.7K)
90マイル前半の速球と、スライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球のコマンドに優れており、狙ったコースへと投げることができる。力感のないデリバリーは出力よりもコントロールを重視したもので、四球を出すことは少ない。アウトピッチはチェンジアップ。このボールで速球と緩急をつけて打者のタイミングを外す。ストライクゾーンにボールを集め、早めに打ち取るピッチングスタイルのため三振は少ない。無駄なボールを投げないため、長いイニングを投げることができる。ローテーション4~5番手、もしくは、スイングマンとしての活躍が期待できるだろう。

成績

プロ入り後通算でまだ20試合未満の登板数とプレー機会に恵まれておらず、当然情報も少なく特に書くことがありません。


8(246). ニック・ブッシュ(Nick Bush):LHP:左投左打:5-11/173:LSU:$200K($160.7K)
90マイル前半の速球と、ソリッドなスライダーのコンビネーション。これといって特筆すべき、武器があるわけではなく、コントロールもまずまず。大学時代は、主にリリーフとして投げていたが、大学最終年のシーズン終了前に、先発に転向。適正を見せたが、小柄な体格なため、1年を通して投げ切れる耐久性があるかという点には疑問が残る。将来は、シチュエーショナルレフティーに落ち着くのではないだろうか。

成績

意外にもプロでも先発として通用しているようで、既にAAに到達。19年は130イニング以上投げ、フルシーズン投げ切れる体力があることを証明しています。球速が上がったというような話はなく、90マイルに満たないこともある球速でメジャーでも通用するかは微妙なところです。


9(276). ウィリー・マシバー(Willie MacIver):C:右投右打:6-2/205: Washington:$145.9K($145.9K)
大学最終年にスランプに陥り、評価を大幅に下げてしまった。パワーポテンシャルの高さが魅力だが、そもそもバットに当たらず、HRどころか二塁打さえ打てず三振の山を築いていた。守備では、肩の強さを活かした盗塁阻止の上手さがウリ。ブロッキング、キャッチングなどはミスが少なく、ソリッドなタイプ。身体能力が高く、Cとしてはスピードがある。そのため、C以外にも3B/OFを守ることができる。低調だった打撃のバウンスバックに期待したい。

成績

プロでは大学時代のスランプを引きずらず、Cとしてはまずまずの打撃成績を残し続けています。3B/OFへと転向することもなく、Cとしての出場をメインにし続けている点は評価されるべきでしょう。2シーズン連続で100試合以上に出場しており、耐久性も証明済。レギュラークラスとはいかなくとも、バックアップとしてなら戦力になるかもしれません。



総括(2018)
グラント・ラビーンを除くと契約に至ったのは全て大学生であり、極めて大学生偏重のドラフトとなった。1巡目のライアン・ロリソン指名は、今年のドラフトが豊作だったことを考えると少し物寂しいが、メジャー昇格までは確実に計算できる投手なので失敗だったというほどではないだろう。シーリングの高さでいえば、ブレークが期待されていたミッチェル・キルケニーのトミー・ジョン手術が悔やまれる。野手ではラビーンに注目したい。体格はすでにプロ並み。将来のクリーンアップ候補だ。野手は全体として守備軽視な傾向にあったが、その分打撃、特にパワーポテンシャルに高評価を得るタレントが多く、メジャーにたどり着ける選手が何人いるかは不安だが、夢のあるラインナップとなった。

総括(2022)
ロリソンは当時の予想通り、大きく跳ねることはなくともとりあえずメジャーには到達できそうな選手になりました。ただ、球威不足な点や緩いコマンドなど気がかりなところは多く、戦力として計算できるかは微妙なところです。一方で、下位指名だったフェルトナーやバードはリリーフとしてならメジャーでも戦力になりそうです。
野手ではバブラが一番の出世頭となり、レギュラークラスの野手プロスペクトとして期待がかかります。惜しむらくはマイカル・ギブンズ1人のために放出してしまったことでしょう。逃した魚は大きいように思えます。唯一の高校生となったラビーンですが、長打は出ても打率が上がらないという形での伸び悩みは有り得ると思っていましたが、まさか長打が出ない形で伸び悩んでるとは予想外でした。しかし、考え方を変えればヒッティングである程度通用しているので、持ち前のパワーポテンシャルさえ発揮できればブレークも見えてくるでしょう。


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