株式会社スペルプラーツ

「現代建築家コンセプト・シリーズ II」、「これからの社会、これからの住まい」、「10…

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「現代建築家コンセプト・シリーズ II」、「これからの社会、これからの住まい」、「10+1」、2021年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展参加など。企画・編集・制作。

最近の記事

解放的な開放という解法──秋吉浩気『メタアーキテクト──次世代のための建築』の読解メモ|倉方俊輔

モダニズムとの同一性 左のページから順に見ていってほしい。本書は、右ページに文章が続き、左ページに筆者のプロジェクトに関係する写真や図版と解説文が載っていて、それぞれが独立しても読めるようにつくられているが、その左ページはつくる喜びに満ちている。 具体的で、美しいのである。素材感のある物質が編成され、思いもかけない総体を見せている。見る者が爽快な気分になるのは、各部位が解放されているからだ。全体の形に縛られず、観念の奴隷でもなく、それぞれが内発的に組み合わさって、総体をな

    • デジタルファブリケーションの未来──秋吉浩気の華麗なる冒険『メタアーキテクト 次世代のための建築』を読む|布野修司

      次世代への贈与 「何のために、誰のために建築をつくるのか。この根源的な問いを模索するために本書を書き始めた」。冒頭(はじめに)の第1行である。 一瞬、原広司の『建築に何が可能か──建築と人間と』(1967)の冒頭を想った。 原広司がこの処女論集を上梓したのは30歳、秋吉浩気33歳、初々しい問いである。 秋吉の場合、すぐさま続けて答えを書いてくれている。「建築をつくることは『次世代への贈与』を行うことであり、林業における植林のように時代の繁栄に向けて建築というかたちで物語を

      • 『メタアーキテクト』書評|本橋仁

        2年前。木工作家の友人に呼ばれて、何度か高知県馬路村を訪ねる機会を得た。松茸が野生し、川に天然ウナギが泳ぐ桃源郷のようなこの場所には、最寄りの駅から山道を1時間、車を走らせる必要がある。馬路村に至る細い道路で、時折、巨大なトラックとすれ違う。友人は軽くブレーキを踏み慣れた手つきで、山道には似つかわしくないスピードでトラックをかわす。聞けば、この巨大なトラックは外洋材を加工のためだけに、山を上り馬路村に運んでいるのだという。いまではすっかり、ゆずの村として知られる馬路村だが、か

        • 現代のアーキテクト論──超都市と超建築家

          秋吉浩気+門脇耕三+藤村龍至 秋吉浩気 今回は『メタアーキテクト──次世代のための建築』(スペルプラーツ、2022)というVUILDとしての初めての本が出たということで、その出版イベントも兼ねて、建築家の藤村龍至さんと門脇耕三さんにお越しいただきました。今日は現代のアーキテクト論、つまり現代において建築家にはどういう意義があるのかということを話しつつ、お二人とも建築教育にも携わっていらっしゃいますので、最終的に教育の話につなげていければと考えています。 この本はもともと「

        解放的な開放という解法──秋吉浩気『メタアーキテクト──次世代のための建築』の読解メモ|倉方俊輔