第33話・1954年 『新時代へ。室内の全日本総合選手権』
スポーツイベント・ハンドボール2022年8月号(7月20日発行号)で特集の通り、日本のハンドボールは7月24日、「伝来100年」を迎え、新たな発展に向け力強く踏み出しました。
積み重ねられた100年はつねに激しく揺れ続け、厳しい局面にも見舞われましたが、愛好者のいつに変わらぬ情熱で乗り切り、多くの人に親しまれるスポーツとしてこの日を迎えています。
ここでは、記念すべき日からWeb版特別企画で「1話1年」による日本のハンドボールのその刻々の姿を連続100日間お伝えします。
テーマは直面した動きの背景を中心とし、すでに語り継がれている大会の足跡やチームの栄光ストーリーの話題は少なく限られます。あらかじめご了承ください。取材と執筆は本誌編集部。随所で編集部OB、OG、常連寄稿者の協力を得る予定です。
(文中敬称略。国名、機関・組織名、チーム名、会場名などは当時)
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新しい時代の到来が告げられた。日本協会は史上初となる室内(7人制)の公式大会・全日本総合室内選手権を12月26日から3日間、大阪府立体育会館で開いた。
エントリーは男子が1都2府3県から27、女子はすべて大阪の7チームだった。会場地の影響というより大阪での室内に対する取り組みが各地よりはるかに進んでいたことを物語る。
男子優勝の日本体育大学(東京)は、1ヵ月前の11人制全日本総合選手権で優勝した全日本体育大学(東京)のメンバー11人が出場、女子優勝の春日丘クラブ(大阪)は夏の北海道国体一般女子を制した大阪クラブの4選手が主力、11人制での実力を活かした結果と言えた。
全チームが11人制をそのまま室内へ置き換えただけの印象が濃く、両種目別の専門プレーヤーが育成されるべきだとの指摘が多かった。ベテランたちの意見は「2つはまったく異なるスポーツ」。マスコミとファンは攻防の激しさが伝わりやすく、中盤の間延びがなくスピーディーだとおおむね好評。男子選手は11人制派がやや多く、女子は逆に室内支持がめだった。
女子の関係者、指導者は「メンバー(部員)を集めやすくなる」「最近の女子スポーツ愛好者はフィールドスポーツを敬遠する」と話した。
この大会の女子の試合時間は15分×2(男子は25分×2)とされたが、日本協会の女子11人制特別ルールはすでに15分×2、コートサイズの最小は60m×40mにまで縮められていた。「室内の本格化」が女子チームの増加へつながるかの期待は大きく、積極策が望まれて初大会は終わった。
国際ハンドボール連盟は11人制の魅力を増す工夫を重ね、この年のルール改正でゴールエリア上の空間にシューターが飛び上がって攻撃することを認めた。ゴールシーンを一段と華麗にする狙いは明らかだった。
第34回は8月26日公開です。
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