3年後...2018MLBドラフトレビューCIN

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
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成績
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1(5). ジョナサン・インディア(Jonathan India):3B:右投右打:6-1/200:Florida:$5.297.5M($5.946.4M)
かねてから身体能力の高さを買われ注目さていたが、大学最終年にブレーク。少し足をあげてタイミングを取るスイングが特徴。コンタクトスキルとパワーツールを兼ね備え、アベレージを残しつつ長打を量産することが可能。アプローチも改善され、三振と同じ数ほどの四球を選ぶことができる。大学時代はSSを守ることもあったが、より評価の高い3Bに専念する方が無難だろう。肩も強く、3Bでなら将来のGG賞候補である。スピードは平凡だが、相手の隙を見て積極的に次の塁を狙う。

成績

マイナーで2年間ソリッドな成績を残した後、今年は開幕からレギュラー2Bとして出場を続け、新人王筆頭候補になるまで活躍しました。BB%の高さは大学時代から変わらず高出塁率とパンチ力を武器にした打撃をメジャーレベルでも再現できています。三振は増えましたが許容範囲でしょう。守備ではそれほど上手くないスアレスにポジションを譲る形で2Bに移りましたが、まずまずの成績。DRSは±0ですが、OAAは大きくマイナスと指標によって大きく評価が分かれています。現時点では全体4位指名の期待に応える活躍をしています。


2(42). ライオン・リチャードソン(Lyon Richardson):RHP:右投両打:6-2/175: Jensen Beach HS:$1.997.5M($1.520.3M)
野手として注目を集めていたが、肩の強さと身体能力の高さを活かして投手に転向。すると速球は最速で97マイルをマークし、一躍注目の的となった。投手転向して間もないということもあって、変化球のクオリティはイマイチ。それでもスライダー、チェンジアップといったブレーキングボールは向上の一途をたどっており、高い奪三振能力を持っている。コントロールが悪く、ストライクゾーンにボールが集まらないため四球が多い。デリバリーの力感の強さも気になるところ。野手としても評価も悪くなかったため、野手再転向も場合によっては有り得る。

成績

1年ごとにクラスを1つ上げており、今年はA+に到達。20先発以上+100イニング以上を達成した19年からはスタッツとしては後退しましたが、プロ入り後最速でも92マイル程度だった球速をアマチュア時代の水準に戻すことに成功したようです。その分、コントロールの悪化を招き防御率等々も悪化したようです。タイプとしては遅い速球をコーナーの隅に投げ分けるタイプのPではないため、いかに球速を維持しつつ多少アバウトでもコントロールをつけるかが今後の課題となるでしょう。焦らず今後も1年ごとに1つクラスを上げるくらいのスピード感でいいように感じます


CBB(72). ジョシア・グレイ(Josiah Gray):RHP:右投右打:6-1/190: Le Moyne College:$772.5K($837.7K)
17年はSS兼クローザーとして活躍していたが、大学最終年に投手に専念し先発に転向。最速96マイルの沈む速球が最大の武器。この速球を果敢にストライクゾーンに投げ込むピッチングスタイル。コマンドは発展途上。身体能力の高さから、コマンドもいずれ追い付くと見る向きが多い。アウトピッチはスライダー。まだ、向上の余地はあるが低めを意識して投げられており、空振りを奪うには十分。チェンジアップはイマイチ。先発転向1年目ながらも、長いイニングを投げる心構えができている点は高評価。

成績

指名後は一度もマイナーでつまずくことなく、トレードを経てLADでメジャーデビュー。デビュー後すぐに、マックス・シャーザーとトレイ・ターナーというビッグネーム2人との交換でWSHへ移籍とエリート街道を突き進みましたが、メジャーでは足踏み状態が続いています。メジャーとマイナーでの最大の違いはHRの多さ。3年間のマイナーでのピッチングでたった7HRだったのに対し、まだ半年ほどのメジャーでは既に19HRを食らっておりその差は明らか。速球の軌道がフラットになることが多く、なまじコントロールがいいためゾーン内にその速球を集めてしまうことから手痛い一発を食らうことが多いようです。4シームのノビがいい時は問題ないのですが、そうでない時が多いようなので、一度ピッチングの内容を見直してみてもいいかもしれません。


3(82). ブレン・スピレイン(Brenn Spillane):OF:右投右打:6-4/210: University of Illinois:$597.5K($716K)
巨体が映える豪快なフォロースルーが特徴のスイング。パワーポテンシャルだけなら、今ドラフトの大学生の中でもトップクラス。HRの方向は左右を問わず、どこにでも強烈な打球を飛ばすことができる。その代償として三振が多く、プロのピッチングにどれほど対応できるかは不安が残る。体格の割に動きは機敏で、OF守備もそつなくこなすことができる。肩の強さも悪くなく、RFとしてなら上手い部類に入るだろう。

成績

ドラフト後、故障なく過ごせたのが初年度のみで19年と今年はIL入りとなりまともにプレーできず。また、プレー機会を与えられてもアマチュア時代から心配されていた空振りの多さがたたってまともな打撃成績を残せずという悪循環に陥っています。今年はわずか12試合のみの出場で4安打のみと非常に寂しい結果に。早くも3年目にしてキャリアの岐路に立たされています。


4(109). マイク・シアニ(Mike Siani):OF:左投左打:6-1/180: William Penn Charter School:$2M($512.8K)
守備の評価は非常に高く、国際大会で2度GG賞に輝いている。スピードを活かし広いレンジをカバーすることができ、その他飛び込むタイミング等CF守備に必要なものはすでに兼ね備えている。投手としてマウンドに上がるほど肩が強く、さらに送球も正確なためランナーを刺す場面が多々見られるだろう。OF守備では大学生を含め、今ドラフト1と言っても過言ではない。打撃では速球の対応に苦しみ、パワーポテンシャルに欠け守備ほど期待はできない。足を活かそうとした、出塁重視のアプローチは評価できる。

成績

$1M以上の大幅なオーバースロット契約を引っさげ鳴り物入りでのプロ入りとなりましたが、今のところ最大瞬間風速はドラフト指名時という結果になっています。守備では相変わらずスーパープレーを連発しているようですが、いかんせん打撃で結果を残せていません。アマチュア時代のレポートにもあるように出塁を心がけている節は感じられますが、そもそも打率が低すぎるため焼石に水状態です。長打を増やそうとしたためにバットに当たらなくなったということなら納得もできるのですが、そういうわけでもなくただただ力不足という状態のようです。それでも打撃以外は一級品であることには間違いなく、とりあえずはセールスポイントを前に出してそこからメジャーへの道を切り開いていけるのではないでしょうか。


5(139). ライアン・キャンベル(Ryan Campbell):RHP:右投右打:6-3/220: University of Illinois at Chicago:$75K($382.9K)
大学最終年に先発に転向したものの、プロではリリーフに再転向。先発として投げるとストライクに投げることを第一に投げるため、速球の球速が落ち奪三振も少なくなる。しかし、リリーフとして投げると一転速球は90マイル中盤をマークし奪三振も増え、持ち前のコントロールのよさと合わせると支配的なピッチングも可能となる。スライダーも投げるが、それほど評価は高くない。先発経験もあることから、回跨ぎも可能なスイングマンとしての活躍が見込まれる。

成績

プロ入り後リリーフとしてまずまずの成績を残していましたが、19年の途中から故障に悩まされています。今年もフルシーズンIL入りのままとなり、登板機会はありませんでした。


6(169). ヨミル・メイソネット(Yomil Maysonet):RHP:右投右打:6-1/180: PJ Education School:$250K($287.7K)
プエルトリコ出身。速球は常時90マイル前半、最速で95マイルをマーク。打者の手元で沈むため、低めに決まると詰まったゴロを打たせることができる。アウトピッチはスライダーで、改善されてはいるがまだまだ発展途上。空振りを奪える球種だが、コントロールミスが多い。チェンジアップも投げるが、スライダーよりもクオリティが落ちる。デリバリーに力感が少なく、洗練されれば先発として投げ続けることもできるだろう。

成績

19年にシーズン全休となる故障をし、今年復帰。長くても4イニング程度という慎重なリハビリとなりました。今年は四球が多くまともにピッチングができませんでしたが、故障のことを考えると実質プロ1年目とも言えるので今後の活躍に期待したいところです。


7(199). ジェイ・スカイラー(Jay Schuyler):C:右投右打:6-1/190: University of San Diego:$207.5K($224.2K)
全てにおいて、可もなく不可もなくといった選手。打撃ではパワーポテンシャルにまずまずの評価を得ているが、特筆すべきものではない。アプローチは優れており三振が少なく、かつ、四球を選ぶことができる。C守備は粗さが目立つが肩は強く、盗塁阻止率は高い数字を残せている。スピードはCとしては優秀で積極的に盗塁も仕掛けるが、失敗が多いため盗塁は控えるべきだろう。OF/1Bもそつなくこなすことができ、CとしてよりもCも守れるユーティリティーとして活路を見出すべきだろう。

成績

プロ入り後、いずれのレベルでもシーズンのOPSが.700を上回ったことはありませんが、それでも今年はAAAに到達。四球を多く選ぶソリッドなアプローチとC/1B/OFを守れる汎用性の高さはベンチプレイヤー、あるいは誰かの休養日のための穴埋めとして使い勝手がいいのか打撃成績がイマイチでトッププロスペクトでもないにも関わらず順調にマイナーを駆けあがってきました。とはいえ、今年はAAで苦戦しておりついにユーティリティーなだけでは通用しなくなってきたようです。


8(229). マット・パイディッチ(Matt Pidich):RHP:右投右打: Pittsburgh:6-2/220:$75K($177.7K)
16年にトミー・ジョン手術を受けて全休していた。最大の魅力は速球のムービング。最速でも90マイル前半程度だが、速球に分類していいのかと疑うほどの動きを見せ、空振りも用意に奪うことができる。チェンジアップの評価も高く、速球とのコンビネーションで、ニングとほぼ同じ数の三振を奪う。速球はカッター気味にも動かすことができる。コントロールも悪くなく、速球のコマンドも優秀。大学最終年に完全に先発に転向したが、プロではリリーフに専念している。

成績

プロ入り後のリリーフ転向は現在も続いているようです。19年にはAで好成績を収め、今年はスプリングトレーニング中でメジャーリーガー相手にも投げておりいい出だしでしたが、AAでは打ち込まれることが多かったようです。それでもAAAには昇格しており、割と期待はされているようです。結果自体は伴わなかったものの、内容は悲観するほどではなくイニング以上の三振を取って四球もそれほど出していないのであとはハイレベルなクラスでの経験が必要なだけだと思います。個人的にはアマチュア時代からグネグネとしたムービングの速球が好きなので、頑張ってほしいと思っています。


9(259). アンドリュー・マクドナルド(Andrew McDonald):RHP:右投右打: Virginia Tech:6-6/225:$75K($152.6K)
最速95マイルの速球とスライダーのコンビネーションで大量に三振を奪うリリーフプロスペクト。17年まで先発として投げていたがコントロールが悪く、長い回が投げらないため大学最終年にリリーフに完全に転向。コントロールは改善されなかったが、先発よりも好成績を収めるようになった。1度留年しているため、同学年の選手よりも1歳年上。

成績

プロ入り後やはりコントロールの悪さがネックとなって苦戦し、それに故障も重なり20年にあえなくリリースされてしまいました。


+1
14(409). マイケル・バーン(Michael Byrne):RHP:右投右打:6-3/205:Florida:$257.5K
名門、フロリダ大学でクローザーを務めていたリリーフプロスペクト。17年は大学のシーズン最多セーブを塗り替え、大学最終年には大学野球記者連盟による最優秀中継賞を受賞した。剛速球でねじ伏せるというピッチングスタイルではなく、90マイル前半の速球、チェンジアップ、スライダーをコースに投げ分け打者を惑わせるピッチングスタイル。コマンドが素晴らしく、ブレーキングボールの扱いにも長けている。力感のないデリバリーで、故障のリスクは少なそう。ドラフト時はプロ入り後の先発を希望していたが、結局プロ入り後もリリーフとして投げている。

成績

プロデビューがA+からと低い指名順位の割には期待値が高かったようで、デビューイヤーはその期待に応えました。19年は足踏み状態でしたが、今年はついにAAAまで到達し、防御率も3点台前半とまずまずの内容でメジャーまでもう一歩といったところです。気になるのは三振の少なさと四球の多さ。三振が増え続けている現代野球において、打たせて取るピッチングスタイルを貫く絶滅危惧種となっています。アマチュア時代は遅い速球でも三振を取れていたようですが、プロでは通用せずといったところでしょうか。それでも、大崩れすることなくここまでのレベルに到達したのはさすがは元名門大学のクローザーといったところでしょうか。


総括(2018)
この3年間常に上位5位以内に指名権を持ち、1巡目は外れのない選手を指名し続けており、今回も同様の指名となった。ジョナサン・インディアはニック・センゼルとタイプが丸被りで、大学最終年にブレークしたところも瓜二つ。インディアの方がヒッティングで劣るかもしれないが、パワーと守備はセンゼルよりも上かもしれない。経験が浅く身体能力の高いピッチングプロスペクトを好んで指名し、今ドラフトでもCBBと2巡目で指名。過去にそれほど成功例があるわけでもないのに身体能力にほれ込んで特攻する姿勢は、ある意味一貫性を感じる。4巡目でマイク・シアニを指名できたのは契約金の額から察するに、スチールではなく密約があったと見るべきだろう。その後の指名で契約金をケチることになったが、その分の価値はあるだろう。


総括(2021)
 1巡目のインディアは目論見通り早くメジャーデビューにまでこぎつけ、ソリッドな成績を残す選手となりました。18年当時にタイプが被るとコメントしたセンゼルを上回る活躍を見せたのは予想外でした。
 投手転向間もない2人のPについては、グレイについてはメジャーデビュー後苦戦中、リチャードソンはようやく球速が戻ってきたところとまだまだどう転ぶか分かりません。ただ、グレイについてはトレードチップになったという点では成功でした。トレード自体が成功したかは知りませんが。
 当時は太鼓判を押していたシアニですが、打撃でプロの高い壁に阻まれており$1Mのオーバースロットの期待には応えられていません。しかし、今年のAFLでは好成績を残しており来年以降の巻き返しに期待がかかります。シアニに関しては平均かそれより少し劣るくらいのレベルでも打てればその他のツールでプラスをたたき出せると思うので、あともうひと踏ん張りといったところでしょう。
 その他の選手に関しては下位指名はこんなものだろうといった内容。お気に入りのパイディッチのメジャー昇格を楽しみにしています。


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