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アジアのバレーボール人気について

前回V.LEAGUEが新たにS-V.LEAGUEに変化していくことを中心に、世界のバレーボールリーグのレギュレーションについてお伝えしました。S-V.LEAGUEのレギュレーションの中にはアジア提携国の選手に対するオンザコートルールが設定されています。タイや韓国をはじめとするアジアのマーケットにS-V.LEAGUEとして切り込んでいくという意思表示だと思いますが、そもそもアジアにおけるバレーボール人気はどのような状況なのか、調べて行きたいと思います。


日本とアジアのバレーボール界の現在の関係性について

2023年12月に一般社団法人日本バレーボールリーグ機構はS-V.LEAGUEに関する進捗について記者会見を行いました。

その発表資料には外国人選手の取扱として下記のように記載されていました。

-アジア枠(継続)
• 対象国:インドネシア、韓国、タイ、チャイニーズタイペイ、フィリピン、ベトナム
※現対象国:ASEAN加盟10カ国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)
(男子のみ+中国、韓国、チャイニーズタイペイ)
• 従来の外国籍選手枠に加えて別に1枠設けられた選手枠。

-アジア提携国枠(新設)
• 対象国:交渉中
• アジア枠に加え、アジア枠に採用された上記国・地域の中で、協会(リーグ)と契約を締結できた国・地域の 出身選手については日本人と同等の扱いで出場可能とする。(アジア枠対象国については提携国となることを目指す)

一般社団法人ジャパンバレーボールリーグ 第19期第7回理事会後 メディアレク

一見、アジア枠が削減されているように見えますが、現対象国、その他まだ対象ではない国はアジア提携国枠として締結することで、結果としてアジアの選手が試合に出る機会を増やそうとする設計となっています。

また、この発表以前には、タイのTrue IDとV.LEAGUEが提携し、一部の試合を放映していくことも発表されました。

パナソニックパンサーズは、サントリーサンバーズ、ウルフドッグス名古屋と共にフィリピンで親善試合を行いました。開催に至った理由は、ネーションズリーグのフィリピン開催での熱気の高さ、パナソニックパンサーズのSNSフォロワー7.6万人の内、1万人が東南アジアのユーザー、この2点とのことです。集客は6,000人を超え、大盛況となりました。

このように、リーグ、チーム共にアジアへ進出していく動きを既に始めており、バレーボール界としてアジアでの人気拡大の可能性を感じているということが伺えます。

ผลการแข่งขันวอลเลย์บอล Japan Volleyball Asia Tour in Thailand 2023 รอบ Final Match รอบชิงชนะเลิศ ผลการแข่งขัน ทีม...

Posted by Japan Volleyball Asia Tour in Thailand 2023 on Sunday, October 1, 2023


アジア人気のきっかけはあの漫画!?

バレーボールの競技レベルにおいて、日本はアジアの中で男女共にリードしています。世界ランキングは2023年10月時点で、男子が全体4位でアジア1位、女子は全体9位でアジア2位と、他のアジアの国々を牽引する立ち位置です。プロリーグとしては韓国、フィリピン、中国、日本等、各国にリーグが存在しますが、リーグ全体で1チームが数十試合、年間で戦うようなレギュレーションのリーグは限られています。

フィリピンのプレミアバレーボールリーグは、総当りでリーグ戦を行ったのちにプレーオフを開催して優勝を決定するレギュレーションです。このようにトーナメント重視のレギュレーションとなっていますが、決勝戦2戦目では24,459人の観客が来場するほどの盛り上がりを見せています。

タイやフィリピンでは前述の通り、日本の選手は人気で、特に男子の高橋選手などは、ネーションズリーグ2023終了後に帰国する際に警備員がつくほどの人気が出ました。フィリピンやタイでの試合では多くの観客が来場し、特に日本選手のファンが多くいるという報道もありました。

また、記事にも書かれていますが、アジアでバレーボールが人気になったきっかけの1つは、日本の少年漫画「ハイキュー!!」がアジアに進出したことだともいわれています。
2014年に韓国でアニメが放送され、その後台湾、タイ、フィリピン等でも放送が開始されており、アニメ放送とともに各国での人気が高まりました。
韓国代表選手でエースでもあるキム・ヨンギョン選手も自身のYouTubeで取り上げ、多くの反響を呼んでいました。


S-V.LEAGUEのライバルリーグとなりえる、韓国Vリーグの盛り上がりとは?

世界ランキングでアジア各国をリードする日本代表ですが、リーグのライバルとしては韓国のVリーグがあげられます。漫画の影響もあって盛り上がりを見せており、日本と同じVリーグという名称でもある、韓国リーグと比較してみます。

韓国にはVリーグという名称で男女ともにプロリーグがあります。試合数は日本よりもチーム当たり10試合ほど多く、1チームあたり44試合となっています。


図=筆者作成(引用:韓国Vリーグ、日本Vリーグ公式サイト)

韓国Vリーグの男女合計来場者数は増加しており、コロナ前では最多の約53万人が来場しています。特に14-15シーズンの来場者は前年比約23%増と、直近10年ではコロナ期間を除いて最も高い増加率になっています。これはもしかすると前述の通りハイキューの放映開始がきっかけかもしれません。また、東京五輪で女子代表がベスト4に入ったことが影響したのか、コロナ禍の影響を受けなくなった22-23シーズンには18-19シーズンに迫る来場者数となりました。

リーグ戦の視聴率については、記事によると、男子リーグは年々減少しているものの、女子リーグは微増しており、韓国バレーボール界は女子リーグの方が人気が高いようです。
(日本は男子リーグの方が近年は来場者が多い状況)

まとめ

S-VLEAGUEは世界最高峰、そしてアジアを牽引するリーグを目指していますが、韓国をはじめ、アジアでのバレーボール人気が高まり、過去に比べて来場者に関してはこれからの大きな課題になりそうです。今年はパリ五輪もあり、バレーボール熱が高まったところでの新リーグ開幕となるため、きっかけを活かして、さらなる盛り上がりに期待しましょう!


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