【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューMIN編


目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(13).ケオニ・カバコ(Keoni Cavaco):3B:右投右打:6/185:Eastlake HS:$4.05M($4.2M)
体格は特別大きくはないが、秘めたるパワーポテンシャルは非常に高い。バットスピードが速く、速球のスピードが上がっても対応できるだろう。高めの4シームに手が出る場面が多い点は要改善。ポジションを転々としていたが、肩の強さを活かせる3Bが適任だろう。フットワークも軽く、平均以上に守れる可能性も。

成績

 プロデビューイヤーからスランプに陥ると、以降2シーズン大きなバウンスバックもなく経過しました。最大の問題は雑なアプローチ。BB/Kはデビューイヤーから順に4/35、19/92、22/138と散々。BB%は7%~5%ほどにもかかわらずK%は30%越えとプロの投手相手に全く対応できていません。
 ドラフト当時からベストツールだったパワーもキャリアハイのHR数が11とこれまで目立った数字を残せていません。
 ポジションも既に3Bに移っており、より打撃に求められるものが大きくなっていますがAですらまともに打てていない現状では先行きは暗いでしょう。


CBA(39).マット・ウォルナー(Matt Wallner):右投/左打:6-5/220:CF:Southern Mississippi:$1.8M($1.91M)
大学1年目から長打力を見せつているスラッガー。大きなスイングは穴も多く、それに伴い三振も多い。ボールの見極めは悪くなく、四球は多い。現在はCFとRFの守備機会が半々だが、体格肩の強さを考えるとプロではRFが主戦場となるだろう。大学ではクローザーを務め、マウンドでは90マイル後半の速球を投げることもできる。

成績

 デビューイヤーからかなりの三振数をマークしていましたが、持ち前のパワーツールを発揮し続けることに成功しています。昨年は主にA+でプレーして15HRをマーク。有鈎骨の骨折でシーズンアウトし完治して今後の打撃に悪影響を及ぼすのではないかと心配されていましたが、復帰したその年のAFLも今年も変わらず長打を打ち続けました。特に今年はAA-AAAで主にプレーして27HR&32二塁打をマークし、ISOも.265と高水準でした。メジャー昇格も果たし2HRを放ち、来年はメジャー定着を目指す年になりそうです。
 心配されていた空振りの多さはプロでもそのままですが、キャリアを積んでいくごとにピッチセレクションが成熟してきたのかBB%が向上しています。今年はマイナーとメジャーで合わせて100四球以上を選んでおり、たとえ低打率に陥っても最低限の出塁率は残せるでしょう。
 守備では予想通りRFをメインとしているようです。

3(90).スペンサー・スティア(Spencer Steer):SS:右投右打:5-11/185:Oregon:$575K($657.6K)
大学最終年でブレークを果たし、3巡目指名をゲット。力感の少ないスイングはコンタクトスキルに優れる。打撃成績が上昇する前からボールを選ぶタイプで出塁率は高い。安打数が増えたが長打数は横ばいとなっており、パワーツールは頭打ちか。本職はSSだが3Bもこなせる。フェンスを恐れないガッツのあるプレーで評価を得ている。LAAの本拠地から車で20分ほどの場所に実家がある。

成績

 ドラフトイヤーに打撃で成長を見せたものの長打数は増えておらず、パワーツールはこれ以上伸びないだろうと予測したのですがところがどっこいとんだ見当違いでした。
 昨年キャリア初となるフルシーズンを過ごすとA+-AAで24HRをマーク。今年はAA-AAAで23HRとパワーレスなコンタクトヒッターというイメージを完全に払拭しました。大学時代よりも大きく足を上げてタイミングを取っており、コンタクトよりもハードヒットを飛ばせる方向へとスイングを変えたようです。このようなコンタクト→パワーといったモデルチェンジはえてして三振数が増えるものなのですが、スティアの場合は昨年こそ少しK%が上昇したくらいで平均よりも低い数字で推移しています。相変わらず四球も多く、プロ入り後の3シーズンBB%10%以上、K%25%以下を途切れることなく続けています。
 シーズン途中にタイラー・メイルとのトレードでCIN入りするとメジャーデビューも果たしました。現在CINにはIFに確固たるレギュラーが不在なため大きな補強がない限り来年も出場機会は多くなるでしょう。

7(209).アンソニー・プラト(Anthony Prato):SS:右投右打:5-10/186:Connecticut:$274.8K($214.9K)
典型的な小柄なコンタクトヒッターSS。バットに当てるだけなら、当代きっての名手で三振は非常に少ない。それでも四球を多く選ぶことができている点は高評価。パワーツールは皆無で、長打には期待できないだろう。守備ではアグレッシブに球場を駆け回り広範囲をカバー。スピードはあるが、盗塁は上手くない。チームメイトによく声をかけ、大学時代はもう1人のコーチのようだとも。

成績

 今年はプロ入り後初となるフルシーズンとなりましたが、キャリアハイの数字をマークすることに成功しました。昨年から変わったのが長打数。昨年までは通算で94試合に出場して2HR&13二塁打&1三塁打でしたが、今年は132試合に出場して10HR&30二塁打&8三塁打と大幅に増加しました。大学時代よりもスイングがはるかに安定しており、加えて昨年まで高かったGB%を抑えることにも成功したことが要因のようです。
 A+では三振数が増えてK%が28%以上と元々のコンタクトスキルを考えると信じがたい数字になりましたが、AA昇格後は20%以下に成功しており長打を狙いつつアベレージも残す形を習得しつつあるようです。
 これで大学時代のままSSであればバリューもうなぎ上りだったのですが、現在は主戦場をLFに移しております。広いレンジを守れるスピードはあるので、平均以上には守れますがLFでこの打力では少し物足りないと捉えられてもしかたないでしょう。


15(449).ルイ・バーランド(Louie Varland):RHP:右投左打:6-1/205:Concordia University:$115K
90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で95マイルをマーク。この速球をストライクゾーンに果敢に投げ込み、有利なカウントを作るピッチングスタイル。コントロールがよく、ストライクゾーンで勝負することができる。変化球のクオリティが平凡な点は要改善。兄はOAK傘下プロスペクトのガス・バーランド。顔、投打、身長/体重、出身大学、球速、持ち球のレパートリー、ピッチングスタイルがほぼ全て兄と同じであり、まるで生き写し。

成績

 プロ入り後の3シーズンで一度も大きくつまずくことなくメジャーにまで到達しており、指名順位を考えると大きな掘り出し物となりました。
 プロ入り後デリバリーを投げ下ろす形からボールを突き出すような形へと変更し、これが功を奏しました。かつて最速だった95マイルも今では平均球速となり、最速で98マイルをマークするようになりました。また、アームアングルを下げることで4シームのムービングがよりノビるようになり球速だけでなくクオリティも上げることに成功しています。
 球速上昇を引き換えにコントロールを乱したり、大きな故障に見舞われる投手は数多くいますが、バーランドはいずれにも当てはまりませんでした。3試合に終わったプロデビューイヤーを除けばBB/9が3を上回った年はなく、プロ入り後IL入りは0回&2年連続100イニング以上クリアと上記の心配もどこ吹く風。
 メジャーでも5試合に投げて大きく崩れた試合はなく、来年はローテーション定着が期待されます。


総括
 1巡目のケオニ・カバコはこれまで振り返ってきた1巡目指名選手の中でも最大級の大コケ。SFのハンター・ビショップはまだ故障と言い訳する余地がありますが、特に大きな故障もないためシンプルに実力不足が浮き彫りとなっています。
 一方でカバコ以降の指名選手は大きく成績を伸ばしている選手が多数。元々パワーツールに高評価を得ていたマット・ウォルナーはもちろんのこと、スペンサー・スティアやアンソニー・プラトといったコンタクトヒッターの長打数を増やすことに成功している点はMINの野手育成能力の高さに驚嘆するばかりです。
 投手では15巡目指名のルイ・バーランドが躍動。既に兄を実力・成績ともに上回っており、エースとまでは言わないものの十分ローテーションを回していく1人になりそうです。

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